軍曹殿に一応建造する旨の電報を送っておこう。一応、自分は建造していないとも送っておく。そろそろ彼女らも建造が終わったころだろう。誰が着任したかは結構楽しみだ。
「ども、恐縮です、青葉ですぅ! 一言お願いします!」
「えっと…よろしく。霞よ。」
建造されたのは桃色っぽい髪にセーラー服とキュロットを着た重巡洋艦だった。なかなか明るい雰囲気を纏っている。私の方をじっくりと観察し、ふむと納得したようにうなずいた。
「?どうし…」
「ずばり!提督さんとの馴れ初めは!?」
「…えぇ?」
「いや…その左手の薬指にはまった指輪のことですけれど。」
初対面からいきなり聞かれるのはあまり好ましくない。
「その話はまた今度で…」
「む…つれないですね。まあ、また今度聞かせてもらいますからね!」
「わかったから、ほら、司令官のところ行くわよ。」
「フッ、随分待たせたようだな……。大和型戦艦二番艦、武蔵。参る!」
【ほんとに来ちゃったねぇ。】
「あんまり待ってないわよ。」
「そうか…。だが、何にせよこの武蔵が来たのだ。存分に主砲を撃たせてもらおうか!」
「いいわね!そういうとこ気に入ったわ!クソ提督のとこ行くわよ!」
大和でないにせよその二番艦というだけあってその気迫と威圧感は本物。そして落ち着いていたように見える大和とは正反対の荒々しさが際立つ。
「ところでその恰好…」
「ん?どうかしたか?」
「いや…なんでもない…」
胸部を晒で押さえただけの姿は非常に目に毒だった。早いうち連れて行ってしまおう。
「翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です。幸運の空母ですって?そうじゃないの、一生懸命やってるだけ…よ。艦載機がある限り、負けないわ!」
瑞鶴…五航戦の妹の方。
「あれ、加賀さん。久しぶりだね。また戻ってきちゃったのかな…」
「瑞鶴あなた…まさか。」
「んーと、なんていえばいいのかな?二度目の生まれ変わり的な?あ、でも別の加賀さんだったらどうしよ。」
まるで再び艦娘として生まれ変わったかのような口ぶり。そして、私を知っているかのような一言。そして、記憶の片隅に残っている存在。
「あなた…あの頃の記憶があるの?」
「ってことはもしかして加賀さんも?」
「ええ。もちろんよ。久しぶりね。」
「いやぁ。また会えるなんて嬉しいな。今度一緒に出撃しようね。」
そう。瑞鶴とはかつて同じ鎮守府で過ごしていた。といっても指導のみで一緒に出撃する前に別の鎮守府に異動になって離れてしまったけれど。
「加賀さん寂しがり屋だったからねぇ。今は治って…なさそうだね。」
「む、失礼ですね。」
「でもあの頃よりもずっと楽しそう。元気みたいでよかったよ。」
今は2人で再開を喜んでいる。ただ、忘れてはいけないのが、ここで再開しているということは彼女も一度暗い海の底に沈んだということ。ただ、今の私にも、瑞鶴にも、そんな話題は無粋だろう。
「ほら瑞鶴、私たちの提督にあいさつしに行くわよ。」
「はーい。」
この子も曙も絶対に沈ませない。