「みなさんは仲良くやれていますか?」
「心配しなくていいわよ。みんな楽しそうだし。」
「ならいいですけど。」
布団の中で改めて聞かれる。現状は仲良く、それでいて適度に物を言い合える程度だから、あまり心配する必要はないはず。青葉に関しては少し警戒する必要がありそうだけど…。
「ふむ…まあこの艦隊を指揮するのは私ですけど実際に戦場で指示を出すのは霞ですから。期待してますよ?」
「…あんまりプレッシャーかけられると私もやりづらいからね?」
「そんなつもりはありませんが…まあ気楽にやってください。ほら、明日も早いですから。」
私の頭を彼の手が撫でる。
「ん…まあ…いいけど。」
「加賀ってあの瑞鶴とは知り合い?」
「知り合いというよりは…なんというか姉妹というような…昔馴染みのような…」
「結局なんなのよ一体。」
「まあ、昔一緒にいた程度で…出撃はしていませんけど。」
「そうなの。あんたの元恋人とかじゃないならいいわ。」
「そんな人いませんよ。」
「知ってるわよ。」
髪を解きながら雑談に花開かせる。あまりに親しげに会話するのを見るのが嫌だったからとかではない。瑞鶴の様子を見る限りは特に邪な感情もなく、懐かしい友人に出会ったような口ぶりで、仲が良かったであろうことが伺える。
「…曙も嫉妬するんですね。」
「当たり前よ。逆に嫉妬しない奴なんているの?」
「わかりませんけど…すみません。」
「謝んないでよ。別に気にしてないし。最終的にあたしの隣に加賀がいるなら誰とつるんだって構わないから。」
「曙以外は…考えられません。」
「嬉しいこと言うじゃない。ほら、頭撫でてあげるから来なさい。」
「ふむ…青葉は体力がないな。」
「そうみたいだねぇ。もうすっかり寝ちゃって。」
ふかふかのベッドにボフンと身体を投げ、そのまま深い眠りに落ちた青葉の頭を撫でる。その様子を瑞鶴という艦娘が笑いながら見ている。
「どうした?お前も撫でて欲しいのか?」
「違うわよ。ただ、二人とも幸せそうだなって。」
「私もか?」
「だって青葉を見る目が完全に恋人みたいで甘ったるいんだもん。」
「む。そう見えたのか。私にとってはなんというか…そこにいるから撫でているような気がしてな。こう…か弱い存在というものはなかなかどうして守りたくなる。今日の演習でも、こいつは私に向けられた艦載機を全て撃ち落としてくれたんだ。自分のことなど二の次でな。自分より弱いものに守られたんだ。そのままでは、この武蔵の格好がつかないだろう。私は、大和型二番艦。決戦兵器として建造されたんだ。戦うことに関しては全てのものに敬意を払った上で接したい。っと、長々とすまないな。」
「ふーん。だってさ青葉。」
「ん?青葉は寝ているだろう?何を言っている。」
「ああ。そうだったね。こりゃ失敬。てっきり起きてるもんかなと。」
瑞鶴に少し呆れていると、ほんのりと青葉の頭が熱を持っていたことがわかった。