青葉、気になります。霞ちゃんと司令官がケッコンするまでの経緯。
「と、言うわけでして…」
「こんな朝から私たちの部屋に訪ねてきたと?」
現在の時刻は5時26分。確実に逃さない意気込みが前に出過ぎました。
「まあいいですよ。私としては。」
「お!お聞かせ願えますか!?」
「ええ。話してあげますからどうか静かにしてください。霞が起きてしまいますから。」
「え?」
よく目を凝らすと、司令官の隣には可愛らしい寝顔の霞ちゃんが。
「…すみません?」
「わかればいいんですよ。」
そう言って彼は霞ちゃんを眠ったまま起こさずに膝の上に乗せました。
「素晴らしい技ですねぇ。」
「そうでしょう。」
膝の上に乗った霞ちゃんは幸せそうな顔で眠っています。
「で、ケッコンの経緯でしたっけ?話せば長くなりそうですが?」
「いえいえ…聞くことが大事なんです。」
「はあ…」
「ところで司令官。腕がないのは事故ですか?先天性のものですか?」
「事故です。そんなのいいんですよ。いいから聞きなさい。」
「ほお…なるほどです。」
「ご理解いただけましたか。」
「ええ。少しだけ。」
しかしここに艦娘が少ない理由にも繋がるものまで聞けましたね。しかしそれほど運命的な出会いとは…しかし恋人同士の密着を見るのは少々甘ったるい感じがしますね…。
「ん…しれいかん…?」
「あ、おはようございます霞。ほら、青葉に挨拶してください。」
「あおば…?おはよう?」
「あ、おはようございます。」
「…ん。」
なんと寝起きのまま司令官に抱きついてしまいました。というか昨日の演習の時のような気迫が一切ありません。
「司令官。なんですかこの可愛い生き物。」
「何って私の嫁ですけど。」
「よめ…えへへ…」
「!?」
「ほら、もう帰ってください。意識がまだぼんやりしているからまだセーフですよ。」
「あ、し、失礼しました!」
ふむ…なかなか興味深いお話を聞けました。それにしても…あの二人が一緒にいるとなんと言うか…色気がすごいと言うか…。
朝。素晴らしいものだな。水平線から太陽が昇る。その景色を見つつ、走り込みを開始する。先日の演習は私個人としては納得がいかない。私の実力はあれほどに低かったのだ。今はある程度は上がったとも言えるかもしれないが、本当のところはわからない。気休め程度でも、このような自己鍛錬をしなければ気が済まん。朝の澄んだ空気と潮風の匂いに包まれながら走っていると、青葉が立っているのを見た。
「おい、青葉。どうした?」
「あ、武蔵さん。いえ…少し外の空気を吸いたくなったんです。」
「そうか…。調子はどうだ?昨日は相当堪えていたようだが。」
「もう元気いっぱいです!」
ああ、強いな。彼女は。あれほどの疲労を抱えながらもすでに回復し、私との談笑すらもなんてことない様子だ。しかし、顔が少し赤いのが気になる。
「青葉、体調はどうだ?顔が赤いようだが。」
「えーと…太陽のせいですよ、きっと。」
頬に手を当て、少し目線を逸らしながら言う一言はそんなわけはないと私にも分かった。だが、彼女の名誉を守るためにはわからないふりをする他なかった。
「そう…だな。まだ日が出たばかりだものな。」
青葉の頭に手のひらを乗せる。俯いて、今度は耳まで赤くする。
「…誰もいないじゃん。」
朝の6時40分に目が覚めて、見回しても武蔵も青葉もいない。でも、少しも荒れた様子もない。そこはさすが。
「…私も起こしてくれていいのに。」
きっと二人は誰かの部屋にでも行ってるんじゃないかな。私も加賀さんと曙の部屋行っちゃおっと。
「加賀さーん。起きてる?」
「あ、瑞鶴。おはよう。」
「曙。おはよう。加賀さんは?」
「残念私の膝の上よ。」
覗き込んでみると加賀さんが耳かきをされてた。
「…寝てる?」
「ええ。すっごい気持ちいいみたい。あんたもやる?」
「んー。私はパス。暇つぶしできただけだもん。」
「何よそれ。」
なんともならない会話を続ける。曙は慣れた手つきで加賀さんの耳を掃除する。加賀さんは、その動きを受けながら時々跳ねたりしながら眠っている。
「こんな加賀さん見たことないや。」
「昔馴染みのあんたにはあたしが加賀の恋人っていうことは忘れてほしくないものね。」
「大丈夫だって。取らないよ。」
「本当かしらね?」
そう言って梵天で加賀さんの耳をぽふぽふと叩いている。最後に息を優しく吹きかけて、終わったみたい。加賀さんは少し甘い声をあげて、もう一回寝始めた。
「…あたしの加賀だからね。」
「言わなくてもわかるって。私も加賀さんには恋愛的な感情ないっていうか普通に男の人の方が好きだから。」
「…ここでは諦めときなさい。」
「なんで?」
少し目線を下げて言われた。
「あいつ霞とケッコンしてるもの。」
「え、じゃあロリコン?」
「かもね。」
「流石に無理かな。かっこいいとは思うけど。」
「なまじ見た目の整った残念イケメンってとこね。」
「あはは。本人には言っちゃだめだねこりゃ。」
「違いないわね。」
二人で笑い合った。