「心配ですか?」
「ええ。やはり演習といえども気は抜けません。」
「十分強いと思いますけどねぇ。」
「…落ち着かないのでその辺散策してきます。」
「わかりました。」
この鎮守府はある程度艦娘に融通が聞くような体制を取っているらしい。随分賑やかだ。通りかかる艦娘は皆私を凝視する。少々気恥ずかしさもあるが、やはり珍しいものには心引かれるのだろう。
「あの…あなたが司令官さんの言っていた方ですか?」
声の聞こえる方に顔を向けるとそこには電が居た。その少し後ろには雷や響、暁などなど…。暁型の子たちである。好奇心も相応に強いらしい。
「ええ、その通りです。」
「もし迷ってるなら暁たちが案内してあげるわ!」
「…よろしく。」
「私たちをいーっぱい頼っていいのよ!」
「ではお言葉に甘えさせていただきましょうかね。」
「…!?」
「どうしたの霞。」
「いや…何となく浮気の予感が…」
「あいつに限ってそんなことあるはずないでしょ。ほら、まだ演習するわよ。」
「え!?まだやるんですか!?」
「正午までは続けますよ。既にこの話は通してあると思うのですが。」
「ああ。あちらもその手はずで動いているはずだが。」
「青葉だけ聞いてなかったもんね〜。周り見たい気持ちもわかるけど。」
「青葉としたことが…」
みたいな会話をしてそうですねぇ。
「で、ここが暁たちのお部屋よ!」
「ふむ…清潔感がありますね。」
「ふふん!そうでしょそうでしょ!」
「暁ちゃん楽しそうなのです。」
「そうだね。Хорошо。」
「飲み物持ってきたわ!」
「どうもありがとうございます。」
「しかしあなたは随分と髪が長いね。それに、すごく綺麗だ。」
「おや、もしかして口説いてますか?残念ながら私には心に決めた方がいますので…。」
「そういうわけじゃないさ。ただ珍しいと思ってね。もしかしたら、女性の格好も似合うんじゃないかと。」
「響ちゃん?何聞いてるのです?」
「そうよそうよ。あんまり変なこと言っちゃダメよ。」
「別に構いませんけどね。しかしあなたは勘が鋭いみたいですね。」
「ということは?」
「もちろん、女装経験はあります。」
「やっぱり。」
「えぇ!」
「ほんとに?」
「びっくりなのです…。」
「まあ私自身趣味の範疇ですから。実力があるわけではありません。」
「一度見てみたいな。」
「まあ?響がどうしても見たいなら?暁も見てあげないこともないわよ?」
「雷も気になるわ!」
「無茶振りはだめなのです!」
「服さえあればすぐにでもできますよ。メイク用品は持参してますから。私の背丈的に…戦艦や重巡あたりの方の服なら着れると思います。」
「はわわわわ…」
「早速行ってくるわ!ほら、響も!」
「やれやれ…暁が1番見たいんじゃないか。」
「暁に任せればすぐに来るわね!」
ふむ…自然と流れで女装することになった。暁が行くならよっぽどのことがなければ貸し出されそうではある。しかし、そうなると持ち主までついてきそうな場合もあるのが少し厄介だ。