司令官から言われて、無理矢理自分を奮い立たせる。今度はみんなちゃんということを聞いてくれた。流石に懲りたのか、はたまた気を引き締め直したのかはわからないけれど、加賀も曙とは少し距離を取っていた。
「えー、皆サン。ここより先は私たちの鎮守府が出撃できる海域である南方海域となりマス。戦艦や軽巡重巡も多く、空母も侮れマセン。一層気を引き締めるようにしてくだサイ。どのような編成かも正直予想はつきづらいデス。特に霞、あなたがこの艦隊の旗艦デスカラ、戦況をよく見て、艦隊に適切な指示を出すことを忘れてはなりません。」
「了解よ。」
「そしてその他の皆サンも霞からの指示を聞くように。くれぐれも先ほどのようなことは起こさないようにして下さいネ。」
「うむ。」
「もちろん。」
水上を滑りながら適切に指導してくれる金剛は演習時や街で出会ったときのような雰囲気ではなく、歴戦の軍人然とした姿だった。
「む、早速反応だ。11時の方向に敵艦隊の反応有りだ。どうする霞。」
「相手の編成がわからない以上は出来るだけ接敵は避けたいわ。青葉と武蔵の水偵で偵察、お願いできるわよね?」
「了解です!」
「任せろ。」
「加賀と瑞鶴は先制爆撃できるように艦載機の用意をしといて。」
「わかりました。」
「任せといて!」
「む、帰って来たな。ほう…敵艦隊の旗艦は戦艦ル級elite、更に空母ヲ級、駆逐イ級らしい。」
「こちらの水偵では軽巡ホ級、駆逐ロ級、重巡リ級を確認しました!」
「加賀!瑞鶴!艦載機よろしく!航空優勢、いけるわよね!」
「鎧袖一触よ。制空権確保は確実だわ。」
「そうだよ〜!じゃあ、第一次攻撃隊。発艦始め!」
パシュッと勢い良く矢が射られ、それが艦載機へと姿を変えて行く。敵艦隊とぶつかるとして、どれくらいの速力であればある程度余裕を持てるだろうか。
「第二原速まで落として!艦載機が爆撃をし終わった後にすぐ砲雷激戦に移すわ!」
「まずは景気良く勝たねばな。この武蔵、全力でいかせてもらうぞ!」
「頼んだわよ!この中で1番射程が長いのが武蔵だから!」
「!空母ヲ級小破、重巡リ級大破、駆逐ロ級撃沈、制空権確保です!」
緊張感が高まる。もはや敵艦隊は目と鼻の先だった。
「では、報告をどうぞ。」
「駆逐艦六隻撃沈。軽巡三隻、重巡二隻、空母四隻、戦艦三隻撃沈。青葉中破、武蔵小破、加賀と瑞鶴の艦載機が出撃時と比べて4割程度減ったわ。結果としては、戦術的勝利ってとこかしらね?」
「はい。ご苦労様でした。ドックを貸してもらえるようですから、傷を癒して今日は帰りましょう。」
「…司令官。」
「なんでしょうか?」
「…ん!」
司令官に向けて両手を広げる。彼がそっと私を抱きしめる。
「人目につきますよ?」
「構わないわよそんなの。」
「青葉が写真を撮りますよ?」
「そんなの…後で怒ればいいわ。」
「ここに所属するあなたも見てますよ?」
「私は私だから。そんなの関係ないわよ。」