「加賀さんと曙ちゃんってなんでそんなに仲がいいんですか?」
何か参考にできる点が聞けるかもしれないと言うことで、早速聞いて見ました。二人の顔はなんだか微妙で、好感触でなかったのかなと思います。
「うーん…なんでって聞かれてもねぇ…」
「わかりませんね。」
「突然どうしたんだ青葉。」
空気は少し重く、武蔵さんは怪訝そうに、瑞鶴さんは肩を揺らしながら顔を背けています。
「あ、でも私が曙に一目惚れしたっていうのが大きいかもしれませんね。」
「一目惚れ?」
興味深い一言です。確かに加賀さんは曙ちゃんにべったりでした。しかし、それが最初からそうだったかもしれない可能性が出てきました。単純に面白そうで気になります。
「どういったところに一目惚れを?」
「なんなんでしょうね…。こう、小さいのに頼りたくなると言いますか…とにかく夢中になってしまうと言いますか…」
一目惚れというのは案外印象に残り辛いのかも知れません。加賀さん自身にもわかっていないのなら尚更です。
「へえ。加賀さんもロリコンなんだね。」
「違うわ瑞鶴。曙だから好きになったの。」
「どう違うのかなぁ?」
いたずらに笑った瑞鶴さんは新しいおもちゃを与えられた子供のような顔で二人を見ます。少し面倒なことになりそうです。
「ふむ…。あまり詳しいことはわからんが、結局は好いているんだろう?そこに理由などいるのか?」
突然の武蔵さんのこの発言は私たちには衝撃でした。『好き』に理由を求めていた私たちとは全く違う感性です。
「ふうん。いいこというわね武蔵。」
「そうか?あまりこういうことはわからんけどな。まあ、なんだ。私はみんなのことは結構好きだぞ?」
思わぬチャンス二度目です!私がどう思われているかが知れるかも知れません。
「そ、それはどういう観点からで?」
「どうと言われてもな…まあ、提督から行こうか。あの男は…そうだな。私たちの好きなようにやらせてくれるだろ?それに、一途な男だからな。多少曲がっているところもあるだろうが、だからと言ってそれだけで人間が決まるわけではない。芯の部分では常に私たちのことを考えているだろうさ。」
「次に霞だが、何と言ってもその強さだな。基本を忠実に極め、それを全て実戦に移している。主砲でも魚雷でも対空でも、何にでも言えるが、全てを丁寧にこなし、それでいて臨機応変に対応している。出撃の時はそれが顕著だったな。精神面は脆いが、それでも戦闘時は別人のような指示を出す。霞こそ、この艦隊の旗艦、ひいては最強の立ち位置でも文句はない。」
「曙は、霞とはまた違った強さがあるな。霞が言うなればおーるらうんだーというやつで、曙はてくにっくが磨かれている。射程の短さを利用して相手の懐に潜り込み、かつ優れた動体視力と勘で相手からの攻撃を受け付けず、短期決戦で終わらせる。主砲の精度はあまりないように見えるが、それはあくまでも本命の魚雷を当てるための誘導をしているのも素晴らしい。磨けば霞にも引けを取らない強さだろう。」
「加賀は、圧倒的な搭載数と、それを活かした圧倒的な物量だろう。もちろんそれ以外でも十分洗練されているが、それがあるからこその大胆な攻撃だろう。そして、それを持って尚慢心せず、己を高めようとするところだろう。少々曙に近すぎる気もしないでもないがな。」
「瑞鶴は…これまた面白いな。搭載数や技術では加賀に一歩劣るが、副砲を積むことによって艦載機に頼らない戦いもできる。加賀が空母としての強さとするなら、瑞鶴はくればーな強さと言ったところだろうな。航空優勢や有利をとるなら、加賀と瑞鶴の艦載機をいっぱいに載せる必要もないからな。きっと計算尽くなんだろう?」
「最後になったが、青葉。体力不足は少々懸念点となるが、しかし、この艦隊になくてはならない存在だろう。霞や曙は駆逐艦の生来の性とでもいうべきだろうが、載せることのできる兵装が少ない。空母の加賀と瑞鶴では難しい対空射撃もこなせ、私の火力故の取り回しの難しさをかばーする小回りの良さ。それでいて高い火力だな。これからも頼りにしている。」
思いの外…というかびっくりするほどしっかりした評価で、なんだか恥ずかしいです。
「好きってそういうんじゃ…ま、いいか。青葉は大変よ?」
「はい…。」
「む?あまり気を張るのはいけないぞ?」
「ええ…わかってます…。」