「しっかし霞は可愛いね〜。」
「瑞鶴に言われても嬉しくないったら!」
時間が経ってようやく霞の意識がはっきりしたようで、先程の体温や覇気のない喋り方はもう収まっていた。むむとふくれっ面で瑞鶴を睨むと、楽しそうに頰を押される。
「ぷひゅぅ」
「やだもうかわいすぎ!」
ぷくっと膨らんでいた頰が押されて空気が漏れる。その時に鳴った音が何とも間の抜けた音で、霞は恥ずかしそうに顔を赤くした。かくいう瑞鶴はくねくね身体を捻らせながらデレデレと霞を見つめている。
「もう瑞鶴嫌いだから!」
「え〜、困るなぁ。」
そんな口論?の最中に全員風呂から出てきたようで、浴場の扉が開いた。
「あんたらまだそこに居たのね。」
「暇だったので。」
「曙〜。」
「…なぜ霞は泣きそうな顔に?」
「ちょっと揶揄っただけなんだけどなぁ。」
「霞ちゃんに嫌われるとは…よっぽどですね。」
「…骨は拾ってやるさ。残っていたらな。」
「怖いこと言わないでよ。」
「嫌いなんて言っちゃダメですよ霞。確かにやりすぎでしたけどね。瑞鶴は今から鎮守府周りを10週してきなさい。」
「え゛」
「流石に冗談です。ただ、しっかり謝ってあげてください。」
すると、もじもじといじけたように、しかし、はっきりと霞の目を見て、謝罪の一言が出た。
「ごめんね霞。嫌なこといっぱいしちゃって。」
「…別に…いいけど…。」
「はい、この件はもう終わりです。間宮さんと伊良湖ちゃんが待っているはずですよ。早く着替えて行きましょう。」
いち早く着替えを済ませた加賀が曙の手を引く。
「ちょっと待ってよ。まだ着替え終わってないんだから。」
「さてさて何しましょうねぇ。今日はもうお休みですから。」
ばんっと司令室の扉が勢い良く開いて、青葉が飛び込んでくる。
「青葉、取材に来ました!」
「またですか?」
「ああいえ、今回は霞ちゃんです。と言うわけで、霞ちゃんは借りて行きますね。」
「え!?」
「早めに帰してくださいね。」
「と言うわけでレッツゴーです!」
「や、やだっ私今日は司令官と…」
「先に予定でも入ってましたか?」
「いえ?入ってませんよ。」
「司令官!?」
「なら行きましょう霞ちゃん。何、30分と経たずに終わりますから。」
「と、言うわけで。霞ちゃん、青葉の質問にお答え願えますでしょうか。」
「それやんないと帰れないのよね?」
「もちろん。」
既に逃場など用意されていない。青葉の質問に答え終わるまで帰らせてはもらえないだろう。
「では早速…司令官との仲は如何ですか?」
「すごくいいと思うけれど…」
「なるほどなるほど…うん、では次。この鎮守府内で司令官以外で最も信頼できる人は誰ですか?」
「曙かしらね。なんて言うか…私より後に建造されたはずなのに何だかお姉ちゃんみたいで…つい頼っちゃうの。」
「ふむ。では曙ちゃんのクソ提督呼びについてはどうです?」
「別に何とも思ってないわよ?曙のあれはもう一種の信頼の証みたいなものだから。」
「昨日の演習の際は怒っていましたけど…」
「あれは…ピリピリしてて…いっぱいいっぱいだったのよ。」
「では、司令官のどこが好きですか?」
「えっと…優しいところとか…私をまっすぐに見てくれるところとか…」
「ええ、ええ…なるほどです。ありがとうございました。戻ってもらって構いませんよ。」
「…何か企んでる?」
「まさかそんな。青葉は単純に気になっただけですよ。」