青葉から言われて取り敢えず歩き回ってみるけど、実際弓道場ってどこにあるんだろう。まあ動き回ってればそのうち見つかるか。
「待ちなさいよ瑞鶴、あなたどこにあるかわかってるの?」
「え?わかんないよ?だから今探してるんじゃん。」
「それならそうと先に言いなさい。今提督に場所を聞いてくるから。」
呆れたように私の手を引いて司令室に連れていかれる。
「え〜?だって私ここまだよくわかってないもん。」
「だからって下手に動き回ると本当に迷子になるわよ。昔からいつもそうなんだから。」
「へいへい。」
加賀さんのこういうところは結構嫌いじゃない。それに、結構昔のこともちゃんと覚えてくれているし、ここで建造してもらえてよかったかも。
「返事ははい。それと一回よ。」
「はーい。」
こういう細かいとこはあんまり好きじゃないかも。
「提督?弓道場はどこかしら。」
「それなら工廠のすぐ隣に設けてますよ。その方が妖精さんのメンテナンスもやりやすいですから。」
「邪魔しちゃってごめんね〜。」
「いえ、今日はずっと暇なので私たちもついて行きますよ。ね、霞。」
「え、あ、うん。」
特に何も考えていなさそうな返事のせいで演習や出撃の時と今の霞が本当に同一人物なのかと疑ってしまう。
「霞も弓を射って見ては?」
「できるならね。」
「じゃあ行きましょう。」
工廠の横に急遽付けられたような壁の境目があり、そのすぐ横に設置された引き戸が目を引く。むしろなんで今まで気づかなかったのか不思議なくらい。中は広くて、懐かしさが感じられた。
「はあ…結構広いですね。ただ…」
天井が吹き抜けになっているから浸水が恐ろしいほどに進んでいる。
「これでは無理ですね。」
「ちぇー…」
「残念でしたね。」
加賀さんが少し肩を落としてるのが少し可哀想だった。
「あんたいつまでいんのよ。」
「一人はさみしいじゃないですか。」
「武蔵と一緒に運動すれば?さっきも体力不足って言われてたじゃないの。」
「それとこれとは違いますよ。」
「もうじき加賀さんも帰って来るのでは?」
「そうなのよ。で、多分ずっとくっついて来るから今の内にだらけとかないとあたしが持たないの。」
「わかりました。帰りますよ。はぁ…司令官の部屋に盗聴器と監視カメラでも置いてこようかなぁ。」
「…待ってあんた何言って」
呼び止める前にさっさと出て行ってしまった。まさか本当に仕掛けるわけでもないだろう。本音は追うのが面倒なだけだけど。しかし命知らずにも程があるだろうと思う。それに、身内の性事情を見たいものかと正気を疑う。
「待ってあたしたちの部屋も?」
取り敢えず棚やら収納やら、とにかく物が隠せそうなところを片っ端からひっくり返してそれらしいものを探す。和室には似合わないコンセントをみると、いつもは刺さっていないはずの謎の物体が差し込まれていた。さっきのモニターの物かと思ったけれど、それはすでに回収し、持ち帰られている。取り敢えず抜き取っておこう。そして、いつ触ったかもわからない場所から複数個のカメラが見つかった。まだあるかもしれないという不安はあったものの、一旦ここまでで今日明日は加賀と肌を重ねないようにしよう。