※この作品はR-18です。

【艦これ二次創作】辺境鎮守府   作:スイっぴ

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和解

「ねぇ、司令官は?」

「今は曙が話をしている。まだ、会わせることはできない。」

「少し…落ち着いててください。」

そう言う青葉は今にも泣き出しそうな顔で、武蔵は拳を強く握っている。まだ身体に力は入らないけれど、きっとあの人が苦しんでいると思うと、動かずにはいられなかった。しかし、青葉とは体格差がちがう。私の抵抗はすぐに無駄なものになる。ドアが開き、曙と、引きずられながら司令官が入ってくる。

「クソ提督連れてきたわよ。霞と、一対一で話つけさせるから、あんたらここ出なさい。」

「なっ!何を馬鹿なことを言っている曙!」

「黙りなさい。」

ぴしゃりと言い放ち、青葉と武蔵を無理矢理外へ追い出す。

「あたしも出てるから。あんたらだけで話を終わらせなさい。すぐ終わると思うけど。」

目の前にはやつれて今にも死んでしまいそうな司令官が居た。私はその酷く淋しい姿が見ていられなくて、身体を動かしていた。そっと司令官を抱き締めると、司令官は、何も抵抗せず、動こうともせず、じっと黙っていた。

「ねえ、司令官。私怒ってないの。だから、何があったのか…自分にわかることだけでいいの。教えて?」

できるだけ優しく、語りかける様に。司令官は涙を流しながら、一言。

「私は…何が起きたかわかりません。何故霞の首を絞めたのか、わかりません。」

「そう…」

私は更に司令官を強く抱き締めた。司令官の腕が私の身体に回って、抱きつき返す。

「霞…」

「さっきも言ったでしょ?私、怒ってない。それに、あなたがそんなに悲しそうな顔するのは見たくないの。知ってるでしょ?それに、私知ってるんだから。あなたがこんな雨の日に寝てたら、勝手に動き出しちゃうことくらい。」

「曙にも…言われました。」

「だって最初に見つけたのは曙だもの。当たり前じゃない。」

少しの間、静かな時が流れた。司令官は未だに震え、それを抑え込む様に私が包む。

「大丈夫。大丈夫だから…ね?」

「私…は…」

「ねえ司令官、私のこと…好き?」

「…」

「私は司令官のことが大好き。他の誰にもあなたを渡したくないし、あなたのすることならなんだって受け入れるわ。それくらい、あなたのことが好き。司令官は…どう?」

「私も…霞のことは大好きです…。愛しています…。心から。私なんてどうなってもいい。あなたが無事なら私はそれでいいんです。…だからこそ、私は私が許せない。あなたを傷つけてしまったから…あなたを…」

「そこまで。」

司令官の唇に人差し指を添える。司令官は少しだけ驚いた様に目を開いた。

「私が好きってことだけを聞きたかったの。だから、それ以上は言わなくていいわ。それでも言いたいなら、私のこと…もっと抱き締めて?いつもみたいに…ね?」

そう言って、司令官の膝の上に座る。司令官の涙は見えないけれど、きっとすごいことになっているはず。でも、司令官は、いつもの様に、左腕で私を抱き寄せ、右手でそっと頭を撫でてくれる。こうすると、すごく安心して、落ち着く。

「…これで…いいでしょうか。」

「文句ないわよ。司令官。」

やっぱり彼のことが私は大好きだ。武蔵のことは…たとえ私を守るための行為とは言え、許せない。けれど、今この瞬間は見逃そう。この時間は、まだもう少し大切にしたいから。

 

「おい…あの二人はどうなっているんだ?」

「…あたしに分かれば苦労しないってば。でも、言ったでしょ?問題ないって。」

何故だか分かりませんが、あの二人は仲直りしてしまったみたいです。それに、霞ちゃんの方から歩み寄っていました。不思議です。

「まあ…武蔵は覚悟しときなさい。」

「何故だ?」

「なんでって、霞が自分の命を奪われそうになった相手にまだあれだけ好きって言える存在を、あんたは霞を守るためとは言え傷つけたのよ。相応の覚悟はしておかないとね。」

少し武蔵さんが可哀想になってきました。言いようのない不安から繋がる震えが武蔵さんから見て取れます。

「じゃあ、あたしは部屋に戻るから。あと、今後はそういう現場を見ても、無闇に動かないこと。一度はあたしに話をしなさい。」

「…曙ちゃんの言う通りでしたね。」

「何が?」

「だって、最初の映像を見た時、曙ちゃんだけは先に首を絞めれる位置に腕があるって…」

「…そんなん言ったかしらね。」

あの時は、ただただなんとなく。そう、思いついた様にその思い浮かばされる情景を口に出しただけ。別に子供の推理ごっことなんら変わりのない粗末な考え。別にこうなることを見越していたわけじゃない。ただ二人を他の四人より多く見ていたと言うだけ。

 

「落ち着いた?」

「ええ…。改めて、申し訳ないです。」

「いいのよ。でも、その代わり、今夜は私の好きにしちゃうからね。」

「…はい。」

少し冗談混じりに言葉を交わして、青葉たちの部屋を出る。ドアの前では二人が壁にもたれながら立っていた。

「…終わったか。」

「ええ。」

「次からは気をつけないとダメですよ!」

「もちろんです。」

「霞、本当に大丈夫なのか?」

「武蔵は覚悟してなさい。」

「あの…程々にしてあげてください。」

「青葉もだからね。」

暗い雰囲気を漂わせる二人を置いて、司令室へ向かう。

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