「おはよう加賀。曙は?」
「頭痛が酷いらしいです。」
「おはよーお二人さん。」
「おはようございます。」
ほんの少し顔色の悪そうに見える瑞鶴と暗い顔の加賀が食堂にやって来た。曙は司令官と同じ様にお酒には弱かったらしい。
「提督さんと霞は何話してたの?」
「今日の演習よ。あと二、三日で大規模作戦なんだもの。上げれるうちに練度は上げなきゃでしょ?でも昨日呑んでそういう気分でもなさそうじゃない?そういう時に無理に演習だったり訓練だったりすると…不満が溜まっちゃうかもしれないでしょ?艦隊の指揮が下がるのは避けたいし…でもまだ余裕があるとは言えないから…だから、どうしようって。」
加賀たちは少し考えながら、納得したかの様に顔を上げた。
「私たちは構いません。」
「そうだねー。曙は今日は休みで、青葉と武蔵は強制参加って感じで。」
「本当にいいの?」
少し不安ながらも聞いてみると、存外に二人は明るかった。
「もっちろん!早く練度上げてみんなの力になりたいからね!」
「ええ。大規模作戦間近なのも、現に練度が足りないのも、全て事実ですから。霞の決定には従わせてもらいます。」
「ありがと。」
こう言った返事は自分を肯定されている様で嬉しい。司令官は微笑みながら私たちの方を眺めていた。
「んっく」
突然私の身体が跳ねて、変な声が喉から出て来た。
「霞?」
「どうしたんですか?」
「?わかんな…んく」
またでた。
「しゃっくりですね。」
「なにそれ?」
「横隔膜が痙攣しているとかなんとか…まあそのうち治りますよ。」
「うーん…やっぱ霞って可愛いよね。」
「同感だわ。」
「変なこと言ってないで…んっく」
いい加減腹が立って来た。三人とも生ぬるい視線で見つめてくる。
「止めたいですか?」
「止めれるの?」
「もちろん。」
徐に私の顔に近づいてくる。
「ああ、すぐ済みますから、お二人は食事をもらって来てください。」
「はーい。」
「…了解です。」
二人が背を向けたのを確認してから、司令官がふにっと唇を重ねて来た。突然のことで固まる私を放置しながら、舌を捩じ込んでくる。心臓が破裂しそうなくらい動いて、体温がどんどん上がっていくのがわかる。
「んぅ…ふ…」
まだ終わらない。私の身体が火照りを感じ、ゆっくりとスイッチが入っていく。下腹部が熱くなって、司令官の服を握る力が強くなる。それと同時に冷静な思考も少し働いて、司令官を引き離そうとする力も入る。
「ん…はぁ…」
ようやく口が離れ、糸が引く。視界がぼやける。
「どうです?止まったでしょう?」
「んぇ…?」
確かに、止まっている。けれど、この疼きは新しく司令官に生み出された物で、切なくて、司令官を求める気持ちが強くなる。
「おーい、どう?」
瑞鶴の一声で一気に身体の熱が引いて、冷静になる。
「ええ、止まりましたよ。」
「はえー。どうやったの?」
「秘密ですが…まあ、驚かせれば止まると言うのが通説ですね。」
「そうなんだ。で…なんで霞はもじもじしてるの?」
見透かされた様で、焦りを感じる。
「な、なんでもないったら!」
「本当?ま、別にいいんだけど。」
せめて司令官にこの気持ちを伝えられないものかと袖を引っ張る。すると、それに気付いて私にそっと耳打ちをする。
(昨日はできませんでしたからね。今夜、楽しみにしておきます。)
また体温が上がるのを感じた。それと同時に、今日の演習は少し軽めにしようとも思った。