「司令官!ただいま!」
彼に会うため司令室の扉を開ける。平時はいつもここにいるから。けれど、今日ばかりは居なかった。
「…どこ行っちゃったのかしら…?」
とりあえず目についた扉を開けて確認しよう。廊下はなんとなく幅が広くなったように感じる。以前はひとりぼっちのような気がして不安だった廊下も、艦娘が増えたことで少し活気づいたように感じる。一人という圧迫感や、恐怖心は大分薄れている。
「〜…。……!」
曙の部屋から声が漏れている。今日は休んでいた曙なら司令官の居場所もわかるかもしれない。
「ねえ曙、司令官知らな…え?」
ドアを開けて中を確認する。私としては曙と加賀がいる物だとばかり思っていたから、そこに司令官がいるという現実が受け入れ難かった。
「あ、霞。終わったんですね。お疲れ様です。」
「ありがと…じゃなくて、なんでこの部屋に二人ともいるの?」
「あー、暇だから雑談してたの。大丈夫よ、何にもないから。それに、相変わらずあんたにゾッコンみたい。」
チラリと司令官の方を見ると、少し照れくさそうにはにかんだ。
「司令官…お風呂行きましょ?汗かいちゃったし、潮も付いてるから…」
「ああ。そうですね。では曙、今日はどうもありがとうございました。」
「別に構わないわよ。またいつでも来なさい。」
曙からはなんとなくオトナの余裕みたいなものを感じた。
「ふぅ…あったかい…。」
「ですねぇ。」
お風呂の温度がちょうど良く、司令官からの抱擁でほんのり眠くなる。今は私と司令官だけの空間。太腿あたりを指先でなぞられる。少しくすぐったくて、身を捩らせる。
「ん…司令官、まだダメ…」
そう言うとすぐに手がどけられ、頬をもちもちと弄ばれる。
「んにゅ…」
「霞…なんでそんなに可愛いんですかね。」
「変にゃこと言わないれよ。」
暫く堪能された後、司令官の手は私の耳へと移った。そのままマッサージのようにふわふわとした手つきでほぐされる。お風呂の温度も相まって眠くなってくる。
「ふぁ…きもち…」
「寝ても私がいるので、のぼせることはありませんよ。一応は。」
「ん…寝ちゃいそ…」
「やっほ、入り来たよ。」
「…じゅいかく?」
「おわ、どったの霞。」
瑞鶴がギョッと驚いて私の方を見る。そして、司令官の指の動きを見てある程度察したらしい。
「なんだマッサージか。てっきりすんごいことしてるのかと。」
「まさかそんなことしませんて。流石に節度は守らないといけません。」
司令官の指の動きがより暖かく感じる。無意識に司令官に頬擦りして、それが心地よい。
「ん…司令官…しゅき…」
「どうも。」
「うひゃー。霞がでっれでれじゃん。」