お風呂から上がると、ある程度意識も戻って、眠気と共に熱も逃げた。
「晩御飯、頂きに行きましょうか。」
「うん…ふぁ…。」
欠伸は出るし、少し目もしょぼしょぼするけれど、ゆっくり確実に歩く。司令官から手が伸びて、それに誘導されるように身体を寄せていた。
「あら、司令官さん。お疲れ様です。」
伊良湖さんがぱっとこちらに振り返って、既に出来上がっていた料理を運んでくれた。私たちは二人ともそれ程食べる方ではないことを把握してくれているようで、全体的に少なめだった。
「頂きます。」
「いただきます。」
パチンと手を鳴らしてとりあえず味噌汁を啜る。湯気が立っているそれはとても安心する味で、ほのかに感じる出汁がより味を引き立たせていた。
「ほぅ…」
熱いものを飲むと、いつもいつもこんな風に一息ついてしまう。こうすると一区切りついたようでなんと言うか落ち着く。次にふっくらと盛り付けられた白米を食べる。特別なお米を使っているわけではないはずなのに、咀嚼すればするほどに味が増して、先ほどの味噌汁の塩気も相まって一段階上に行く。
「やはり美味しいですね。」
間宮さんたちが厨房の方で恥ずかしそうに口元を押さえながら笑っているのが見えた。
「間宮さ〜ん。」
「今日もご飯、頂きに来ました。」
曙と加賀。二人がいそいそと準備するのが見えた。私の目の前に置かれた料理を食べようと机の上に目線を移す。すると、司令官はいつのまにか食べ終わっていて、私の方に笑みを浮かべながら見つめていた。それが少し申し訳なくて、箸が進む。
「ゆっくり食べていいんですよ?」
「でも…」
「焦ると喉に詰まってしまいますからね。」
「あんたらはいつも惚気てるわよね。飽きないの?」
「…ブーメラン投げるの上手そうですね。」
「分かって言ってるから。」
私の隣に曙が座って、その更に横に加賀が座る。対面に座る私たちとは少し違う並び方。そこに、私たちと曙たちとの関わり方の違いがわかった。
「ふぅ、ご馳走様でした。」
「「お粗末様でした!」」
また、食べる前と同じ様にパチンと手を鳴らした。すると、司令官が徐に立ち上がり、私の方に手を伸ばす。黙って差し出されるそれを、私もまた黙って繋いだ。
「お熱いことで。」
加賀が珍しく茶化してくる。じとりと少しねちっこい視線が向けられる。
「加賀、あたしたち人のこと言えないから。」
曙がぺちんと加賀の肩を叩こうとした。でも、背が足りないから二の腕あたりに手が当たっていた。そして、それを聞いた加賀は目を見開いて、信じられないと言う様な目をしていた。
「ではお二人とも、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
「また明日、会いましょう。」
「二人ともお休み。」
私たちが食堂を出るタイミングで丁度、瑞鶴、武蔵、青葉の三人が入ってきた。
「あ、三人とも、お休み。」
「もう寝るのか?」
青葉は顔を赤くして、瑞鶴は少しにやけたのがなんだかくすぐったくて、武蔵の反応がまた新鮮で、少し変な感じもした。