「青葉…私はもう寝るが、まだそれを観るつもりか?」
「ええ。武蔵さんはお先に寝ていてください。」
司令官のお部屋に仕掛けた監視カメラの映像を確認していると、眠そうにする武蔵さんが聞いてきました。メガネを枕元に置いて、電気を消します。そして、私のモニタから発する光を見ないように後ろに向きます。私は、音漏れ対策としてイヤホンを耳に装着します。いくらもう安定して、霞ちゃんが受け入れたといえ、私はやはりまだ司令官への疑念が晴れません。そのためにも、しっかりと観察してあの人のことを知っておかなければ!
「と、言うわけです…」
「へぇ…そんな理由で私たちの自室にカメラを設置したと。で?私たちの行為。全て記録されているんですよね?」
「はい…」
青葉観ちゃいました。あの二人が愛し合うところを。はっきり言ってすごかったです。青葉には刺激的すぎました。
「いえね、私単体のことであれば別に構わないんですよ。問題は、霞までもがそれに映り込んでいることです。」
「…」
あれ?この人今さらっととんでもないことを言ったような…自分だけだったらいい?
「青葉、叱られているのにそんな顔するのは失礼だと思わないんですか?」
「あ…その…」
それに、今の青葉は叱られているのに、一切緊張感というものが纏えません。別に青葉が図太いわけではなく、司令官の膝の上にちょんと乗っている霞ちゃんです。
「なぜ霞ちゃんが…?」
「起きた時にひとりぼっちは可哀想でしょう?霞はそうなれば絶対泣いてしまいますから。」
「…て、話をはぐらかそうとするのは辞めなさい。」
別にそういうつもりはありませんでしたが、余計に怒らせてしまいました。
「で?どこからどこまでですか?」
「…霞ちゃんが司令官に話しかけてから…お二人が抱き合ったところまでです…。」
「しっかり全部見た…と。つまりはそういうことですね?」
「はい…」
はあと司令官がため息をつきます。そして、私の方を見て一言。
「データは残っていますか?」
「ええと…薄々わかっているのですけれど…その…一体なぜでしょう?」
「もちろん没収して、永久に復元できないようにそれを破壊し尽くします。もちろん断れば…ふふ。私はやると決めればなんでもしますよ…。たとえあなたが霞の建造した艦娘だとしても…ね?」
「了解です!こっここ、こちらですぅ!」
「ええ、ええ。物分かりの良い子は好きですよ。」
司令官が不適な笑みを浮かべてこちらを見つめます。冷や汗が滝のように流れて止まりません。
「ん…しれ…?」
「む…」
なんと最悪のタイミングで霞ちゃんの意識が戻りました。これは、青葉の声で起きてしまったようにしか見えませんし、事実私も、私のせいで起こしてしまったと感じています。
「…しれ…もうあさぁ…?」
「違いますよ…。ほら、まだ眠いでしょう?ね、眠ってしまいましょう。」
そう言って、霞ちゃんを優しく抱きしめると、霞ちゃんは再び眠りに落ちてしまいました。
「ふう。では最後。カメラの位置と数は?」
「…へ?」
「カメラの、位置と、数。早く教えてください。」
「はい!青葉、撤去作業に移ります!」