「しれ、か…もっと…もっとぉ…」
互いの肌を密着させ、汗ばんだ肌がじっとりと密着する。足先は最早動かすことすらできず、腕はかろうじて彼を抱きしめている。思考は既に放棄され、視界はぐらついて、目の前に何があるかすらも認識できない。
「あお゛…おぐぅ…」
再び彼に奥に打ち出された液体に身を預けていると、高揚感が凄まじい。押し付けられ、吐き出され、征服されているような感覚に酔う。唇を重ねられ、また歪む。彼の方を見ると、息も絶え絶えに少し辛そうに見えた。
「…まだやりますか?」
前髪が一束はらりと垂れ、顔の前に掛かる。その様子が私を興奮させる。扇情的で、魅力的な彼の姿が網膜に焼き付いて離れない。耳元に近く感じる息遣いも、私にとってはただの興奮剤にすぎない。
「して、ほしい…」
ふうと彼が一息ついて、もう一度腰を引く。ゾクゾクと鼓動が上がり、汗が全身から溢れ出る。熱っぽい頭が蒸発し、目頭が濡れる。口から溢れる息が白く見え、そして私を貫通する刺激が脳を直接潰した。
「あ゛〜?」
ギリギリと締め付けるナカと、更に抱きしめられる時の僅かな痛みで果てる。近すぎる顔と少しの隙間もない肌の間に汗がひとつ流れ、湿気の多い空気で呼吸がままならない。嬌声未満の私の掠れ声と水音のみが響く部屋はどうにもならない雰囲気が立ち込め、二人だけの密室は狭くなり始める。天井が近づき、壁が狭まり、私と司令官二人が丁度入る程度に縮む。しかし、司令官が少し身体を離すと、何事もなかったかのように部屋が広がる。
「っぁ…、や…しれ、か…はなれちゃ…やぁ…」
無理矢理抱き寄せようと腕を引いても彼は近づかない。少し離れた位置から奥を潰す動きが繰り返され、愛しい彼は遠ざかる。無性に悲しくなって涙が滲み、それに付随するように粘液の分泌と締め付けが強くなる。彼の手が私の身体に触れ、突起二つをくるりと撫でる。腰が跳ね上がり、彼の顔に笑みが浮かぶ。
「やっぱりここが弱いんですね。」
「は…うぁ…そこ…やらぁ…」
先ほどから耐え難い程の快楽が脳を刺激し続け、全身を犯し、絶頂している。情けなくも抵抗敵わぬ動きに身を預け、シーツが貼り付く。昼の指では味わえなかったこの感覚。彼でなければこうはならない。
「しゅき、しゅき…しれ…はぅ…あ…!」
ぎゅっと強く抱かれ、密着しきった後に、また奥を貫く液体が私に広がる。脳内麻薬が溢れ、口元が緩む。全身が痙攣し、毛先までも広がる。
「…少し、休憩させてください。」
私から肉棒を引き抜き、ふっと一息吐く。ぬるりと抜けて、私の秘部からどろりと垂れる。
「あふれひゃ…らめ…んむ…」
ちうと唇が触れ合い、柔らかく反発するそれに意識が向く。瞼が溶けるような熱さに全身が脱力し始める。口の中を彼の舌が縦横無尽に動き回り、息が難しくなる。いよいよ苦しくなったところでようやく彼が唇を離す。どうにも辛いこの感覚は、しかし高揚感によって押し除けられる。
「は、ひゅ…しれ…やめちゃう…?」
ただ聞いただけだった。しかし彼は、私のことを面白そうに見つめ、そっと額を手でなぞった。
「あう…?」
また穏やかな笑みを浮かべて、今度は私の手を握る。指と指を絡めて頑丈に。離れないように。そして、今度は全身で迎えられる。全身を締め付け、確かめ合う。確かにお互いここに居て、確かに触れ合っていることの確認。脚まで絡めて解けないよう徹底的に。
「可愛くおねだりできたら、もっと頑張りますよ?」
突拍子もない発言は彼にはよくあることだった。けれど、こんなに恥ずかしい要望は初めてだった。想像するだけで顔が熱くなって耐えられない。けれど、この真っ直ぐな瞳を見ると、ついつい私もやってしまう。
「おねがい…しれ、かん…わたしのこと…もっと…お?」
ぐっと身体が持ち上がり、ふわりと絹に触れるような手が私の頭に触れる。次いで腕が背に回り、脚も腰の辺りに回る。背骨に沿って彼の指は流れる。そして、丁度そこにあったのか耳が彼の口に収まる。
「んにゃ…それ、たべちゃらめ…」
耳の中を彼の口が喰む音が響き、全身の毛が逆立つような感覚を覚える。ぢゅっと私の秘部に指が侵入してきて、動く。
「しれ…あ…これ…んぅ…ふ、ふ…」
呼吸が余計に乱れ、目が泳ぐ。どうやら身体の方は限界らしい。そう感じると、眠気が襲ってくる。彼は、それすら見抜いたような笑顔で私に口付けをする。
「うぁ…しれ…ねむく…なっちゃ…」
「かまいませんよぉ?ほら、」
そう言って、私から指を抜いて、私を抱えながらゆらゆらと揺れ始めた。心地いいその規則的な揺れが眠りに誘う。けれど、同時に彼とのいつも以上の…もっと言えば肌と肌との触れ合いの中眠ったことなどない。そのせいで、寝るに寝られない。しかし、それはそれとしてこの夢を終わらせたくない、とも思う。
「ゆっくり…眠ってしまいましょう?ほら…私はずっと、あなたの隣にいますから。」
そう、耳元で囁かれ、私の緊張の糸が綺麗に消え失せた。