※この作品はR-18です。

【艦これ二次創作】辺境鎮守府   作:スイっぴ

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色々な鎮守府の霞を見よう
(霞竣工日おめでとう!)


番外編・霞もっと

〜後輩の鎮守府〜

「今日も遠征…ね。」

正直日々の任務が退屈で仕方ない。遠征をしては遠征をして。資源が溜まっていくことにももういい加減飽きてきた頃。というか、この鎮守府では朝潮型を筆頭に大発動艇を装備できる艦が主に遠征に駆り出される。私もその例に漏れず、せっせと資源を運んでいるし、その任を半ば受け入れていると言うのが現状。

「どうしたの、姉さん。」

「霰…いえ。別になんでもないわ。」

私たちの練度は決して低いわけではない。むしろ高い部類で、更に色々な艤装が搭載できる長所がある。しかし、それでも戦闘任務ができないのは、他の特化した艦に任せているからだ。睦月型なんかは燃費の良さで遠征を、朝潮型は前述の通り、白露型や夕雲型は皆海域を攻略すると言うように完全に分かれている。個人的には、偶には遠征ばかりで鈍った身体をなんとかしたいのが本音。さて、話を変えると私たち遠征組はずっと同じ艦隊で行なっているわけではない。一日ずつの交代制で、適度に休みがある。休日はゆっくり羽を伸ばせるいい機会だ。

「で、この部屋に来たわけね。」

「…何かしますか?」

「別にそう言うわけじゃないわ。ただの暇つぶし。」

「姉さんの照れ隠し?」

「違うったら。」

第十八駆逐隊の陽炎、不知火、霰と同じ部屋で、駄弁りながら時間を潰すのが実は楽しい。私はこの中では一番の新参で、次に遅い陽炎よりも数ヶ月かは遅かった。司令官は、初対面での威圧感が凄まじかったのが印象によく残っている。赤城さんはあいつのどこに惚れたんだろう。まあ、見かけだけならすぐにでも根性を叩き直していたけれど、指揮も十分にできるようだったから、認めざるを得なかった。だから、曙のあのセリフは実はかなりすごいんじゃないかと思ったりもする。

「は〜。久しぶりにみんなで海に出たいな。」

「遠征で出てるでしょ。」

「多分…そう言うことじゃない。」

「戦闘ですか。しかし、司令官の方針としては、不知火たちを出撃させることは、あまりないのでは?」

陽炎も不知火も、どちらも遠征組で、私よりも長いこと遠征に従事してきたらしく、板についているからか特に何も言わなかった。しかし腹の内では不満があったらしい。

「じゃあ、司令官に意見具申したら?案外、了承されるかもしれないわよ。」

「それはそうだけどね〜。」

と、まあこのようにそれほど刺激のない日を適当に過ごしているし、変わり映えのない日常が案外楽しかったりもする。そして、遠征中に出くわす深海棲艦をちょくちょく沈めているので、実際のところ、戦闘に飢えているというわけではなかったりもする。

 

〜呉の鎮守府〜

例の事件が起きてから、ここはだいぶ変わってしまった。あいつに執着していたわけではないにせよ、私としても正直驚いた。いつも飄々として、の割には色々考えを巡らせていたのに、あんなにつまらないきっかけでいなくなるなんて、おそらくは誰も思っていなかった。そこにいたからこその安心と、安寧があったのだと、そう思う。幸い私の周りではそれほど目立った異変もなく、強いて言うなら足柄が酒をよく飲むようになったと言うこと。最近では遠征以外も解禁されて、日に数度の出撃程度なら問題なく行えるようにはなった。ここでは比較的練度が高く、他の艦娘をまとめられるからと言う理由で駆逐艦娘のリーダー的な立ち位置に今はいる。けれど、この立場では正直なところはとにかく忙しい。いまだに現実を受け入れられない艦娘の制御を求められたり、定期報告会などの面倒ごとにも強制的に参加させられる。もう、私も限界が近いと薄々感じている。それに、この前来た"私"。随分素直で、可哀想なほどに打たれ弱い"私"が嫌に鮮明に残っている。けれど、彼女は幸せそうだった。私とは全く違う道を進んでいた。一方はケッコンまで行き、もう一方は日々精神をすり減らしながら、出撃もしなければならない。この差が、なんだか惨めに見えて、頭痛が酷かった。新しい提督は完璧とまではいかないけれど、及第点以上は確実に取るような人だ。クズ司令官は、いい加減なところもあれど、仕事に関しては妥協を許さず、全てを完璧にこなすし、なんなら出撃すらもこなしていた。あの細くか弱い身体からは想像もつかないような自由な人間だった。だから、あの姿には正直好感を持っていた。今はもう手の届かない背中が懐かしく、嫉妬に包まれる。嗚呼、どこで間違ったのかがわからない。皆んなで彼のケッコンを止めていたのが悪かったのだろうか。強制的にケッコンさせて、無理にでも出撃させないようにするのが良かったのだろうか。その何れもが絶対に違うと言い切れる。それは、"私"が来るのよりもずっと前にここに来たときからわかっていた。いくら見た目を繕っても、私たちにとっての司令官はあいつただ一人だけだったから、見間違うはずなんてなかった。やけにめかし込んで、怪しい視線を送られたあたり、みんなの異常を感じたと思うのが確実か。そして、こんなことを考えている間にまた面倒ごとが起こる。どうやらまた如月が発狂したらしいので、胃薬と痛み止めを適当に飲み込んで現場へ向かう。このような日々を過ごしていると、しかしもう一つの考え方が生まれると言うのもある。私が、司令官にケッコンを申し込んでいれば…と。もちろん叶うはずもなし、なんなら他の娘の"そういう感情"を知らないわけではない。しかし、どうしても思ってしまう。私が、彼と、ケッコンしていれば、何かが変わっていたのかもしれない。もしかしたら、二人で幸せになっていたのかもしれない…と。あちらの"私"を見てしまったせいで、こう思うことが多くなってしまった。

 

〜辺境〜

「霞。」

「ん?どうしたの?」

顔を振り向かせ、今まで座っていなかった膝の上に乗る。きょとんとしている割には色々思考を巡らせているのがわかる。そして、頬を右手で掴んでみる。ふんわりと柔らかいそれが掌の全てに感じられる。

「ふにゅ。ひれ、にゃにすりゅの?」

頬の形が変わっているからかうまく喋れないようだった。なんだかその光景が面白くて揉み込む手が止まらない。こうすると、だんだんうんざりしているような顔になる。そうなってきたあたりが潮時として、一旦手を離す。

「少し目閉じててください。」

「えぇ?まあ、いいけど…」

と、満更でもなさそうに顔を紅潮させて目を閉じる。無意識なのか知らないが、唇を突き出しているように見える。今度は頬を撫で、髪を撫でる。すると、少しずつ顔が赤くなり、やがてはのぼせたような雰囲気になる。ふるふると痙攣しながら、尚も唇がこちらに寄せられる。じっと見ていると、少しずつ不安になってきたのか眉が下がり始める。そして、チラチラと細目にしてこちらを見ようとしたのがわかった。いい加減解放してあげねばと唇を重ねる。そして、そのタイミングでちょうど堪えきれずに目を開いたらしい。抑える右手に感じる熱が更に上がったのがわかったのがその一番の証拠と言えるだろう。浅くキスを交わし、そっと離れる。

「んぅ…もう…」

恥ずかしそうに顔を抑え、俯く彼女から目が離せない。

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