「霞、そろそろ落ち着いて。二人とももう戻ってますから。」
「でも…でも…」
「食事の時くらいは落ち着いてくださいよ。」
流石にいつまでも尾を引くほどではないと感じてしまう。当事者でないと言うことや、霞が曙と最後に会ったタイミングを知らないのでこれ以上はどうも言えないが、本人たちの問題がすでに改善しているので、関係者以外はそう気にしないでも良さそうである。
「ごめんてば。ほら、もう大丈夫だからさ。」
「その節は大変にご迷惑をお掛けしました。」
と、当事者たちが謝るほどには泣いている。この状態でもしっかり食事を摂るあたりはさすがと言ったところ。
「青葉さんは〜、懲りないのかしら〜。」
「ちっちがいますよ!これはちがいますぅ!」
「じゃあその写ってるのは何かしらぁ。」
「ええと…その…」
「武蔵さんが写ってるわね〜。あら、大和さんも一緒。楽しそうにお喋りしてるわねぇ。」
「やめてください〜!状況を事細かに伝えないでぇ!」
やっぱりこの人を揶揄うのが一番楽しいかも〜。武蔵さんへの視線がわからないほど鈍いのも、青葉さんの想い人とその姉くらいかしらね〜。みんなにはバレてるし〜、司令官も知っているとは思うんだけど〜、まぁ、面白そうだからいいかもしれないわぁ。
「私知ってますよぉ?毎晩毎晩青葉さんが武蔵さんの名前を呼びながら…」
「わーわー!も、もういいです!私の負けです!言うことなんでも聞くのでそれ以上は勘弁してください!」
「じゃあ明日の夜までに〜今まで設置してきたカメラを全部取り外すか武蔵さんに告白って言うのは…どうかしらぁ。」
これを聞いた瞬間の顔が赤いのに冷や汗が出ててついつい笑っちゃいそう。手帳を広げて器用に顔を隠す仕草も可愛らしいこと。だからこの人のことは好きねぇ。
「カメラの撤去でお願いします…」
「あらヘタレ。」
「うぐぅ!」
「山城?あんまり近づかれると少し暑いんだけれど…」
「は!も、申し訳ありません姉様!」
「仰ぎましょうか姉様!」
「お水をお持ちしました姉様!」
今、私には三人の妹が居ます。その内の二人はもう艦娘ではなくなってしまったけれど、変わらず私を慕ってくれるし、優しい子たち。もちろん艦娘の山城もそうなのだけれど。
「ねぇ、二人は…やりたいこと、ないのかしら。」
「「姉様のお側にいることです!」」
「そういうことじゃないのよ…。」
三人とも首を傾げながら、ありえないと言うような顔で見つめられて、流石に怖い。
「ねえ私たち。姉様のお側にいることは?」
「「至上の悦びよ!」」
「と、言うことです。提督も、私たちのことは理解した上でここに身を置くことを許可しています。」
「でも…二人はもう普通の女の子なのよ?ほら、やりたいことなんていくらでもあるんじゃないかしら?じっくり探してみるのも…」
ここまで言いかけた辺りで口が止まってしまう。その…小動物のような悲しそうな目で見られるとどうもそれ以上の言葉を紡ぐのが忍びなく思えて、思わず間の抜けた声が漏れてしまう。
「姉様は…私たちがお嫌いですか?」
「姉様が望むなら、どこへでも行かせていただきます。」
「違うの!ごめんなさい山城!ずっとここにいていいわ!」
「「「姉様ー!」」」
「食堂で何してるデース。」
「いちゃつきたいなら自分たちの部屋にしなさいな。」
「仲がいいのは良いことだな!」