「どうですか!似合ってますか!?」
「ええ、ええ。よくお似合いですよ。」
武蔵に締め上げられながら大和の水着姿を見る。まあ、詳しくは言わないが、やはり心臓に悪い。抱えられたラムネは余程冷たいのか結露している。
「ところで、提督と武蔵は何を?」
「はは。何、少し戯れているだけさ。なあ提督よ。」
「うーんそろそろ背骨が取れそうです。」
「んもう!そろそろ次行くわよ!」
無理矢理武蔵を引き剥がし、強引に部屋を後にする。廊下は部屋とは違い蒸し暑く、嫌に思い空気が肺にのしかかる。どうにか身体を持ち上げて背伸びをするとバキバキと異音が響いた。
「ねえ、大丈夫?」
「ご心配なく。少々痛む程度です。」
「それで心配するなは無理ね。」
「次…扶桑姉妹の部屋にしますか。一番近いので。」
「上がりこんでも碌なことにならないからさっさと渡して瑞鶴のとこ行くわよ。」
「サーイエッサー。」
流れ落ちる汗と湿気を連れて廊下を進むと段々と頭がぼやけて思考が単調になる。霞の方もなんだかんだで辛そうで、見ていられない。
「あら、二人とも。曙を見ませんでしたか?」
いつも通りの制服のはずなのに汗一つかいていない加賀がやってくる。本当に暑さを感じているのだろうか。
「曙なら…青葉を追いかけて行きました。あと、探しているならついでにこれを。夏用の"大本営からの"制服です。曙に渡しておいてくださいね。」
「…了解よ。」
袋の隙間から見えたであろう布を見たのだろうか。目を輝かせ始めたのを見逃すことなどできなかった。
「制服の支給です。これを着ないと怒られるのでよろしくお願いしますね。扉の前に置いておきます。」
奥の方からくぐもった声で返事が返って来たので、これ以上深掘りせずに次の瑞鶴の元へ急ぐ。このままではどうにかなってしまいそうなほどには暑い。それ故にさっさと終わらせてしまいたいのだ。
「瑞鶴〜!瑞鶴〜!いますか〜!」
部屋の中からは瑞鶴どころか翔鶴の声すら帰ってこない。もしやと思い弓道場へ行くと、そこには正規空母の二人がせっせと矢を射っているのが見えた。
「あ、提督さんと霞じゃん。こんなとこになんのよう?ってか何その服。似合ってるけど…」
「瑞鶴にもあるわよ。取り敢えず今から着替えて来なさい。」
「あの…提督。私には…」
「瑞鶴にしかありません。すみませんね。」
あからさまな肩の落としように思わず笑ってしまう。すると怒ったのかむすっと膨れっ面になる。
「まあ、要件は済ませました。体調に気をつけて過ごしてください。では。」
「ん、じゃあね。」
「お気をつけて。」