「随分な荷物のようで。」
「買い物には時間もお金もかかるのよ。」
「今度みんなで海に行きましょうね!武蔵!」
「そうだな。まずは片付けからしような。」
ゾロゾロとみんなが帰ってくる。正面玄関が狭く、一度に全員が通ることは難しい上、更に大量の荷物のせいで余計に面倒なことになる。
「とりあえず用事が済んだのなら、演習でもしてもらいましょうかね。」
「!加賀、あんた、霞とタイマンしてきなさい。」
「!?な、なぜ…」
「いいから!」
困惑と涙目で曙を見つめる加賀が少し面白く、同時に曙の真意を理解できていないということも分かる。正直私はどうこう言う気はない。
「曙には逆らえないわね。じゃあ加賀、ビシバシ行くわよ。」
「…お手柔らかに。」
腹をくくったのか、それとも開き直ったのか、少しふらつきながら艤装を展開する。
「ではそれ以外の方は6人ずつで別れてもらいます。」
「提督、姉さまがもし負傷したらどうするつもりなの?」
「あなた方の姉である扶桑はそれほどに弱いと?」
「そういうわけじゃ…」
「なら、静かに見守っていてください。私は霞達を見てきますから。」
二人の山城に詰められていた。その気迫は元艦娘なだけあって威圧感たっぷりだった。しかし、扶桑の名前さえ出してしまえば案外すぐに止まる。大艦巨砲主義を体現するかのような我が艦隊には違和感のある、駆逐艦と正規空母のタイマン勝負を見守る。加賀の恐ろしいほど数の艦載機が一斉に放たれ、爆撃をかます。しかし、霞は最小限の動きでそれを躱し、避けきれない物のみを落とす…というあり得ない戦闘を行う。しかし、どこまで強かろうと所詮は駆逐艦。射程距離はとても短く、火力がない…はず。それでも魚雷や、確かこの前曙のように潜水して近づくという荒技を覚えていた。それならすぐに決着がつくだろう。まあ、それをしないのはきっと霞自身が面白くないからだろう。そして、あっという間に距離を詰め、加賀に至近距離から砲撃を行い、あっさりと轟沈判定になる。確か練度が70後半程度だったと記憶しているので、暫くこれは続くだろう。
「負けました…」
「悪くないわね。けど、ちょっと艦載機の密度が薄いと思うわ。加賀なら、もっといけると思ったんだけど。」
「あれでもかなりの量ですが…」
「そういうことじゃないわよ。量と密度じゃ違うわ。まあ、数は申し分ないのよ。でもそれだけ。避けるのに苦労しないのは空から攻めれるというアドバンテージを放棄してるようなもんよ。あとは…瑞鶴みたいに副砲を積んでみたら?弾をばら撒くだけでも大分面倒よ。」
「ありがとうございます。しかし…曙は何を考えているのでしょうか。」
「気づいてないの?」
「?ええ。霞は知っているんですか?」
「…まあ楽しみに待ってなさいよ。曙から教えられるまでは知らない方がいいわ。」
「そうですか…。」