「どうですか?調子は。」
「…もう大丈夫。」
結局少しも寝ずに朝を迎え、隈と泣き腫らした目元が違和感がある。司令官はずっと私のことを抱きしめてくれて、暖かくて、そして幸せだった。嬉しくて、でも少し辛かった。
「寝るとね、嫌な夢見ちゃうの…でも、司令官が私のこと抱きしめてくれるとね、寝なくても大丈夫なの。」
「今日は演習はしてはいけません。万全な状態ではありませんし、何より心配です。なので、今日はずっと一緒にいましょう。」
「うん。ありがとう…」
彼に抱き上げられ、廊下を進む。浴場への扉が見えて、早くは無い時間にお風呂に入る。お湯でさっと身体を流して、湯船に浸かる。全身がお湯に包まれ、司令官が私の頬を撫でる。優しいその手が心地よくて、思わず手を重ねる。
「ん…司令官…あったかい…」
抱き寄せられ、彼の前方に座る。腕で支えられ、脱力しても彼のおかげで溺れない。全身を預けて、一度脳をまっさらにする。ゆっくりと眠気が襲って、途端に身体が震えだす。
「眠い…司令官…」
「大丈夫ですよ。怖い夢はきっと見ません。うなされても、絶対に起こします。ね。ですから、少しは寝てください。」
そう諭されながら、頭に頬擦りされる。彼への信頼が強く、その言葉を聞き入れる。瞼を閉じ、意識を飛ばす。次第に脳が軽くなるように、全てが溶けていく。
次に目を覚ますと、執務室に居た。いつの間に、と言うやつで、服は上着を羽織らされては居たけれど、下にはしっかりと?水着が着せられている。
「おや、お目覚めですか。みなさん、今は自由に過ごしてもらっていますよ。空母と曙は弓道場ですし、戦艦組で演習。青葉はなぜか大和と喧嘩しています。」
「ん…おはよう…」
まだ眠くて、視界は少しぼやける。執務机の上には書類がまばらにあって、その全てに判子がされている。私の眠っている間に彼が終わらせたのかもしれない。なんだか申し訳なくなってきて、そして倦怠感がすっかりなくなっていると言うことにも気づいた。
「おしごと…」
「もう終わっていますよ。」
「ん…そう、ね…あふ…」
欠伸が抑えきれずに出てしまう。それを司令官の腕が静止しようと私の口元にやってくる。むんずと頬を鷲掴みにされ、一瞬思考が止まる。
「む」
「柔らかいですね。相変わらず。」
「ひょお?」
何度も揉み込むあたり本気だろうとは思うけれど、にしても少し困る。そして、起きてすぐの視界が司令室であると言うことは、私は朝ご飯を食べていないことになる。そう自覚すると、途端に空腹を自覚し始める。
「ひれ…おにゃかひゅいひゃ。」
「…今なんと?」
手が離れ、頬が開放される。けれど、少しそれは名残惜しい。
「…お腹すいちゃったの。」
「そう言えば、あなたは今朝から何も口にしていませんね。いいですよ。今から何か適当に作りますか。」