ほとんどの艦娘を気絶させ、なんとか安全に先頭を終わらせられた。
「早く放して欲しいのです!」
ジタバタと暴れる電を無視し、小脇に抱えながら急足で鎮守府内部へ足を運ぶ。中には軽巡や重巡などがちらほらといた。
「いいですか電さん。今ここの提督さんはおそらく僕にも抑えることができないほど凶暴になっているはずです。無理に逃げようとするよりも僕に捕まってる方がまだ安全なはずです。」
「意味のわからないことを言わないで欲しいのです!電はあの人に言われたことを遂行しないといけないのです!」
若干涙目になりながら言われると心にくるものがあったが、グッと堪えて先輩の元へ走る。
「あのジジイはどこじゃー!」
怒号が響き渡り、同時に鎮守府内部が一際ヒリついた空気になる。周囲の艦娘は怒りを露わにしているのか肩を振るわせたり、拳を握るものなど様々で、電は先ほどまで暴れていたのが嘘のように落ち着き、小声でぶつぶつと呪文の様に何かを喋り続けている。
廊下をとにかく走り続ける。今となっては地位も役職も関係ない。ただただ目標の人間を抹殺することだけを考えている。しかし見当たらない。おそらくは通信機器を遠隔で操作しているのだろう。されどいないとも限らないので、すれ違う刺客どもを蹴散らしていく。国家反逆罪だろうがなんだろうが今の自分を縛るものなど何もなかった。
「曙。こいつら全員外に放り出すわよ。あいつが見境なく吹っ飛ばしてくからどんどん増えてくし。正直邪魔だし。」
「そうね。」
先ほどの榛名や、そのほか多くの戦艦や重巡などを外に出す。気絶で済んでいるものの、顔が歪んだりよくない方向に曲がっているものは入渠ドックに運ぶ。
「まったく。あの軍曹にも困ったものね。あいつがここまで怒るのも、これほどの部下を従えて来れるのも。」
「ほんとそれよね。まったく!」
「軍曹殿。電が拘束されたまま、駆逐艦達が無力化されました。そのまま鎮守府内部へ侵入していきます。追手はいりますか?」
『いいや。なくていい。電の様子は?』
「暴れていますが、拘束が強過ぎて抜け出せないようです。」
「あと、余談ですが桐原は鎮守府内部を暴走。すれ違う艦娘全てを薙ぎ倒しています。」
『なんだと?彼のどこにそんな力があると言うのだ。』
「さっぱり謎です。そろそろ終了の合図を出した方がいいのでは?向こうの入渠ドックもそれほど空いてないでしょう。」
『後数分でそちらに着く。それが終了の合図だ。』