彼女らの演習を観察するうちに、妖精さんから一つ報告をもらった。私の戦艦の維持が自分たちではそろそろ厳しい、と。なんでも特殊な構造すぎて整備するのにも膨大な労力と知識、時間に資源もかかるようで、どうにか対応してもらえなければ最悪解体も視野に入るらしい。
「明石でも派遣させてもらいましょうかね。」
【そう簡単なものじゃないんだよ。この艦は色々おかしいんだ。今まで騙し騙しやっていたけど、流石に苦しい。今ここで形を保っていること自体がすごいことだよ。】
「…一体どういう意味ですか?」
【まず艦娘の装備を搭載しすぎ。艦娘用の装備を無理に扱える様にしてあるんだから、偽装以外に艦にも負担がかかるのはおかしくない。】
【それからもう一つ。小型すぎるってこと。】
「一人で操縦できるようにしていますからね。」
【そこがおかしいの。一人でなんて普通はできない。せいぜいが小さなボートや漁船くらいなものさ。軍艦を、それも艦娘用の装備を載せた艦を一人だけでなんて機能を詰め込みすぎておかしくなるとか考えなかったの?】
それに関しては、確かに設計段階でまずいとは思っていた。ただ、その時はなんとか作り上げて、皆の役に立ちたいと思っていたのだ。流石に小さな少女たちを戦場に送り出し、一人安全圏でふんぞり帰っているのはいただけなかったからだ。
「わかりました。こちらでどうにかします。あと数日以内でどうにかできなければ、即解体していただいて結構。」
【決まりだね。よろしく頼むよ。】
私の艦の建造には昔の鎮守府の明石と夕張が深く関わっている。私が二人に相談したあたりから乗り気になって急ピッチで仕上げてくれたのだ。本当に感謝している。そして、私がそれに乗っている間は二人からも不備があるだとか、調子が悪いなんて言う報告もなかった。二人が懸命に整備してくれていたおかげだろう。
「…行きますか。呉。」
気は乗らないが、仕方がない。私の大切なものが失われようとしている。誰だってこうなれば動かざるを得まい。多少のリスクはあれども。
「ああ、間宮さん。私は少し出ます。皆さんに伝えておくことはできますか?」
「ええ。もちろんです。お気をつけて。」
「あと…お昼時になったらみんなを呼んでください。きっとへとへとですから。」
畑にいた彼女に短く伝え、急足で鎮守府を出る。遠くも無ければ近くもないあそこへはいつかに行った以来訪れることはなかった。小鳥遊提督は元気にしているだろうか。それより、あそこから明石と夕張を連れていくことはできるだろうか。彼が許容しても、二人を失うのは鎮守府にとってはかなりの打撃になる。行き当たりばったりではあるが、仕方がないと言い聞かせ、一人駅へ走る。
「間宮さん。提督、何か焦っていませんでしたか?」
「そうねぇ…霞ちゃんにも何も言っていないみたいだし…でも、あまり散策してもよくないわ。ね、伊良湖ちゃん。」
「そうですけど…。」
「さ、収穫しちゃいましょう。急がないとこの子達が悪くなっちゃうから。」