「失礼。今到着したよ。終了の合図を。」
「では行きます。」
ブゥンと艦載機の発艦音が耳に届く。
「また音響弾がくる!」
咄嗟に耳を塞ぎ、鼓膜を防御する。電も耳を抑えている。キィーンと響く音の鳴り止んだ瞬間に、先輩が外を並外れたスピードで駆けていく。
「待ってください先輩!」
電をその場に放置し、全力で追いかける。
「音響弾は必ず艦載機から投下される!なら!それを追っていけば大元に近づけるはず!」
とにかく艦載機を追っていくと、そこには加賀や赤城ら空母たちの数歩後ろに軍曹がいた。
「覚悟ー!」
「ダメですー!」
飛び出したはずの体が突然拘束される。何事かと確認すれば、その正体は後輩だった。
「話してください!君なら私が怒る理由がわかるはずでしょう!」
「わかってます!わかってる上で止めてるんです!」
暫くジタバタと暴れていると、突然意識が飛んだ。
「「えっ」」
軍曹も突然動きを止めた先輩にはたまげたらしい。
「ふむ。日を改めた方がいいかな?」
「…その方向でお願いします…。」
軍曹の連れてきた艦隊は全て引き上げ、病院へと先輩を連れていく。
「こりゃなんだい。脚がボロボロじゃないか。骨折してないのが奇跡なくらいだよ。今は気絶してるみたいだが、起きたら痛みでまた気絶するかもね。」
「さっきまで意識があったって聞いたけど、もしかしたら脳内物質をドバドバ出して堪えてたのかもね。それが、君の馬鹿力で許容範囲を超えちゃったんだろう。脳が強制的にシャットダウンしたんだと思うよ。」
「で、腕がないのは本当に大丈夫なんだね?」
色々質問されたものの、一応話を終わらせ、先輩の名前を呼ばないようにすることを念押しし、とりあえず暫く入院することを伝えられ、先輩の鎮守府へ向かった。霞に概要を伝え、病院に入院したことを伝えると、顔が真っ青になってしまった。
「明日病院に向かうから場所を教えてちょうだい。」
「は、はい。例の道を進んでもらって、すぐそこにある大きい病院です。一応、受付で柳田の連れと言ってもらえれば面会はできると思います。」
簡単な説明だけして、鎮守府を後にする。
「曙。明日私出かけるから。留守番よろしく。」
「え!あたしは行かなくていいの?」
「いいの。誰かがここにきた時の応対をお願い。」
「わかった…。」
目を覚ました時に、脚に感じる痛みと共に見知らぬ天井を見上げる。壁掛け時計はマルキューフタサンを示している。
「起きたのね。調子はどう?」
「どうも霞。脚が異常に痛い以外は特に何も。なぜここに?というかここは?」
「病院よ。」
「私ここにくるまでの記憶がまったくないんですけど。あの騒動は治ったんですか?」
「ええ。思い出さない方がいいと思うわ。」
「?そうですか。」
「これ、着替え持ってきたから。あと髪すごい伸びてるから切っちゃうわよ。」
「そういえば結構伸びましたね。よろしくお願いします。」
バッサリと切ったおかげで頭が軽くなった気がする。
「やっぱこれくらいが一番結びやすいわね。はいできた。じゃ、今日はもう帰るから。早く治して帰ってきなさいな。」
「はいどうも。期待に添えるよう頑張ります。」