「案外元気そうですね。てっきり霞みたいになっているのかと思っていました。」
「霞ね…あの子は結構背負い込んじゃうからねぇ。私たちもどうにかしなきゃって思ってはいるんだけどやっぱり真面目すぎっていうのかしら。とにかく頑張ろうとしちゃうから。」
「まあ第一に私の後任がもっと頑張ってくれればいいのですが。」
「お?突然ブッコムなよ。俺だって結構やることやってんだ。」
ささやかな談笑の時間も三回ノックによってかき消され、大淀の声で解散する。
「提督、明石と夕張を連れてきました。」
「ああ。入ってくれ。」
桃色の髪をサイドに纏め、後ろ髪をそのまま垂らす少女、工作艦明石と水色の髪とそれを大きなのリボンで一纏めにした軽巡洋艦夕張が二人入ってくる。ふと思ったが、一つの鎮守府に複数の同じ艦娘がいると言うのは本人たちにとってはどう思っているのだろうか。帰ったら山城達に聞いてみよう。
「工作艦明石、ただ今参りました!」
「軽巡夕張、参りました。」
「以下同文!」
何気に元気そうで少し安心する。少ししてから漂ってくるオイルと鉄の香りが懐かしい。
「お前達にお客さんだ。きっと驚くぞ。」
「へえ、お客さん…あ!」
「提督!?」
「え、誰?」
「どうもどうも。今日はあなた達に少しお願いがしたくてですね。」
「な、なんでしょうか!」
「えっとね…この人は私たちの前の提督さん。」
「え、そうなの?というか、現代の鎮守府ってそんな簡単に人事異動するものなの?」
目を光らせる明石と、隣の自分に私を説明する夕張。どちらも変わらない様でよかった。
「私の艦を治していただきたくてですね。とりあえず今日一日はこちらに来ていただいてある程度直してもらいたいのです。その後、正式に彼から許可が降りたら、夕張を常駐させたいのですが。」
「だいぶ勝手に決めたな。まあいいけどよ。っと、言うわけで、今日一日はこいつについていってやってくれ。そんでもって、夕張、お前らはどっちがここに残るか、しっかり話し合っておけ。」
「ねえ、私も言っちゃダメなの?」
「叢雲は今回は思い出を語り合うだけで終わらせるということでね。うちにはもう十分駆逐艦がいますから。」
「つまんないわね。まあいいわ。私はもう戻るわ。それと、霞にはこのことを報告しない様に。いいわね大淀?」
「…もちろんです。さ、提督。まだまだお仕事は残っています。それに、先ほどの談笑中に追加のお仕事も入りましたから。」
「そうか。そうだったな、俺はまだ仕事中だったんだ。」
「では、とりあえずお二人は連れて帰らせてもらいますよ。」
「ああ。好きにしておけ。だが、必ず明日の朝までにはここに帰れる様にしてくれよ?」
「もちろん。」