暗くて寒〜い海の中。うちもまさか沈んでしまうとは思わんかったわ。帰投中にまさか深海棲艦にやられるなんて思ってもなかったしな。今までも起きたことなかったから油断しとったわ。他の子らは無事かなぁ。提督にも謝らなあかんし…
「とりあえず、浮けんけど体は動くし、帰ってみるで!龍驤ちゃんはこんなとこではまだくたばらんのですわ!」
とは言ったけど、どこまで行けばええんやろ。方向感覚も妖精さんだよりやったしなぁ。羅針盤の妖精さんも艦載機のみんなも見当たらんしテキトーに歩くしかなさそうやな。にしても海底は歩きづらいなぁ。もちょこっと平坦にしてくれません?
「アナタ、ドコカラキタノ?」
「おわ!?うちは美味しくないで!」
「タベナイワヨ。ソンナツルツルペタペタ、ワタシヨリチイサイモノ。」
「うちそんな悪いことしました?」
深海は暗すぎてよお見えません。きっと深海棲艦のどなたさんやろけど、やっぱし倒す方がええと思うわ。
「…アラ、ソッチニイクノ?」
「なんか文句でもあります?うち早く帰りたいんやけど。」
「ソウジャナイケド…マアイイワ。キヲツケテネ。」
「おーおー。あんたも鎮められんように気ぃつけや。」
「ワタシガシズムハズナイワ。ダッテツヨイモノ。」
「随分な自信やなぁ。慢心はいかんで。」
「チュウコクアリガトウ。ジャアネ。」
…1人しかおらんってわかると余計寂しいなあ。あんなんでもあってくれるだけありがたかったんかも。まあまあ、湿っぽいのはうちには合わんわ。とりあえず歩きましょ。
「ん?なんか魚影が?」
…魚影?こんな暗いのに?そりゃ上を見れば太陽の光は見えんこともないけど…
「なんかあかん気がするわ!逃げ逃げ!」
来た道も進む道もダメな道もわからん暗闇は思考力なんてあってないものなんやね。怖すぎていかんわ。にしても、ちょこっとばかし周りが見えるようになったのはありがたいなあ。
「なんやの!海広すぎるわ!」
まーったく帰れへん。陸地は何度か見たけど、どこも違いそうやったし、どうなっとるん?
「結構浅いとこ歩いとるんやけどなぁ。って、ん?なーんかやっとんなあ。あれは…航跡か?なんやねん!あっとったんやんか!そうと決まれば早く上がらな!」
海の中のくせに自由に泳げんから手も使って登らなあかんのが面倒やね。まあまあ、きっとうちが帰ってきたらみんな驚くやろな。
「…あ?だれや?」
一つ、小さな影が近づいて…いや、沈んできとる。なんでや?鎮守府のみんなは何をしとるん?
「ちょっと!そこの子!…ああもう!」
「ネェ。ソノコ、タスケテアゲヨウカ?」
「誰や!なんでもええけどお願いするわ!」
「ホントニ?イイノ?」
「ええって言っとるやろ!このままじゃあの子…」
「ワタシ、リクマデハアガレナイカラ、アナタトイッショニナッテモラウワネ。」
「…なんやて?」
「ダイジョウブ。ドッチカハモドルハズダカラ…。」
「ちょっと待ちいや!そんなんうち知らんで!?」
「シラナクテモカマワナイワ。ジャアネ。モドッタトキハキオクハナイハズダカラ、ワタシノコトトアノコノコト…アノコニモドッタナラ、アノコノシズンダキオクハナクナルカラ。」
ここ、どこかな。なんか眠いナ…。