太陽がちょうど天辺に登っている時間。直射日光が肌に刺さるような痛みを与えてくる。加賀がわざわざあたしを運んで砂の構造物を作っているのを見せられるのがなかなかおかしな光景に見えていると思う。
「それ、楽しい?」
「ええ。創作意欲が刺激されますから。」
表情の変化が乏しい加賀が割と楽しそうにしている辺り本気なんだろう。砂に水を加えてそれまでに集めていた砂の上に被せることの繰り返し。それでも少しずつ整形して形ができていく。
「これ、何作ってんの?」
「曙です。」
「は?」
一瞬何を言っているのか理解ができなかったけれど、おそらく現在の形から推測するにあたしが駆逐艦曙として就役していた頃のことだろう。加賀とそれほど関わった記憶はないけれど、こういうのを造られると少し恥ずかしい。
「あっそ。まあいいんじゃない?」
「耳まで赤くなっていますが。」
「気のせいよそんなん。」
まあ確かに、顔が熱い気がしないでもないけれど、きっと気のせい。太陽の光を直に浴び続けているからに決まってる。
マッサージされながらぼーっと海を眺めていると、荒潮姉さんと瑞鶴がやけに親しげに話しているのを見た。それほど仲が良かったようにも思えなかったのに、今は随分距離が近い。
「ねえ司令官。」
「どうかしましたか?もう少し強くします?」
「違うわ。姉さんよ。なんか、瑞鶴とすごく仲良くしてる。」
「…そうですね。まあ、そんなもんでしょう。いつの間にか仲良くなっているものですよ。」
瑞鶴と荒潮姉さんの距離感がなんとなく鼻につく。別に嫉妬とかではないけれど、こんなに親しくなれるとは思っていなかった。なんというか、毛色の違う二人だとばかり思っていたから、絶対に馬が合わないと思っていた。
「…やっぱり近くない?変よ。」
「加賀や曙みたいなものなんじゃないですか?実は恋仲だったりして。」
「そうなのかしら…。」
ずっと疑問符が頭の中をぐるぐる回っている。だって、随分可愛らしい水着でめかし込んだ姉さんが本心から笑顔になっているように見えて、瑞鶴もまた同じように快活な笑顔を返している。瑞鶴にその気があるような発言は今までに聞いたことがない。
「なんでかしら。っつぅ…」
「そりゃあ痛いですよ。無理して出てきたんですから。」
微妙な話題のすれ違いを感じつつ和らいできた腰の痛みを抑え込む。
「やっぱ似合ってるね荒潮。」
「嬉しいわ〜。ありがとうございます〜。」
「でも帽子は脱がなくていいの?さっきは飛んでっちゃったじゃない。」
「おしゃれには大切よぉ?それに、飛んでいってしまっても瑞鶴さんなら絶対に拾ってきてくれるでしょ?」
どうしましょう。妹が自分よりも遥かに小さな女の子に構っています。それに、随分楽しそう。あの子が変な気を起こさないかお姉ちゃんは心配です。
「や、あれは偶然翔鶴姉の頭に乗っただけで…」
「大丈夫よね〜?」
「あ…うん。」
…やっぱり違うかもしれません。もしかしたら遊ばれているだけ?