「彼らはなかなか大物になりそうですよ?」
髪をかき上げながら楽しそうに呟く。確かに彼らは提督…ひいては海軍の一員という存在になるため努力を重ねているように見えた。まあ、それに向かうための見た目かといえば、そうではないと思うけれど。
「どうですか?海は楽しかったですか?」
「うん。これ、綺麗なの拾ったからあげる。」
左手にずっと握りしめていたカケラを渡すと、目を丸くして驚かれた。
「おや、随分状態がいいんですね。」
「そうなの?あんまり、わからないわ。」
できるだけ綺麗なやつを選別したから、そう言ってもらえるのは素直に嬉しい。でもそれを表現するのは少し難しい。なんだか照れくさい。
「そろそろ帰りますか?」
「…まだもうちょっとだけ。」
「了解しました。」
優しく微笑みを向けられ、頭を撫でられる。くすぐったくて暖かい。パラソルから出て、もう一度海に入る。先ほどよりいくらか強まった波を足に受け、他の子に似合いそうなものを探す。
「…二人に似合うかも?」
拾い上げると表面はなんとなく紫がかっていて、裏面は青っぽい。けれど、持ち上げて触った瞬間にぱかっと割れてしまった。中は二つの色が複雑に混ざり合っているようで、すごく綺麗。それに、二つを重ねればまたピッタリ合う。
「これは…」
瑞鶴にどうだろう。翔鶴の髪に似た色と艶。波打つ表面の裏にある平らで綺麗な面。翔鶴へは、緑色で別れるもの。裏表のない性格の瑞鶴と同じように両面が滑らかで輝いている。流石にこれだけ持っていると手から溢れてしまいそうだから、一旦司令官に預ける。今度は荒潮姉さんの分を探そう。
離れた場所から改めて自分の嫁を見ると、やはり素晴らしいものである。海と睨めっこをしながら一生懸命に貝殻を拾っている。単に見た目がよかったからという曖昧なものでは決してなく、先ほど持ってきたもの全てが、丁寧にこれは誰の、これは誰のと教えてくれる。私がもらったものに関しては完全に彼女が気に入ったからなのだが、曙と加賀、そして翔鶴姉妹には自分たちのものではなく、互いを思い起こせるような粋な計らいをしている。
「これ、姉さんと扶桑たちのやつね。ほら、模様が波打ってるやつが姉さん。扶桑にはこれ三つ。全部色が同じだけど形が違うの。山城たちにはこれ。落ち着いてるし、それに似てるのが三つあったの。」
「よくそんなにぴったりなものがありますね。」
「だって私、運がいいもの。」
眩しい笑顔を向け、再び海に向かう。空が茜色に染まりかけた時間。彼女の影が砂浜に伸びる。