※この作品はR-18です。

【艦これ二次創作】辺境鎮守府   作:スイっぴ

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説教

水平線に日が完全に沈み、波の音と月の光だけが暗闇に広がる。拾った貝殻を熱心に見つめながら時折ふふっと笑う。

「何か面白いことでもありましたか?」

「海っていいものね。」

暗くてあまりわからないが、きっと私の方に顔を向けたと思われる。声色が弾んでいるのがわかる。

「そろそろ戻りましょう。」

「うん。わかったわ。」

彼女の手を引き、鎮守府へ帰る。そういえば誰にも出かけることを話していなかったから曙あたりに怒られるだろう。

 

「提督。あなた、ご自分がこの鎮守府内において最重要人物であることは理解していて?」

「申し訳ないですね。」

「霞も、あなたがいながらなぜ止められなかったのですか?」

「それは私が言って…」

加賀によって説教される二人を尻目に間宮さんたちが作ってくれた晩御飯を食べている。怒られる理由はもっともだし、反論の余地はない。他人が怒られているのを見て愉しむ趣味はないが、案外面白い。クソ提督は反省していると言いつつもどこか効いていないような反応を返し、逆に霞は涙目になっている。

「加賀さん、もうそれくらいでいいのでは?」

「そうだよ〜。それに、二人とも綺麗な貝殻くれたじゃん!許してあげなって。」

「瑞鶴。それとこれとは話が違うわ。もっと二人には自分たちの立場を理解してもらわないと。」

助け舟を出した二人を軽く一蹴し、再び説教に戻る。実は加賀本人は料理を口にしていない。ずっと二人がいなかったのを心配していたのだ。時折料理の匂いに釣られているのを悟られないように口元を拭っている。

「ですから、今後二度とこのようなことがないようにしてください。」

「はい…」

「わかりました。」

「…霞は行ってもいいですよ。提督はまだ懲りていないようなので。」

首根っこを掴んでどこかへ引きずっていく。なぜかわははと笑いながら食堂の外へ消えていく。霞は涙を流しながら荒潮の隣に座って俯いている。面白そうなので対面の席に座って様子を見る。

「あらあら霞ちゃん。大丈夫〜?」

「ま、落ち着くまでゆっくりさせてあげたら?」

「ごめんなさい…」

「間宮さーん!ご飯持ってきてー!」

はーいと返事され、お盆の上に載せていく。今日は夏野菜カレーと称して茄子やら南瓜やらが多めに入ったカレーだった。匂いに釣られたのか霞が顔を上げ、それを見た。

「どうぞ。裏の畑で採れた野菜が入ってるのよ♪」

そう言ってにっこり笑って帰っていった。ぺしょぺしょ泣いていた霞がスプーンで掬ってゆっくり口に運ぶ。だんだん顔色が良くなっていき、その内夢中で食べ勧めた。そんな霞の頭を撫でる荒潮の目は随分と優しかった。

 

霞のカレーが半分くらい減ったところに加賀とクソ提督が帰ってきた。なぜか二人ともだいぶ参っている様子で、困惑以外にこの感情を表現できる言葉はなかった。

「あんたらなんでそんな疲れてんのよ。」

「いえ…ご飯を頂いていないのを忘れていました。」

「何十分怒られたと思っているんですか…。今日はお昼も食べていないというのに…」

そういえば忘れていたけど霞たち二人は昼前あたりから見当たらなかった。まさか本当に何も食べずに過ごしていたとは驚きである。

「あー…間宮さん。晩御飯、もらえますか?」

「少し待っていてくださいねー♪」

テンション高めな間宮さんは、さっき霞にも言っていたように自分で栽培した野菜が食べてもらえるのが嬉しくてしょうがないんだろう。だから浮き足立っている。クソ提督が霞の隣に座ると、わざわざ荒潮が霞と二人で挟み込むように座った。加賀はあたしの真隣に座る。

「ええと…明日で水着は終わりです。夏が終われば水着も終わりますから。」

「あ、そうなの?」

「大本営の考えはよくわかりません。」

随分長く着ていたから感覚も麻痺してしまったけど、冷静に考えて仕事着が水着はおかしい。ようやくその異常事態が終わると思うと少し複雑なものがあった。

「もう終わってしまうんですか…?」

「はい。終わりです。曙は皆さんにそう伝えてきてください。」

「加賀が食べ終わったら行くわ。」

どこか空な表情を浮かべて運ばれたカレーを食べ進める加賀は何を思っているのか。絶望しているような雰囲気でいる。ご飯を食べている時にこんな顔をするのは初めて見た。

「終わってしまうんですか…そうですか…」

「あんた何考えてんの?」

「いえ…もう見れないのかと思うと…」

ゴホン、と咳払いをしたクソ提督によって一瞬止まる。ゆっくり口を開き、加賀に言った。

「プライベートに着る分なら問題はないらしいですよ。」

それを聞いた瞬間、目の色を変えて喜んだ…ように見えた。なんと言っても口に運ぶカレーの量が増えたし、食べ進めるスピードも早くなったから。

「…着ないわよ。」

「聴こえていなさそうですね。」

あんまりにもアホらしすぎて頭を抱えてしまう。そしてふと霞の方を見てみると少しだけ顔が赤くなっていた。その顔はなんとなく二人がケッコンしたすぐ後の警備任務の時の顔と同じに見えた。そんな顔をした理由はなぜかはわからない。

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