弓道場に似つかわしくない麻雀卓を赤城、私、加賀さん、翔鶴で囲む。
「ふふ…久しぶりですね…。提督。こうして卓を囲むの。」
「ええ…。久しぶりに見ました。卓を囲んだ時のあなたは雰囲気が変わるというか、とんでもない気迫を感じさせますよね。」
「ほら、御託はいいです。はやくやりましょうよ…。提督。」
親は赤城。ドラは西。
桐原の配牌は
一三四三五六七九九東東東發
萬萬萬筒筒筒筒筒筒
それほど悪くない。どころか割と好配牌である。
「ふふ…提督。ダブル立直です。」
宣言牌は中。ここで赤城の配牌は
一一一七八九一一二二三三九
萬萬萬筒筒筒索索索索索索策
ダブル立直・純全帯么九・一盃口の6翻まで確定している。しかし、この手を知らない桐原。当然安牌などない。ツモは六索。
(今のこの手から発展させてもあまり伸びない。しかし、ここで降りるのは…)
結局、切った牌は發。加賀、翔鶴も適当な字牌を切っている。
「ふふ…。第一ツモ。ここで和了あがれば…ふふ…。」
赤城のツモ。引いた牌は…西。大人しくツモ切りするものの、未だ捨て牌から待ちを読むことは不可能である。そのまま不気味な立直に向かって冒険などすることはできず、じわじわと追い詰められる。しかし、刻々と手配は整っていく。
三四五六七九九一ニ九東東東 三
萬萬筒筒筒筒筒索索索 索
8巡目、桐原聴牌。待ちはニ、五萬。
「立直。」
しかし…
「提督。その牌です。ロン。」
「うぐ…!」
そう。赤城は九索単機待ち。知る由もない桐原は三索や六索が切られていることから筋として通る。
そう"思わされてしまった"のである。
「裏ドラは…」
ドラ表示牌は…九萬。
「ふふ…。ダブリー・純チャン・一盃口・裏3。倍満です…。」
「ちょうど提督は0点。次、聴牌できなければその時点でアウツ…!」
「久しぶりに燃えてきましたね。いいでしょう。赤城。全力でかかっていきましょう。」
(!空気が変わった…。ふふ…。さすが提督…!)
東1局一本場。桐原の配牌。神が舞い降りる。
一一一ニニニ八八一一一東東
萬萬萬筒筒筒筒筒索索索
引いた自分でさえ驚くほどの好配牌。チラリと加賀や翔鶴を見ると、視線に気付いたのか目を背けている。それは哀れみからか、理由は不明だが、何か後ろめたいことでもあるのだろう。
一方、赤城の配牌は
東東南南南西西西北北北白白
奇しくもどちらも四暗刻。赤城はさらに悪魔的なまでの運により、小四喜和字一色の手もある。第一ツモは一索。切らざるを得ない。
(ここでは引かない。しかし、勝負はここから…!)
天は全てを見て、気まぐれに行動する。桐原第一ツモ。八筒。
「ツモ。地和四暗刻。ダブル役満。16000、32000」
「いつのまにか逆転ですね。赤城?」
その時点での着順、桐原一位。赤城二位。加賀三位。翔鶴四位。しかしその後、赤城桐原ともに流れはこず、結果最終着順。翔鶴一位。加賀二位。桐原三位。赤城四位。
「おかしい…ダブル役満を上がったはずでは…?」
「私の最初の50000点が…。」
「お二人は序盤から飛ばしすぎです。後半では運が足りないのは当たり前では?」
「さすが翔鶴ねえ!」
「ありがとう瑞鶴。でも今はあまり…。」
「まあ、久しぶりに楽しかったですよ。なかなかいい対局でした。」
「お茶でもいかがですか?」
「どうも。鳳翔さん。」
暖かいお茶を飲み、心を落ち着ける。
「では。別のところも見にいきます。くれぐれも内緒にしてくださいよ?」
「はいはい。」
クスクスと笑う鳳翔さんと放心状態の赤城を残し、弓道場を後にする。
「しかし、この格好で何も言われなかったのは不思議ですね。さて、次は駆逐艦の子たちのところでもいきますか。」
ふと、なぜ空母寮併設の弓道場へ来たのかを思い出した。
「練習風景…見れてませんねぇ。」