「荒潮ちゃん。誰を選ぶんですか?」
「そうね〜、長門さんにお願いしてみようかしらぁ。」
「ほう…それまたどうして?」
「…特に意味はないわよぉ?」
多分、目の前にいたから決めたんでしょうね。まあ、長門さんは別に拒否しなさそうですし、とてもお強いので心配はいりませんね。あと…やはり加賀さんにみすみす制空権を取られるわけにはいきませんし…
「瑞鶴さんや翔鶴さんですか?」
「できれば二人ともお願いしたいわね〜。」
「む?荒潮か。難しい顔をしてどうしたんだ?」
「いいえ〜?今から曙ちゃんと加賀さんと演習をするんだけどね〜?長門さんもどうかしらと思って。」
「そうか!是非、私も参加させてもらいたい。他にもいるか?それなら呼んでくるが。」
「まあ嬉しい。なら翔鶴さんと瑞鶴さんを呼んできてくれますかぁ?」
「ああ、お安いご用だ。」
なんとなく嬉しそうな感じで、鼻歌が聞こえてきそうな長門さんは、きっと誘われて嬉しいんでしょう。駆逐艦の子や可愛い子が好きというのはリサーチ済みですしね。
「最後の一人、霞ちゃんはどうですか?」
「…本気で言ってるんですかぁ?」
「え…」
なんだか冷めた目で見つめられて、それがものすごく怖いです。
「霞ちゃんは強すぎるからダメよ〜?最後は…金剛さんか伊勢さんねぇ。」
「ど、どちらにせよ、かなりの重編成ですね。」
「…私たちを忘れているわよ?」
「不幸だわ…」
計ったようなタイミングで、こちらまで沈んでしまいそうな負のオーラを纏った巫女服姿の参観と、それを跳ね除けるようなほのぼのしたなオーラを纏う戦艦…扶桑さんと山城さんですね。別の山城さん二人は今日はお留守番なのでしょうか?
「あらぁ。忘れていたわけではないんですよ?でも…お二人とも仲がいいから、どちらか片方しか入らないのは嫌かなあと思ったんです。」
本当に忘れていたわけではないんでしょうか?荒潮ちゃんの首元に汗が滲んでいて、少し焦っているように見えます。
「ふん、舐められたものね。姉さま。ここは私が…」
「あら、そう?なら山城。がんばってね?」
「うふふ…山城さん。よろしくお願いします。」
しかし、今更ながら随分こちらに有利な演習だと言えますねぇ。向こうは二人だけ。こちらは六人もいる。確かに二人とも実力は相応に高いですが、単純に一人で三人分の仕事をしなければいけないのは骨が折れそうです。
「呼んできたぞ荒潮。残念ながら翔鶴は辞退してしまったが、瑞鶴は出られるみたいだ。」
「よろしくね荒潮。制空権なら任せてよ!」
ん?翔鶴さんがいないということは一人分空いている…。あ。
「ね、姉さま!」
「そうね、ねえ荒潮。私も入れるかしら?」
「ええ、大歓迎ですよぉ?」
なんと都合がいい。彼女らは不幸だなんだと言いますが、今回ばかりは幸運だと言えるのではないでしょうか。なんといい笑顔。ああ、カメラを置いてきてしまったのが悔やまれます。
「じゃあいきましょうか〜。」
荒潮ちゃんがマイペースに歩みを進め、その後ろに戦艦三人と空母一人がゾロゾロ着いていきます。もちろんその中には重巡の私もいるのですが、いかんせんインパクトが強すぎて浮きます。
「あ、来たわね。」
「よかったですね。霞は今回は参加しないらしいです。」
「そんだけでも結構嬉しいわね。」
「お待たせしました〜。」
「ふん。別に待ってないわよ。」
見えない火花を散らしながら演習開始です!