開幕の航空戦はこちらが不利。流石に加賀だけでは制空権は奪えなかったらしい。まあ、こちらが空母一人に対して向こうは空母と更に航空戦艦までいるんだから、こちらが有利な方がおかしい。それに、向こうの対空射撃も青葉と機銃を装備した荒潮のおかげで妨害も酷かった。流石の搭載数でまだ攻撃戦には参加できるものの、効果は少し薄い。
「私は瑞鶴と航空戦艦と長門をやります。あなたは随伴の二人を。」
「わかったわ。でも、名前を呼んであげてもいいんじゃない?」
「何も間違っていないでしょう?」
「まぁ、そうね。じゃあそっちよろしく。さて、蹴散らしてやるわ。」
「もちろん。鎧袖一触よ。」
風の少し弱い今日は残った夏の暑さを攫い、代わりに静かな涼をもたらしてくれる。だからこそ、こういう日は熱くなれる…そう、気分が昂揚する演習に限る。
「…曙、山城小破。荒潮中破。それ以外は無傷です。くれぐれも気をつけて。」
「上々ね。そんだけ削れればこっちのもんよ。ま、他に良かったことといえば、扶桑が被弾してないってことかしら。」
「ああ…あの子は面倒くさそうですしね。」
「長門さん!危ないわ!」
声が聞こえたと殆ど同時に荒潮が飛び出し、私の前に出る。水柱が上がり、演習用とは思えない程の威力の爆撃から庇う。運良く大破ではなかったが、これは私の注意不足から生まれた被弾である。
「荒潮!大丈夫か!?」
「ええ…問題ないわぁ。それより、しっかり二人を倒してくれる方が嬉しいわねぇ。」
そう言った荒潮の目は闘気に溢れ、しっかりと加賀を睨んでいる。
「なあ、扶桑、山城。砲は撃てるか?」
「ええ。もちろん。」
「当たり前よ!姉さまを狙って…許さないんだから!」
おそらく、山城が庇ったのか少々砲塔が歪んでいるが、中破ではないらしい。
「全主砲。斉射、はじめ!」
「旗艦私なんだけど…何仕切っちゃってんのさ。」
「連合艦隊旗艦の血が騒ぐんでしょうね。さあ、私たちも負けていられないわよ山城。」
「もちろんです姉さま!」
不意に見えた青葉が興奮した様子で扶桑の前に立つ。少々様子がおかしいが、護衛をしてくれるというのなら大歓迎だ。
「…Hey伊勢ー。」
「どうしたの金剛。」
「アソコ、演習してるデース。」
「あら、ほんとね。私たちはお呼びじゃないのかもしれないわ。」
「そんなわけないデース!早く準備して私たちも行きマスヨ!harry up!」
「…武蔵、どうしますか?」
「やぶさかではないが…しかしいいのか?霞が見当たらんが。」
「確かに…では、大和は霞ちゃんを呼んできますね。武蔵は先に行っててください。」
「そうか。なら、任せたぞ。行ってくる。」