「霞、そろそろ起きなって。」
「や…まだ…」
私が起きる時間はいつも太陽が昇ってくる頃に起きるけれど、霞はまだまだ寝たいと言う。同じくらいに起きた翔鶴姉はいつも通り弓道場に行っちゃったし、私にはゆっくりしてねって言われたし。仕方がないから頬を撫でてみる。
「んう…ん…」
「霞はさ、提督さんのこと好きだよねえ。」
「ん…すき…」
「じゃあ私は?」
「すき…」
絶対平常時の霞なら言わないようなことも今なら聞き出せてしまう。徹底的に聞いてみよう。
「じゃあさ、加賀さんは?」
「すぅ…」
「あ、また…」
「瑞鶴?霞を回収しに来ましたよ。」
「えー…ちょっと今は難しいかな。ねー霞。」
「あう…?しれーかん…なんでふたり…」
「「二人?」」
なんでか知らないけど、私のことを提督さんだと勘違いしているみたい。提督さんも不思議そうに首を傾げている。私たちの共通点なんて全然…髪型が今は下ろしているくらいしかない。
「全然わかりませんね。霞の考えていることは。」
ちょうどよく第三者が来て似てるか似てないかを判定してくれればなぁ…
「瑞鶴、まだ…あら?」
加賀さんがちょうど来て、私たちのことを何度か見直す。
「あなたたちそっくりね。」
「「どこが?」」
「一度鏡を見たらどうです?」
そう言われて、化粧ポーチから手鏡で確認する。なんというか、微妙に似てる。顔立ちがほんの少し同じように見えるし、かといって完全に同じというわけではない。判定が結構難しい。
「どうです?」
「まあ…完全に否定できるってわけではないかな。」
「少しならわかりました。…なら、霞がちゃんと起きるまでしっかり見ていてくださいね。私は戻りますから。」
「え。」
「なら瑞鶴。少し遅れても良いから来なさい。翔鶴も待っているから。」
「了解。」
「ん…」
多分無意識に伸ばされた霞の腕に応えられるように抱き上げる。そうすると、全身を私に預けてまた眠った。本当によく寝る。それも心配になってしまいそうなほど。
「では。よろしく頼みましたよ。」
名残惜しそうに提督さんは帰ってしまった。そして、同時に加賀さんも帰っていく。合法的に練習から逃れることができるとは思っても見なかった。毎日何かと理由をつけては弓道場に引っ張り出されていたから少し嬉しい。
「とりあえずもう一眠りしちゃおうかな!」
「うるさい…」
「あ、ごめん。」
霞を抱いたまま布団に潜り込む。背徳感でどうにかなってしまいそうだし、別に全く眠くもないけど、暖かくて安心する。
「これが子供体温…」