「姉さま、それは一体何を?」
「や、山城?これは…ええと、なんでもないのよ?だから、ほら、みんなと遊んでらっしゃい?」
「…わかりました。」
「なんてことが…!姉さまが私を遠ざけるなんて…」
「どうすればいいかしら…」
「知恵を貸してちょうだい…」
「そんなこと言われたって困りマース。扶桑はイジワルをするような方ではないはずデース。」
「そうそう。あらかた、あなたたちに特別なことでもしてあげようってことじゃないかしら?」
山城三人がどっと雪崩れ込んできて、金剛と囲っていた机に座った。もちろん一言断りは入れてくれたからいいけれど、それをした結果がダル絡みに。少し面倒。
「うー…姉さまはきっとお怒りなんだわ…私たちに愛想を尽かして…」
「ちょっと、滅多なこと言うんじゃないわよ。」
「いいえ…きっとそう。既に艦娘でなくなった私たちを手元に置いておくのが嫌になったんだわ…」
「不幸だわ…」
金剛は、ただ静かに紅茶を注ぎなおし、スコーンを口に運ぶ。所作は綺麗だけど、目の前の三人に対してはどうでも良さそうにしているのが態度から丸わかり。
「ムー…取り敢えず、少し待ってみてはいかがデスカ。きっと何か、考えあってのことデスヨ。」
「そうかしら…」
「ああ、不幸だわ。」
「姉さま…姉さま…」
落ち着くどころか更に悪化して、更に面倒くさくなった。しかし、山城のうちの一人が何かを閃いたように上半身を持ち上げる。
「…。わかったわ。姉さまが私たちを避ける理由が…」
「それはどういう…」
「あまりに近づきすぎているから姉さまがお怒りに…」
「自覚あったんデスネ。」
「言っちゃダメよ金剛。」
艦娘の山城は何故か勝手に大破しているし、そうでない二人は目から静かに涙を流している。なんてドラマチックな泣き顔。そんなに辛いならこっそり覗くなりなんなりして、真実を確かめればいいのに。
「バーニングラヴの精神が大事デース。Fightネ。」
えらく投げやりで、心底面倒臭そうに吐き捨てる。けれど、そんな言葉は彼女たちには通らず、虚空へと消え去る。まあ、艦娘の山城は兎も角、他の二人がこうなる気持ちはわからないこともない。本来もっと一緒にいられるチャンスはあったのに、それを蹴ってしまった。そのせいで扶桑から来る愛情を全て受けられるとは思えていないと思う。
「失礼しまぁす。長門さん見ませんでしたかぁ?」
「あら、荒潮。私は見てないわね。力になれなくてごめんなさい。」
「いいえ〜。ところで〜何をしているんですか〜?」
「これね?…ふふ。秘密よ。でも、山城たちには内緒にしてくれるなら教えてあげる。」
「あらあら〜。じゃあ、私は失礼しますね〜。」