「どうしようかしら〜ね〜。」
「山雲…はぁ…朝雲と…最上はどこよ…?」
「はぐれちゃったみたいです〜。」
「あー…ま、そんなこったろうとは思ったけど…」
鎮守府ったって、勝手がわからないんじゃどうしようもない。突っ走って場所も二人も見失うのは不安になる。太陽が雲の切れ目にかかって薄暗いのも、余計にそう言うのを増幅させてくる。山雲は、特に気にしていなさそうに手を引きつつ、のんびりと歩いている。
「あら…あらあら?満潮ちゃんと山雲ちゃん。」
「む。そうか、あの二人が。」
後ろから、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。懐かしいような、けれどすこしうんざりするような、振り回してくる妹の声だった。
「荒潮。改めて聞くけど元気だった?」
「荒潮姉さん〜。」
「ええ。元気よ〜。山雲ちゃんも元気いっぱいね〜。」
「ね〜。」
山雲と共鳴している荒潮と、その隣にいる長門さんはやけに親しくて、距離感が近い。それに、荒潮の服装は私とは違う。それと、もう一つ聞きたいことがある。
「ねえ、私たち以外に八駆とか、朝潮型はいる?朝雲はいるけど。」
「八駆は私たちだけよ〜。あと、霞ちゃんがいるわね〜。」
「霞も…。そう。ありがと。」
なるほど。朝潮型はそれほど…まあ五隻いるから多くはあるけど、それほど揃っているわけではないらしい。それと、多分艦娘の所属数も多分多くない。その理由は、大和たちにここに帰ってくる道中で何度か言われた。
「うむ。うむ。いいな、やはり。」
長門が口を開いて一言目はこれだった。意味がわからなくて、山雲と一緒に首を傾げる。ただ、長門がじわじわ近づいて来るのには、脳が警鐘を鳴らして危険だと主張する。
「…なぜ逃げる。」
「いえ…そんなことは。」
「満姉さんは心配性ね〜。」
「あのね、そう言う問題じゃ…きゃっ!」
「あら〜。」
少し目を離した隙に、長門に二人揃って抱き上げられる。
「ちょっ、降ろして!降ろしてください!」
「まあまあ、少しは落ち着け。さあ、金剛や伊勢たちのところへ行こう。楽しく紅茶でも飲もうじゃないか。親睦の証だ。」
「荒潮もいいですかぁ?」
「ああ。構わん。」
「最上さん!少し止まって!」
「ん?あれ、山雲と満潮は?」
「それが…いつの間にか逸れちゃったみたいで…」
「あちゃー…じゃあ、探しに行こっか。」
「…騒がしいと思ったら、また新しい子が入ってきたみたいですね。」
「もう私驚かないわよ。でも、朝雲姉さんが来たのは以外ね。」
「そうなんですか。」
弓を弾いていた時に、廊下からバタバタと振動が来て、練習どころではなかったから、一時中断して様子を見てみた。するとどうだろう。姉さんと、最上がいる。
「…話しかけに行きますか?」
「…そうね。困ってるみたいだし。」
後片付けを任せ、二人に近づく。
「朝雲姉さん。最上。大丈夫?」
「え、ああ。大丈夫…って、霞!」
「あ!初めまして!ついさっき着任した最上だよ!」
「なんで二人してこんなところにいるのよ。」
「いやあ。少し探検しようとしてたら、満潮と山雲とはぐれちゃってね。今から探しに行こうとしてたんだ。」
満潮と山雲。懐かしい響き。それに、満潮姉さんは私がもう一度会いたかった艦娘。今すぐにでも会いに行きたい。
「…加賀が来るまで待って。」
流石に後片付けを全部任せた挙句に置いていくのは良心が痛む。