「んもう!まだ始まったばっかなんだから!」
「開幕箱下の瑞鶴には難しいんじゃない?」
「…加賀さん、私たち強いかもしれません。」
「ええ。そうかもしれないわね。」
牌をかき混ぜ、山を各々が積んで行く。潮は丁寧に重ねて並べる。それに比べて曙たちはさっさと積み上げ、雑談に花を咲かせる。真剣勝負なのだから、もう少し集中するべきでは。
「じゃあ親、潮からでもいい?」
「さんせー。」
「構わないわ。」
「じゃ、じゃあ…えい!」
賽子を振り、ドラ表示牌が表を向く。ドラは二萬。そして、配牌へ。
一 三 三 五 九 二 二 二 六 七 八 九 九 九
萬 萬 萬 萬 萬 筒 筒 筒 筒 索 索 索 索 索
萬子を整えることさえできれば悪いとは言えない手。最初の打牌は九萬。手の開示をすることもなければ、余計な牌も整えることができる。そこから順々に巡り、七巡目。
一 一 二 三 三 四 五 二 二 二 七 八 九 九
萬 萬 萬 萬 萬 萬 筒 筒 筒 索 索 索 索 索
九索引き聴牌。ここは一萬切り立直で仕掛けるのが吉。
「潮、これを切って立直よ。」
「はい!立直!」
「あら。」
「なるほど?」
「んぐぐ…」
役としては立直ドラ程度だけれど、それでも十分。さらに六、九索で待てているので、上がれる可能性が高い。そして、他の子達はみんなこの立直に怯えている。安牌でなければたとえ当たらなくても振ることを恐れて出せない。それならツモ上がりを狙える。さらに、二筒が暗刻なのでもし引いたとしてもカンをして投げたり、新ドラや嶺上開花もつく可能性がある。
「…強そうですね。」
「そうね。」
そして、潮のツモも良い。快調に手が進み、頃合いになったら立直をする。
「一発は取らせたくないよねぇ。」
「そうね。」
「曙パス!」
「ポン。」
瑞鶴の白切りに曙が鳴き、早速一発が消え、ツモ番も変化する。恐らく曙も聴牌か、一向聴。そして、これはあくまで勘に過ぎないけれど曙の手にこちらの当たり牌はない。さらに瑞鶴。曙に躊躇なく鳴かせる判断もなかなか。最悪振り込んだ可能性もある中でよく切った。肝心の翔鶴は、未だ情報がない。手牌を定期的に入れ替えたりかと思えば突然口元を抑えて笑いを堪えたりなど、不穏。ただただ不気味。
「次は私のツモ番ね…あら、良い牌。立直しますね。」
翔鶴の宣言牌は白。確実に安全な牌で宣言する当たり、手は安そうに見える。こちらのツモ。大丈夫、潮の運なら…
「んー…これじゃないです。」
そう言って切った牌は三索。こちらの上がり牌の筋であることと、翔鶴に対しては無筋である。ただ、ロンと言われない当たりは、ひとまず安全らしい。
「立直二人とか…やば…」
「振り込みとか笑えないわよ。」
しかし結局、この巡は二人は振り込むことはなかった。しかし、鳴こともなく、翔鶴の一発は残ったまま。
「では…」
翔鶴は引いた牌を確認し…そして手牌の一部を倒した。
「カン、です。」
その牌は、六索だった。つまり、これによって残っていた六索による上がりが完全に潰されたと言うこと。さらに新ドラ表示牌は赤五索。立直ドラ四が一瞬にして完成した。
「嶺上は…ダメね。」
切った牌は九索。
「ろ、ロン!」
「あら。」
立直、搶槓、ドラ一。裏ドラは三萬と九索なので一つ乗る。
「ま、満貫!一万二千です!」
翔鶴…今回は勝てたけれど、彼女は要警戒ね。注意しなければ。