妖精さんを呼び出し、建造ドックと入渠ドックの増築をしてもらった。以前よりも更に広くなり、使い心地も増した。朝一番に出たおかげでここでの作業に取り掛かるのも、大した時間はかからはかった。
【建造ですね?】
「ええ。全ドックを稼働させてください。あと、手が空いている方は鎮守府の増築を。全体的な清掃も頼みます。」
【お任せください!】
【腕がなりますよ。】
妖精さんたちはやはり頼もしい。生まれた子たちはすぐに演習に向かってもらうように言い、改めて深海側から受け取った資料に目を通す。現在確認が済んでいるのは、巨大な主砲を携えているもの以外に特筆して取り上げる敵はいないらしい。ただ言えることは、数が膨大だということ。ああ、胃が痛い。
演習を見に行くと、見事に新しく入ってきた子がバテている…と思っていたら、まずは照準を合わせることから始めているらしい。曙と姉さんが駆逐艦たちに魚雷や主砲の打ち方などを詳しく教え、青葉と最上が重巡同士で訓練をしていた。そして、鳳翔さんには加賀を始めとした正規空母たちが手取り足取り丁寧に教えている。
「どう?」
「ん、みんな筋が良くて助かるわ。」
「そうよね〜。楽しいわね〜。」
確かに、みんな海上を漂う的に命中させる訓練で真ん中とまではいかずとも、外すことは少ない。撃ち方に関しては二人が、的の設置は戦艦が行っているので、役割分担としては問題ない。
「もうそろそろいいんじゃない?曙と姉さんと、その他のみんなで演習したら?」
「今の聞いたわよね。休憩すませたら次は実践訓練よ。」
曙が言うと、みんなの肩の力が抜けて、雑談を始める。ここでは刺激が少ない。それこそ演習に耽って鍛えるとか、金剛たちのようにお茶会でもして時間を潰すくらいしかない。隙間時間に雑談ができるのは、結構ありがたかったりもする。
「霞。」
「お姉ちゃん、どうかしたの?」
「ここのことはもう色々聞いたんだけど、やっぱり腑に落ちないの。」
「どういうこと?」
「ここにいる艦娘みんな、練度があり得ないくらい高いじゃない。私たちを除いたって、それでも一番低いのは青葉で、九十は超えてる。」
「だってここ、演習以外にすることなかったんだもの。」
すると、そんな答えを予想していなかったのか怪訝そうに眉間に皺を寄せて腕を組んで唸ってしまった。
「でも、別に誰も変なことはされてないから大丈夫。みんな演習したがるし。」
「…まあいいわ。ありがと。」
「で、あんたと司令官はどこまで行ったの?」
「どこまで?」
急に声を小さくして、耳打ちする様に近づかれる。
「だってその指輪…そういうことでしょ?」
「あ…そうだけど…別に変なことはしてないから!」
「たまぁにお部屋の扉から、楽しそうな声が聞こえてるわよぉ?」
私の肩を掴み、お姉ちゃんによく聞こえる様に言う姉さん。
「う…え…聞こえてた?」
「あら、気づかれてないと思ってたのぉ?」
「だって…だって…」
「荒潮、一旦落ち着きなさいよ。その…悪かったわね、聞いて。」
顔が熱い。本当に誤魔化せていたと思っていたから、ショックと羞恥心とで思わずしゃがみ込む。
「…れにも…」
「ん?」
「誰にも言わないって約束してくれる?」
「私は言わないけど。」
「あらあら〜。」
姉さんはダメそうで、今後を考えると嫌になる。