いつも通りの調子のクソ提督に対して、少ししおらしい霞が食堂入り口で確認できる。
「間宮さーん。今日の朝ごはんもらいに来ましたよー。」
「お待ちしてました。どうぞ、適当なところに腰掛けちゃってください。」
「ほら、霞ちゃんも。」
「…ありがと。」
いつもと違う様子の霞は、相も変わらずクソ提督の横に腰を据える。ほんのりと頬が紅いものの、その顔はにわかに幸せそうな様子を感じさせる。食器をかたずけるタイミングで、こそっとクソ提督になぜこうなっているのかを聞いてみた。
「今日の霞ずっと様子おかしくない?昨日の夜なにしたのよ。」
「ふふ。秘密です。」
すると、霞がクソ提督の袖をくいと引っ張る。
「…」
顔が一層朱くなるものの、一言もしゃべらない。そんな霞に対して母性のような、何とも言えない気持ちが大きくなってくる。クソ提督は何も言わず、そっと霞の頭に手をのせる。
「ん。」
にぱっと笑顔を浮かべ、幸せそうに頭をこすりつけている。
「あらあら~。アツアツね~♪」
いつの間にか間宮さんが二人分の食事を持ってきていた。霞はびくっと体を震わせ、間宮さんを見つめる。暫くおろおろと手を動かしたのち、シュウと頭から湯気を出す。
「うふふ。私はこれで~♪じゃ、曙ちゃん、行きましょ♪」
「え、ええ。」
そのまま二人で部屋を後にする。
「霞?ご飯食べましょうよ。冷めちゃいますよ?」
「あ、そうだったわね、早く食べちゃいましょっか。」
突然いつも通りのしっかりした霞に戻る。切り替えが早いというべきか。テキパキと食べ進める。
「ふう。ごちそうさまでした。司令官。私、先指令室行っててもいいかしら?」
「ちょっと待っててください。あなたとの時間を少しでもとっていたいので。」
霞の顔が再び赤くなっていく。
「そういうことあんまり言わないで頂戴…。恥ずかしいから…。」
「ふふふ。あなたがかわいらしいので。言えるうちに言っておかないと。」
「もう!」
なんだかんだ言っても霞はそばにいてくれる。
「はい。ごちそうさまでした。じゃあ、行きましょうか霞。」
「そうね。曙も待っているはずだし…。」
二人で並んで長い廊下をゆっくりと進んでいく。窓からさす陽光が眩しく、思わず目を覆う。霞はというと、私を盾にしている。会話はないが、こうしているだけでも幸せを感じられる。
指令室のドアを開けると、そこには後輩と、それを必死に止める金剛と曙がいた。
「ちょっと君!何してるんですか!おちついてくださいよ!」
「あ!先輩!今回は前回のようにはなりませんよぉ!潤沢に資源を集めさせてもらったのでね!さあ!演習しましょう!」
「少し落ち着くネー!テートクー!」
「ちょっと!クソ提督!来客の用があるなら私たちに言っときなさいよ!」
「私も聞いてませんでしたよ!」
戦艦と駆逐艦が全力で制御しようと力を込めているのに、それを意に介さずこちらに向かってくる。
「わかりました!わかりましたから。もう落ち着いてください。」
「いいお返事ありがとうございます。ふう。少し取り乱してしまいました。」
いつも通りの子犬のような彼に戻った。ずんずんと歩を進める。
「曙。先に向かっていてください。」
「わかったわ。」
「じゃあ私も。」
「ああ。霞はここにいてください。伝えたいことがあるので。」
「え?」
曙へ早く向かうよう促し、義手を装着しながら霞と話をする。
「私だけ待機させるって言いたいの?」
「いえ。そうではありません。あなたの練度は、今68でしたよね。できれば、90くらいまで今日のうちに上げていただきたいのです。幸い、今は前回よりももっとずっと早い時間です。あなたなら、それくらいまですぐあげられますよね?旗艦にするので、MVPを確実にとってください。頼みましたよ。」
「それだけ?ま、いいわ。あなたの要望に応えてあげる。むしろ、さっさと上限まで上げて、日が出ているうちにあなたのところまで行ってあげる。」
「ふむ。楽しみにしておきますよ。さあ、行きましょうか。」