「柳田君!」
「はいもしもし柳田ですけど。先輩?どうなさったんですか?」
「私は今あなたに懺悔の言葉を伝えるために電話しています!」
「ええ?突然なんです?」
「実は昨日…」
霞と性行為に及んでしまったことを話した。
「そうなんですか。おめでとうございます。」
「何をのんびりと!私はどうすれば…とりあえず憲兵に自首する前にあなたと話そうと思ったのに!」
「少し落ち着いてください。私が、ケッコン艦と提督との関わり方の概要を簡潔に説明しますから。」
「いいですか?ケッコンカッコカリというのは、艦娘の練度の向上、燃費の改善などがあります。そして、本物の夫婦の様な生活をして良いともされています。そして、性行為も黙認されています。」
「…え?」
「ですから、先輩のその行為はダメなことでもなんでもないんです。全て先輩の杞憂です。」
「し、しかし、もし霞が妊娠でもしてしまったら…」
「それについては賛否ありますが、問題ないです。艦娘というのは確かに身体の構造が人間の女性とほぼ同一のものとなっています。しかし、例外として生理等がありません。」
「…あ。」
「これは、任務の際に女性特有の生理現象で万が一のことがあってはならないということで、生理がこない様になっています。」
「そうでしたね…。」
「ただ、解体して、普通の女性に戻った時は、普通の、一般的な女性の様に生理が始められます。いいですか?これ、士官学校で習いましたよね?」
「あまりよく覚えていなくて…。」
「まあいいです。先輩がこういうことをなあなあにしようとする人でなくて。」
「お恥ずかしい限りです。」
「大体行為に移る前によぎったりしなかったんですか?」
「全くなくて…後になって冷静になってから頭の中に出てきて…。」
「まあいいです。では、用も済んだと思うので切りますよ?」
「はい。どうもすみませんでした…。」
大丈夫なのだと思うと、一気に身体から力が抜ける。そして、こういう時は決まって突拍子もないことをしたくなるのだ。
「そうだ。義手に隠し銃を入れてもらおう。」
早速工廠へ向かい、妖精さんに打診してみる。
【なるほど。護身用だね?確かに君もそこそこいい位の人間だからこういうのもあっていいかもね。20分くらいでできるから少し待っていてほしい。】
まさか二つ返事で了承してもらえるとは。霞に結ってもらった髪を指先で遊ばせながらその時を待つ。指輪を眺めていると、あっという間に時間が過ぎる。
【はい。できたよ。ゴム製の9ミリ弾を四十発くらい内蔵できる。反動もなるべく起きない様にしたし、消音性もかなり高い。一発打ってみてくれ。】
窓を開け、人差し指を前方に向け、親指で激鉄代わりのボタンを押す。タァンと乾いた音が響く。
「ほう…これはなかなか…。」
【うん。なかなかいいね。後、これをするにはセーフティロックを解除する必要がある。方法は簡単。小指の爪の部分を開いて、そこについているトグルスイッチを倒すだけで変更できる。ちゃんとどちらが撃つ方で、撃たない方か記載してあるから。あと、撃つためにはさっきみたいに人差し指だけを立てて、親指で手のひらのボタンを押す。わかったかい?悪用はダメだからね!あと、もう一つ。この鎮守府の中で使ってほしい方。こっちは従来と同じ性能だからね。僕らは、君と霞を応援してるから。】
そう言い残して、工廠へと戻っていった。
「彼らも、粋なことをしますね…。感謝します。」
「さて、そろそろ…。」
「ね、ねえ曙?ちょっと恥ずかしいんだけれど…。」
「いいじゃない!すっごく可愛いわよ!」
私たちは今、この前とは違う服屋さんに来ている。そこでは、いろいろな服が、かなり幅広いサイズで取り揃えられていた。今、曙に着せ替え人形のごとく服を着せられている最中である。
「これとか…いや、こっちも…」
まじまじと服を見定める曙を、店内にいる客や店員が微笑ましそうにみてくる。少し恥ずかしい。
「ね、もういいから…。」
「まだよ。ク…違う。あいつに可愛い格好見せたいでしょ?」
「う〜…」
一際周りの視線が生暖かくなった気がする。
「あ、ていうか霞。下着。今のサイズで合ってる?」
「え?う、うん。」
「そっか。じゃあそのサイズで探してみましょ。」
「ええ!?」
「霞。静かにして。」
「あ、ごめん。じゃなくて、なんで私のサイズ知ってるのよ。」
当然の疑問をぶつける。
「なんでって、そりゃあたし達部屋同じなんだからわかるわよ。」
「そういうものかしら…」
「まあまあ、気にしないでいいから。ほら。」
話しているうちにさっさと選んでしまったのか、試着室へと連れて行かれる。