※この作品はR-18です。

【艦これ二次創作】辺境鎮守府   作:スイっぴ

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弱さ

鎮守府へ近づくにつれ、ウミネコの群れがバサバサと飛んでいくのが見える。ニャァニャァと鳴く声が聞こえ、そしてその声にすら身体をこわばらせる彼は面白い。鎮守府の玄関を開けると、ちょうどそこに曙がいた。

「あんたたち、結構早いのね。もっとゆっくりしてくればよかったのに。」

「やはり私たちにはここが一番なんですよ。ああいうところは活気付いていますが、少々息が詰まります。帰るべきところに帰って、安心できるのが、一番良いのです。」

「へえ。なんかクソ提督らしくないわね。辺なものでも食べた?」

「私らしくない…ですか。私の"らしさ"は私が自由にその都度決められるのです。今の私がいる限りは常に私らしさは私によって決められます。」

そう言ってのける彼に、曙は少々面白くなさそうな顔をしていた。

「わかったわよ。ほら、さっさと着替えて間宮さんのところ行きましょうよ。」

「そうですね。」

「わかったわ。」

再び彼と2人で廊下を歩く。そういえば、忘れていたけど聞きたかったこと。あまりにもくだらないけれど…一応聞くだけ聞いてみる。

「司令官って髪結べたの?」

彼はバツが悪そうにこちらを見てくる。

「…はい。」

「結べるなら言ってくれればいいのに。」

「いえ…あの…その…霞に結んで欲しかったので…」

見上げている彼が小さく見えるほどにしおらしい。

「別に、言ってくれればいつでも結んであげるわよ。」

「ほんとですか?」

「ええ。もちろん。」

彼が安堵したような顔で、しかし心細そうに聞いてきた。

「霞は…私とケッコンして幸せですか?」

「え?」

「あっ…すみません…。」

彼と2人で歩いていること。これだけで幸せ。まだケッコンして日は短いけれど、彼のことを好いている。初めて会った時の彼も、風呂場で見る彼も、朝の無防備な彼も、昼の少しだらけた彼も、夜の激しい彼も、演習の時激励をくれる彼も、今日のように突拍子もないことをする彼も、今のようにしおらしい彼も、みんな好きだ。

「わかりきってることなんて、聞く必要ないじゃない。」

「…!」

「でもあえて言って欲しいなら、しょうがないわね。」

彼が目に涙を浮かべる。

「何度だって、言ってあげる。」

「あなたのことが好き。だから、どんな時も、あなたがいれば幸せ。それだけで、あなたとケッコンする理由になるでしょ?」

「かすみ…。」

肩を揺らし、涙を溢す彼をそっと抱きしめる。

「ほら、泣かないの。あなたは私の泣く顔は好きじゃないんでしょ?私だって、あなたが笑う顔が好き。だから、泣かないで?」

「はい…。はい…。」

格好と顔のせいでまるで本物の女性に見える。こんな弱々しい彼は私の中だけで留めなければ。

 

「すみませんでした。あんなところを…」

「別にいいのよ。前私もこうしてもらったし。お互い様ってやつよ。」

鼻を啜る彼を支えながら自室へ向かう。

「はい。着いたわよ。」

「ありがとうございます。もう大丈夫ですので…。」

やっぱり嘘ばっかりだ。まだ彼は不安定なままだ。でも、彼の強がりを否定するのはいやだ。

「わかった。先に向かってるからね。ゆっくり来なさい。」

コクリと頷いて扉を閉める彼を最後まで見守る。服は…このままでもいいかな。間宮さんのところに行こう。太陽はすでに半分以上が海に沈んでいる。

「曙。間宮さん。来たわよ。」

「あらいらっしゃい。今ご飯持ってきますね。」

「待ってたわよ。って、着替えてないじゃないの。こんな時間まで何してたのよ。」

「秘密。」

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