目を開けた先に曙の姿はなく、抜け殻になった布団だけが放置されていた。
「曙…?」
「あ、起きたの。おはよ。」
「おはようございます…。」
いなくなってしまったかと思って、少し不安だった。曙の顔は少し赤く、ふっくらとした頬が私を魅了する。じっと見つめていると、私の身体から布がはらりと落ちた。
「わ!ちょっと!早く隠しなさいよ!」
顔を真っ赤にして焦っている曙はなんだかイメージと違うけれど、かわいらしい。垂れ落ちた浴衣を手で引っ張り上げ、ゆっくりと立ち上がる。脳がふわふわと浮いたような感覚で、まだ全然眠い。しかし、このままいると、曙に置いて行かれてしまいそうなので、欲望に負けぬよう身体に力を込める。
「あんま無理しなくていいのよ?私だってまだゆっくりするつもりだし…。」
「いえ…もう大丈夫です…。」
服を着替え終わった曙がこちらを見て言う。別に意地を張っているわけではない。しかし、私にはそれを曙に伝えられるほどの強さはない。浴衣を脱ぎ、袴と、少し短いスカートを履く。ぼんやりとした頭で髪を横に結ぶ。
「準備できました。いつでも行けます。」
「うーん。あたしが起きるの早いのもあるけどまだ間宮さんのところ開いてないと思うわよ?」
…少しだけ後悔がある。曙はなにやら考え事をしていて、どこか心ここに在らずだった。そっと近づいて、曙に抱きついてみた。
「ん?どうしたのよ。」
怒られない。昨日の裾を掴んだのは怒られたのに…。でも、曙は抱き心地がよく、すっぽりと私に収まる。
「少し…。」
「ま、別にいいわよ。」
嘘だ。全然良くない。あたしの頭にふっくらとした柔らかいものがむにゅっと押し付けられ、腕を回され、逃げられない。
「わ。」
あたしの身体がすっと持ち上がり、加賀が座ると同時にあたしの身体も床に触れる。後ろで、すんすんと息を吸う音が聞こえてくる。
「ちょっと。あんまりそう言うことしないでよ。」
「む。いやですか?」
「そりゃそうでしょ。女の子の匂い嗅ごうなんて思っちゃダメよ。」
「別に…変な匂いはしませんけど…。いい香りですよ?」
「そう言うことじゃないから。怒るわよ?」
そう言うと、嗅ぐのをやめ、代わりに腕の力を強くされた。それくらいならまあ…。
「曙…。」
「ん?」
チラリと加賀の顔を見ると、真っ赤で、辛そうな顔をしている。
「ちょ!どうしたのよ!大丈夫?」
「あの…曙の近くにいたら…どきどきして…ぎゅってなるんです…。」
ふーふーと呼吸を速め、あたしの身体をまさぐっている。
「や!やめて!」
「んぇ…。」
物足りないと言った顔で、こちらを涙目で見てくる。その顔が、すごく唆る。
「とっ、とにかくダメ!我慢して!」
「う…わかりました…。」
今にも泣き出しそうな顔で離れる。流石に悪いことをしてしまった。加賀にとっては、きっと初めての出来事だったんだろう。まだ息は荒く、肩を揺らしている。
「…今日の夜。」
「え?」
「今日の夜まで待てたら、相手してあげるから。ほら、今なら多分間宮さんのところも開いてると思うわよ。行きましょ?」
「わかりました…。」