今、あたしたちは2人の部屋の中で、向かい合っている。心臓の鼓動音が地響きとなって鼓膜に届いていると錯覚するほど血の巡りが早い。今朝、あたしの軽率な発言によって加賀と肉体関係を持とうとしている。
「あの…曙…。今朝の…」
「わ、わかってるから…大丈夫…。」
ここに帰ってきた時からずっとそのことが頭にこびりついていて、間宮さんの食事の味も曖昧になり、湯船に浸かっても、元から身体に溜め込まれていた熱によって、ゆっくりと落ち着いて入ることすら困難だった。結局ずっと上の空で、まともな思考ができなかった。加賀に至っては、ずっとあたしの方を見つめて、物欲しそうにそわそわと落ち着かない様子だった。そんな2人が今、浴衣を着て、変な温もりを帯びた息を小刻みに吐いている。
「じゃあ…やるから…」
「はい…。」
ピクッと身を震わせ、しかし動き出さない加賀はあたしに身を任せるように、後ろに手を回している。浴衣をゆっくりと脱がせ、加賀の重そうな果実がゆさっと弾み、あたしの角膜にその様子をフレーム単位で刻みつける。
「あけぼの…」
加賀の甘い声に耳がおかしくなる。必死に理性で押さえ込み、傷つけないようにそれを撫でる。
「ん…」
色っぽい声と香りにさらに魅了されていく。加賀の果実はあたしの指を受け入れ、沈み込ませる。あまりにも柔らかいので、つい夢中になってしまう。
「う…ん…」
小さな喘ぎ声にあたしの脳は溶け、さらに止まらなくなる。突然、加賀が逃げようと後ろに跳ねた。
「大丈夫?」
「あのっそのっお恥ずかしながら…」
少し興味がでて、加賀の股を守る布をめくってみる。
「あ!」
みると、下着が濡れて、月による薄明かりがそこを照らした。加賀の顔は薄暗い部屋でもはっきりと視認できるほどに赤い。
「う〜…」
「大丈夫だから。ね?恥ずかしくないから…。」
「でも…。」
目に涙を浮かべ、あたしのことを細くした目で見つめてくる。
「あ!やめて…んぁあ!」
加賀の布によって隠されていた割れ目に、そっと指を撫でる。
「や…あ…」
ピクンピクンと弱々しく跳ねて、あたしの情欲をそそり、唇を噛み締めている。
「どう?加賀。」
「う…ひゅ…」
初めての感覚に慣れていないようで、目を白黒させている。なんだかその姿が非常にあたしの心を揺さぶり、もっといじめたくなる。加賀のナカに指をそっと差し込む。
「…!あ!?」
身体を跳ね上げ、腰が一気に宙に浮いた。それほどまでに気持ちがいいのかと指を掻き混ぜる。
「あ!うぅ!」
小刻みに身体を震わせ、必死に快感から逃れようと身体を捻っている加賀は、加虐心をくすぐり、さらにあたしを昂らせる。もっと奥まで…加賀の乱れた姿を見たい。邪魔な布を脱がしきり、布団の上に寝かせる。その姿は驚くほど美しく、その光景に息を飲む。目には薄く涙を浮かべ、柔らかそうな唇からははぁはぁと荒く息をしている。胸部の谷間は汗ばみ、足を閉じて必死に快感を耐えようとしている。加賀の身体から発されるフェロモンがあたしの頭を焦がす。
「ま…まって、くださ…」
加賀の手が伸びて、あたしの方へ向かってくる。
「何よ。誘ったのはあんたなんだからね。」
涙目であたしの方を凝視し、何かを訴えかけるようにしている。
「少し…怖いです…。」
その時の加賀は、艶やかに、それでいて少女のような儚さを併せ持っていた。潤んだ瞳がこちらの思考を乱し、正常な動作を阻害する。
「…わかった。」
加賀に挿入れた指をゆっくりと抜き取る。その瞬間さえ、加賀は身体を揺らした。
「曙…」
「何?」
か細い声でこちらの名前を呼ぶ。
「曙は…どうなんですか?」
自分のことで精一杯だったはずの加賀から突然投げかけられたその質問に沈黙で応える。
「…やっぱり。」
突然身体を起こし、あたしを羽交締めにする。
「わ!ちょっと!やめなさ…んぅ!」
加賀の指が先ほどのあたしの動きを真似て動かされる。浴衣はとうにはだけ、ほとんど裸のような姿になってしまった。片腕でしっかりと固定されたあたしの身体に逃げ場はなく、ただ蹂躙されていく。
「んぅ!あ!」
自分で触るのと全然違う刺激によって酒に酔ったかと錯覚する。あたしのよりずっと長い指が秘部を動き、密着しているせいで加賀の胸がぎゅうと押し付けられ、さらに先端があたしのそれと触れ合い、快楽を流し込まれる。既に限界を迎えていた脳が熱暴走し、湯気が出そうなほどだった。
「ね!もう!いいから!やめ!んひゃ!」
「曙…しかし…。」
ふと見た加賀の顔は口角が僅かに上がり、飢えた獣のように瞳孔を細めていた。本能的に、自分が支配される側だと理解させられてしまった。その瞬間に抗っていた僅かな心が音をたてて崩れ、加賀の指に神経が集中する。
「あ!やぁ!んっ!くぁあ!!」
あたしの秘部から勢いよく粘液が飛び散り加賀の身体を汚した。何も考えられないし、何も考えたくない。
「あ゛〜?」
「ふふ…。可愛い。」
放心し、ぼーっと声にならない声を上げる曙の頬をそっと撫でる。今朝は私に我慢しなさいと言っていたけど、この姿を見るためだったと思えば、安い物だった。ビクビクと痙攣し、私に身体を預けつつも、曙は私の指をキュウキュウと締め付けてくる。
「そろそろ起こさなきゃダメかしら…」
「うぁ?」
曙の中を再び指で弄る。予想通り、曙の身体が跳ねて、先ほどよりもずっと意識がハッキリしている。
「う…きゅ…」
せっかく戻ったはずの意識を私の指に縋ることで消費している。指を優しく抜いて、曙を解放する。
「あれ…?あたし…なにして…?」
「曙…大丈夫ですか?」
「加賀…あっ」
思い出したのか、顔を茹で上がりそうなほどに赤くして、俯いた。しかし、離れることはない。
「曙?」
「あの…ごめん…。」
「え?」
なぜ謝られたのかはわからなかったけれど、曙の知らない一面を見れたのでまあよしとしておく。
「ずいぶんと気持ちよさそうでしたね。」
「そういうのは言わないで…あんただって似たようなことしてたくせに…。」
「それは…曙だったので…。」
加賀に痴態を見られてしまったことを深く後悔し、同時に物足りなくも思う。やられっぱなしは癪なので、もう一度加賀の秘部に指を挿入れる。
「っぁ!」
「むぅ。許さないからね。」
加賀の股下から響く水音がより気分を上げていく。あたしの指が溶けてしまいそうなほど熱く、加賀の身体が痙攣し、声を押し殺している。しかし、それによって逆に喉から漏れ出す声が高くなって、余計にそそる。指を動かし、加賀の弱いところを探っていく。その間にも、掻き出される粘液は溢れんばかりに供給されていく。
「あけぼ…ッ!?」
加賀の身体が弾むように跳んだ。ここか。もはや優しさなどいらないとばかりにそこだけを攻める。
「あ!ん!やぁ!あぁ!」
髪を振り乱し、必死に逃げようとする加賀の顔を隠す腕を強引に剥がした。すると、その目はあたしの方を一心に見て訴えかけてくる。もっと動かせ、もっと満たせ、貪欲に貪れと。少なくともそう言っているように感じた。