「何これ?」
「こんなの初めて見ましたねえ。」
「とりあえず二人呼んでくるわね。」
「お願いします。」
謎の手紙が届いていた。差出人は書かれておらず、内容は合同演習をしようとの旨が長ったらしく綴られていた。非常に挑発的な書き方で、1週間後にこちらに向かうとのこと。
「待たせたわね。」
「で、用とは?」
「どこかの鎮守府と合同演習が決まったみたいです。まあ頑張ってください。」
「やけにあっさりしてるわね。」
「合同演習する以外のまともな情報がないもので…」
「え?じゃあその紙の束は?」
「見ます?この怪文書。」
「私が目を通します。」
「どうぞ。」
「1週間後にやるみたいよ。加賀は初めての演習になるから肩の力抜きなさいよ。」
「…はい。」
「そんなまじまじ見るもんでもないでしょうに。」
加賀が夢中になって文章を読んでいる間にこれはどこから届いたのか。誰がなんの目的で送ってきたのか。その話題でもちきりだった。
「なんなんですかこの文章は…何を伝えたいのかがさっぱりなのですけれど。」
「やっぱそうですよね?全文読んだ時は時間の無駄ということが如何に愚かなものかを改めて知れました。」
「初めてあなたの言うことに共感できそうです。」
玄関の方からどんどんと扉を叩く音が聞こえた。
「先輩〜。いますか〜?」
「あら、後輩司令官。今日も演習?」
「あ、霞。そのつもりだが…。先輩はいるか?」
「今呼んでくるから待ってなさい。」
「助かるよ。」
そのまま司令室へ向かう。
「司令官。後輩司令官から演習しようって。」
「その誘い、受けましょう。今向かいますから。3人は準備してきてください。」
「「「了解(です)」」」
「加賀とはなかなかいい戦力ですね。流石に駆逐艦の2人だけでは火力が足りませんからね。」
「なかなか賑やかになってきましたよ。」
「待たせたわね。」
「霞ー!今日もよろしくネー!」
「あれ?今日は前みたいな艦隊じゃないのね。」
「いやぁ。そろそろ気づいたんだよ。こっちの艦隊の練度を上げるのになかなかちょうど良さそうだなって。」
「その話詳しく。」
「お互い同じくらいの練度の艦娘と演習した方がいいかなと思いまして。」
「そういうことであれば文句はありませんが…。」
「えー。では!今日の演習もお互い張り切っていきましょう!」
「雑ですね。」
「いつも通りよ。」
「お前たちも頑張れよ!」
「お任せください!」
「もちろんデース!」
「で、その差出人不明の演習の誘いは受けるんですか?」
「受けるも何もないですよ。あちらが一方的に誘ってきたんです。しかも、1週間後にくるっぽいです。」
「もしかしたらあの揉めてたところの鎮守府かも知れませんよ?」
「まあ恨みは買ってますからね。ああいう手合いはあれでは治らないことは知ってますから。」
「ところで、見てて思ったんですけど加賀と曙の仲が極端によく見えるんですけど…」
「そうなんですよ。珍しいこともあるもんです。なぜああなったのかは加賀のみが知っているので。」
「あと…まああまり聞かない方が良いとは思うのですが、霞との関係はどうですか?」
「全然良好ですよ。なぜそんなことを?」
「いえ。別に。ただ、何かケッコンしてから変化はありました?」
「うーん…あぁ、そういえばこの前霞に殺される夢を見ましたね。」
「…は?」
「あれはいい夢でしたねぇ。素晴らしいものでした。滅多に夢の内容は覚えていないんですけれど、あれだけははっきりと、鮮明に思い出せるんです。」
「ちょっと…重症かも知れませんね…」
「?まあ別にいいですけど…。まあ私の望むシチュエーションでの死亡ですから。現実もそうなるといいなあと思います。」
「早まらないでくださいよ?」
「まあ間違っても自分から死にに行くことはありません。」
「最低限ですけどね…。まあ軍人である以上いつでも死は隣り合わせですから。霞を悲しませる様な死に方はしないでくださいね。」
「もちろんです。なんたって今日の朝分かったことですが霞が暫く泣き続けるくらいに私が死ぬのが怖かった様ですから。」
(これは二人とももうダメなのかも知れない…)
「で、君と赤城の事情はどうです?」
「ああ。まあ、お恥ずかしいんですけど、あまりそういったことはなくてですね…。」
「へえ。」
「たまに手を繋いだりとか…き…キス…とか…。」
「ん?」
「あ…あまり踏み込んだことができず…。」
「まさか君がここまでのチェリーボーイだとは…」
「あまり言わないでください…。赤城もあまりそういったことに興味がないみたいなので…」
「相手を気遣うのも大事ですけどね?赤城はきっと奥手な方なんでしょう?君から言わないとダメかも知れませんよ?」
「うぇ!?」
「いいですか?君がジュウコンをしない主義である以上、赤城もきっとそれを望んでいると思いますよ?なんたって、この時代には珍しくバカ真面目で、一途で、頼り甲斐のある男ですよ?案外押してみればすぐ…」
「わー!もういいですから!話を戻しましょうよ!ほら!今度の演習までに僕の艦隊で戦い方を加賀に覚えてもらいましょうよ!」
「それなら心配はいりませんよ。もうすでに…ほら。」
「え…?あ。」
彼の目線の先には艦載機を飛ばしまくる加賀がいた。
「これが正規空母なんですよねぇ。久しぶりに見ましたが、爽快な戦い方ですよね。」
「ええ。本当に。」