「オオ…!」
「どうかしら〜?」
「オイシイ…!」
「ならよかったわ〜♪」
「流石の腕前ですね。」
「加賀、口にクリームついてるわよ。」
随分賑やかになったと思う。人数的にはそれほどだが、それでも辺境にしては十分だ。
「うーん…美味しくはあるんですが胃に溜まりますね…」
「あまり無理しないでくださいね…?」
何も喋らない霞に目を向ければ、目を輝かせ、一心不乱に食べている。
「ゆっくり食べていいんですよ?」
「甘くて美味しくて…つい。」
恥ずかしそうにしている彼女が愛おしくてたまらない。
「間宮さん。お茶をもらえますか?」
「あ、私も。」
「はいはい。少しお待ちを〜」
「ゴチソウサマデシタ!」
「お粗末様でした〜♪」
「では我々もこれで。」
「ほっぽ、お風呂行くわよ!」
「オフロ…?」
「そうよ。綺麗にしないと。」
「曙…私は…」
「加賀も一緒に入るのよ。」
その瞬間に一気に嬉しそうな顔を見せたのは気のせいではないだろう。本当に、変わった加賀だと思う。
「じゃあ私たちは部屋でゆっくりしますか。」
「そうねぇ。」
会話はなくても安心する。そこにいて、当たり前の存在になっている彼が好きだ。でも、こんな恥ずかしいことは本人には言えない。言ったらきっと、大騒ぎしてしまうだろうから。でも、そう言う想像をしていると、本人に見透かされてしまいそうだから、必死に自分を制御する。
「北方棲姫ってなんか嫌いになれないんですよね。」
「どういうこと?同じ深海棲艦じゃない。」
「なんて言うんですかね。ほら、小さいじゃないですか。でも健気に頑張っている感じがあると言うか。まあ敵対されれば容赦はしませんけど。」
「ふうん。やっぱりあなたロリコンでしょ。」
「違います。好きになった子が小さかっただけです。」
「でもほっぽは?」
「あの子は健気だなあと。」
「曙は?」
「頼もしい子だと思います。」
「私は?」
「私の大事な嫁艦です。」
「う…ほら!それよ!私みたいな子に…その…」
「霞は嫌なんですか?」
「嫌とはいってないでしょ!」
「じゃあいいじゃないですか。現状私は霞以外に命をかけれるほど好きな存在はいないわけですから。」
「そ…そうじゃなくてぇ…」
彼が不適な笑みを浮かべた。
「つまり、私が誰かに取られそうで嫌なんですね?」
「ち、違う!そうじゃない!」
「わかりますよ〜霞。ぶつけようのない不安な気持ちですよねぇ。大丈夫ですよ。私はどこも行きませんって。」
「ちがうのぉ!」
「ほら、ここがお風呂よ。」
「オオ…!ヒロイ…!」
「じゃあ身体洗いましょ。ここ座って。」
ほっぽがちょこんと椅子に座って、ふんふんと首を揺らしている。
「曙…私は…」
「加賀は自分で洗えるでしょ。」
頼られるのは好きだが、嫉妬心でやってこられるのは少し苦手。
「ほっぽ。目瞑って。」
「?ウン…」
シャワーからお湯を出し、ほっぽにかけていく。長い髪が濡れていき、照明に反射して綺麗に光っているのがわかる。
「アッタカイ…キモチイイ…。」
「ならよかったわ。」
シャンプーを手に取り、ゆっくりほっぽの髪を洗う。
「アワアワモコモコ…!」
「あんまりはしゃぐと目に入って痛いわよ。」
そう忠告すると、ギュッと目を閉じた。やっぱりかわいい。
「はい、髪終わったわよ。次は身体ね。」
「曙は洗わないんですか?」
「後で洗うわよ。ほっぽが先。」
泡立つ様子をまじまじと見つめられる。
「フオオ…」
「これでほっぽの身体洗ってくからね。じっとしててよ?」
「ワカッタ。」
すべすべした綺麗な肌を泡がゆっくり包んでいく。
「チョットクスグッタイ…」
「もう少し我慢よ〜。」
やがて全身を綺麗に洗って、ほっぽを湯船に浸からせる。
「曙、洗いますよ。」
「私は自分で洗えるわよ。」
「いえ。私が洗いたいので。」
「はあ。変なことしないでよ?」
「…もちろんです。」
「その変な間は何よ。」
「ンフ〜♪」
幸せそうな顔で湯船に浮かんでいる。曙に洗ってもらうなんて羨ましい。「…鎧袖一触です。」
「何アホなこと言ってんの。私はずっと加賀のことが好きよ。浮気しないから。」
「曙、今のもう一度。」
「言わないわよ!」