「あ〜…。疲れた。」
「あんたらもうちょっと頑張んなさいよ。」
「そっちが異常なだけだし。」
「加賀さんなんか変だね。」
「どこが変だっていうのかしら。これだから五航戦は…。」
「あ。それ加賀さんっぽい。」
「皆さん元気なんですね…。」
「あ。提督さんだ。」
「おい!大丈夫か!?」
「疲れただけですので…安心してください。」
向こうから走ってきた男はほっと安心したような顔を見せ、膝をつく彼女らに心配の眼差しを送っている。
「あと…すみません。後半の方は負けてしまいました…」
「勝敗なんてどうでもいいよ。お前達が何もないなら…それでいい。」
「やっぱりあなたの本性はいい子ちゃんですよね。」
「…笑えよ。」
「別に対して面白くもないのに笑う必要はないかと。」
「…そうかい。」
「ねえねえ霞の司令官さん。」
「ん?なんですか?」
「曙の戦い方どうなってるの?」
「え?」
「そう!それ私も思った。初めて見たよねあんなの。」
「別に…やろうと思えば誰でもできるわよ。」
よく見ると曙だけが全身びしょ濡れになっている。
「曙?一体何したんです?」
「何って別に潜っただけだけど…。」
「潜る…とは?」
「足の艤装を停止させて海に潜るでしょ?その後に海の中でもう一度起動させて海の中を移動するの。そしたら相手側は私がどこから攻めてくるかわかんないでしょ?その時に酸素魚雷ぶち込んだだけよ。」
「…正気じゃないですよそれ。」
「まるで潜水艦みたいだったよ。」
「あれって曙が自分で考えたやつだったんだ。すごいわねぇ。」
「普通やらないですけどね…。」
「ねえ加賀さん。艦載機の飛ばし方って知ってる?」
「知ってますよそれくらい。」
「あんな一気に飛ばす必要ないと思うんだけれど…。」
「たくさん飛ばした方があなたたちを撹乱しつつ攻撃できると思っただけよ。」
「自分の搭載数が多いからってそんなことしてたらそのうち沈んじゃいますよ?」
「…その忠告だけは聞いておきましょうか。」
「…君の艦隊は特殊だな。誰かさんに似て…。」
「褒め言葉として受け取りますよ。」
「霞は…単純に強かったわね。」
「そうそう。駆逐艦とは思えないくらいだよ。」
「ですって。流石ですね。」
「当然でしょ?あなたの艦なんだから。」
「…ちょっとデレデレしすぎかも。」
「何か文句がありますか?いくらでも受けてたちますよ。」
「いえ。うちの霞よりも素直と言いますか…自分の気持ちに正直というんですかね…。とにかく幸せそうですね。」
「その発言は許可します。あと、一つ聞きたいんですけど、あなたたちは彼をどれだけ愛していますか?」
「ば!何言って…」
「恥ずかしいけど…まあ、この人に言われたことならなんでもやりたくなるくらいには好きかな。」
「翔鶴姉と同じくらいかな〜。」
「この人のことならなんでも知ってると自負できるくらい…ですかね。」
「ほう。」
「やめてくれ…。」
「なんで?べつにいいじゃん。減るもんじゃないし。」
「この前の大本営でも誰を連れてくか最後の最後まで悩んでたもんね〜。大和さんも嬉しかったでしょあの時は。」
「…はい。」
「ほうほう。」
「頼む…やめてくれ…。」
「じゃあ、ここでお別れということで。」
「もう一度聞くが…君は本当に僕を覚えていないんだな?」
「ええ。これっぽっちもね。」
そう言って親指と人差し指をぴたりとくっつけた。
「別に構わないけどな。ほら、みんな帰るぞ。」
「え〜。もっとゆっくりしない?」
「ダメだ!これ以上ここにいると俺が耐えられない!」
「ではね。多分もう会わないでしょうが。」
「いや…そんなことはない。」
「なぜ?」
「近々大規模作戦が決行されるからだ。最近の軍曹はイケイケらしい。活発になってきた深海棲艦を鎮めるために色々な鎮守府を巻き込むとの通達があった。君のとこにもきているはずだが。」
「…ほう。」
「また書類見なかったの?」
「はぁ…。とりあえず準備はしておいた方がいいとだけ言っておくぞ。」
「…どうも。」