「赤城…僕と…ケッコンしてくれないか?」
「…え?」
「あ…いや…返事はいつまでも待つから…。」
「待ってください!」
「う…。」
赤城に手を引かれ、この空間から逃げ出せない。今、一世一代の大勝負を挑んだのだ。断られれば、潔く引くつもりだ。彼女には加賀がいる。僕の心臓はドキンドキンと跳ね、首から背中にかけて大量に汗が流れている。
「お返事…今すぐ返させていただきます。」
「あ…ああ。」
赤城の答えが返ってくるまでの数秒が、何年にも何十年にも感じる。
「喜んで…お受けします。あなたとなら、運命の5分間も乗り越えられそうな、そんな気がしますから。」
赤城の髪が揺れ、陽の光をいっぱいに反射し、彼女の美しさをさらに強調させている。艶やかな頬がだんだんと紅くなって、目元が潤んでいく。
「あの…恥ずかしいので…。」
「あ!すまない!」
そっと薬指にはめ込んだ。
「うふふ。ありがとうございます。」
その瞬間に扉の外からカシャリという雑音と離れていく足音が聞こえた。また青葉かと思いつつ、今は赤城をそっと抱きしめた。叱りに行くのは、また今度にしよう。
(赤城とテイトクが…ケッコンカッコカリ…。いつものtea timeは…やめにします…。)
ティーセットを乱雑に置き、頭から布団を被る。
「お姉様…」
「ずっとあんな調子で…何かあったんでしょうか…榛名、心配です。」
「いつもなら司令のところに向かっているはずですが…」
姉妹たちの心配する声がぼんやりと聞こえて、その声も自分の啜り泣く声でよく聞こえない。
赤城に指輪を渡してすでに1年と7ヶ月。お互い特に変わり映えもなく、特段大きな変化もなかった。もちろん夜を共に過ごすなんてのもないので、正直あまり積極的ではないんだなと思って、特に何も言わなかった。そして、意識もしていなかった。そう、先輩に唆されるまで。あれがなければ、きっと今もこんなに緊張することはなかっただろう。嫌われているわけでないというのは理解している。毎日指輪をはめ、いの一番に僕の元へ向かってくるのだ。それが愛おしくて、触れたら脆く崩れてしまいそうで、踏み出せない。
「どうしたらいいと思う?金剛。」
「…。お二人のことですから、お二人で解決しないといけませんヨ?私がどうにかするなんてお門違いもいいとこデース。」
「それはそうなんだが…」
「第一、デス。あの時ですら、私や他の子が練度最大で、テートクに愛情を向けている子が多い中で、テートクからのケッコンの申し出を受け入れたんですから、きっと大丈夫デース。」
「うぐぐ…。わかった…。今日言ってみるよ。」
「その方がいいデース。では、私は戻りますね。」
「ああ。ありがとうな金剛。」
「加賀さ〜ん。どうしましょう。」
「赤城さん。またなの?」
「そんなこと言わないでくださいよ〜。こっちは真剣に悩んでいるんです!」
「…」(赤城さんがあんなにご飯を…これは相当ね…。)
「まあいいですよ。それで?どうお誘いする予定なんですか?」
「あう…。」
「赤城さんが頑張らないと何もことは進みませんよ?彼だって男性です。決してそういう欲求があるからと言って失望なんてされるわけありませんよ。」(もしそうなら…一撃で仕留めます。)
「で…でも…どうお誘いすればいいのか…」
ガラリと食堂の戸が開き、のそりと提督が入り込んできた。赤城さんからはちょうど見えない位置だ。
「失礼します…。赤城はいますかね?」
「ひゃあ!?」
「あ、赤城。少し話したいことがあるんだ。来てくれないか?」
(ほら、赤城さん。今の好機を逃せば、次はないかもしれませんよ?)
(は、はい!行ってきます!)
「わっ、わかりましたぁ…。」
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫です…。」
二人で執務室へ向かう。まだ陽が高く登っていて、廊下にはキラキラと光が差し込んでくる。彼の立派な身体が私に向かってくる光を遮っている。彼の凛々しい顔を下から覗き込めるのは私だけの特権。誰にもこの席を譲りたくないと思ってしまうのは、変なんでしょうか?
「失礼します。」
「大丈夫だよ。そんなに畏まらなくても。」
「そ、そうですか。」
(早く言ったほうがいいよな。こういうことは。)
(うう…。早く言わないと…、えっとえっと…)
「「あの…」」
「あ、すまない。先に言ってくれ。」
「い、いえ。あなたからどうぞ…。」
「なら…言わせてもらうよ。先に言うが、絶対に幻滅しないでほしい。それと、嫌だったら全然拒否してもらってもいい。」
「は、はい。」(一体なんなんでしょう…)
「ええと…その…今晩…予定は空いているかな…。」
「へ?今晩…ですか?」
「ああ。」
「別に空いて…はっ!?」
彼の顔をよく見ると、逆光に隠れつつ、耳まで赤くしている。これは…もしや…。
「いや、別にいいんだ。嫌なら断ったって…」
「大丈夫です!空いてます!」
つい勢いで声を荒げてしまった。
「あ…えと…」
「そ、そうか…。では…今晩。僕の自室に来てほしい。くれぐれも、誰かに言うなんてことはやめてくれると…嬉しい。」
「はっ、はい!」
「あと…赤城の用事ってなんだったんだ?」
「えと…あなたと…同じことを…」
顔が熱い。彼の顔は今よく見えない。
長い長い昼間がようやく終わりを告げ、とっぷりと暗い夜。三日月がぼんやりと光って、雲に輪郭を浮き出させている。静寂のなか、気を落ち着けるために小説に目を通していた最中。コンコンと扉から静かな音が響いた。
「…どうぞ。」
「失礼します…あなた。」
寝巻きに身を包んだ赤城が恥ずかしそうに扉をくぐってきた。
「いらっしゃい。さあ、おいで。」
「はい…。」
顔が真っ赤になって、僕の肩にこてんと頭を乗せている。もしや眠いのかと思ったが、位置関係的に見えてしまう胸元がドクンドクンと跳ねているのが見えた。
「ありがとう…。来てくれて。」
「もちろんです…。ずっと…心待ちにしていましたから。」
「ずっと…?もしかして…」
「その…お恥ずかしながら…。」
そんな彼女がとても小さく愛らしく見えて、思わず抱擁してしまった。
「ひゃ!?」
「ごめん。あんまり可愛いもんだから。」
「…もう。」
そっと赤城が抱きつき返してくる。彼女の柔らかく細い腕が僕の背中を包んで、前方に柔らかい塊が押しつけられる。
「その…もう待ちきれず…」
「あ、ああ。わかった。」
部屋の電気を消し、彼が敷いていた布団の上に身を置く。彼が優しく私の身体に手を伸ばす。恐る恐る私の胸に手を触れさせ、真っ赤な顔を見せている。
「…。」
「そ…そんなに夢中になられると…恥ずかしいです…。」
「す、すまない。あんまり柔らかいものだから…。」
「…見てみますか?」
「う!?見、る…とは…?」
目を見開き、私の胸元に目線を向けられる。帯を緩め、そっと服を脱ぐ。私の胸を全て見せると、彼の目線は遂に動くことなく、そこに向けられる。
「どうでしょう…。」
「すごく…綺麗だ…。」
なんだか気分が昂ってきた。彼の腕を握り、そっと自分の胸に誘導する。
「あか、ぎ…。」
彼の指が私の胸に沈み込み、先端が少し触れた。すでに張り詰めたそこは、敏感になっている。
「…ぁ…」
「赤城…その…。」
彼がもじもじと顔を俯かせている。
「?どうしました…か?」
彼の股間から驚くほどに大きいそれがいきり勃ち、緊張感が増す。
「すまん…耐えられそうにないんだ…。」
「…大丈夫です…。いつでも…来てください。」
寝巻きをはだけさせ、私の秘部を曝け出す。自分で慰めたことは何度もある。けれど、彼の指が私の身体に触れただけで、今までの刺激の悉くを超えてしまった。今まさに、彼の指が私の中へ入ろうと手を伸ばす。少し震えている指は、やがて私の秘部に到達し、優しく動き始めた。
「っ…ふぅ…あ…」
口から抑えきれない嬌声が漏れ、顔がさらに熱くなる。
「赤城…大丈夫かな…。」
「ええ…ん…大丈夫…です…」
彼の目がだんだんとギラギラ光ってきて、私の身体の隅々を見ている。大分解れただろう頃に、彼の息がはあはあと荒くなった。
「すまない赤城…もう無理だ…。」
「はい…大丈夫です…。」
キスを交わし、そのままの勢いで押し倒される。彼の大きな身体が月明かりを遮り、一時的に真っ暗な空間が形成される。口を離し、私の洪水を起こした秘部に彼の肉棒をぴとりと当てられる。今から、彼に私の中を突かれるのだと思うと、キュンと疼いて止まらない。彼はきっと初めてなのだろう。私と同じで。恐る恐るゆっくりと刺し込み、じっくりと私を感じてくれている。不意に、痛みを感じた。彼がゆっくりと突き進み、その壁をゆっくりと破っていく。その痛みは私を試すようで、息苦しくもなる。ミチミチと音を立てているように錯覚するほどの圧迫感を感じ、遂にその壁のように感じた膜は彼に破られ、尚止まらないその動きは、私を期待させる。奥の方に彼の肉棒が当たった感覚がした。同時に彼も動きを止め、私の目を見た。
「赤城…動くぞ…。」
「はい…。」
そのままゆっくり動き、まずは慣らすようにじっくりと動く。
「ん…ぅあ…」
自分では届かないところまで彼の肉棒が突き進んでくる。彼もまた、私のように少し苦しそうな顔で動いている。私の頭を撫で、頬を撫で、唇を触れさせながら動かれる。色々な感覚がビリビリ流れ、次第に気分が昂ってくる。
「うぁ…」
「赤城…少し…速くなる…」
そう言って、彼の動きが激しくなった。先ほどまでの柔らかい刺激から一変し、頭に直接ぶつけられているような衝撃が送られる。
「あ!ひゃあ!」
次第に声も大きくなっていき、身体が跳ね、汗が流れる。胸が震え、彼が私の顔の横に手をつく。夢中に動く彼が私を導いていく。
「も!だめっ!です!」
「赤城!出すぞ!」
彼が私の奥により強く打ちつけ、私の奥に熱いものを流し込んだ。
「う…はぁ…あぁ…」
「く…ふぅ…」
互いに疲労が溜まり、遂にこの瞬間が終わったのだとわかる。
「赤城…」
「なんですか…」
「…愛している。」
「…私も、です。」
彼の唇にもう一度触れ、ぎゅぅと熱い抱擁をした。彼の逞しい身体が私を包み、守ってくれるような気がして、たまらなく愛おしかった。