意外にもかなりの時間が経っていたらしく、外に浮かんでいる太陽も半分以上姿を隠していた。玄関に向かって歩いてくる間宮さんが見えた。そして、その右腕に重そうに大きな袋をぶら下げているのもわかった。とりあえず出迎えに向かう。
「お帰りなさい間宮さん。」
「あら霞ちゃん。お出迎えありがとう。」
にっこりと微笑んだ間宮さんの顔には汗が浮かんでいる。
「袋持つわよ。」
「いいのいいの!その気持ちだけで十分!」
そう言ってニコニコ笑いながら食堂に入って行った。
「曙、加賀。間宮さん帰ってきたわよ。挨拶してきなさい。」
二人のいる部屋の扉を開けると、加賀が曙の首筋あたりに顔を埋めているのが見えた。
「あ、そうなの?ほら、加賀。行くわよ。離して。」
「…はい。」
「タイミング悪かったかしらね?」
身体を起こして伸びをする曙と、曙のことを見つめる加賀は自然な恋人同士という雰囲気を漂わせている。そのうち加賀も立ち上がり、曙の後ろをついていく。
「重そうな荷物抱えてたから、もしかしたら今日はいっぱいご飯があるかもしれないわよ。」
「…流石に気分が高揚します。」
「よかったわね。」
何となしに言った一言は加賀を満足させるには十分すぎたようだ。
「間宮さんおかえり。」
「お帰りなさい。」
「あらら、ご丁寧にありがとう。今日はたくさん作るからね!」
食堂から見える位置にあるキッチンの中でとにかくたくさんの食材を取り出している。
「ありがとう。今日も期待しておくわね。」
「もっちろん!任せてほしいわ!」
あたしの頭の上からむふぅと鼻を鳴らす音が聞こえ、それほど喜んでいるとわかる。
「じゃあ、邪魔しちゃ悪いから私たちは一旦戻るわ。また来るから。」
「は〜い。」
「あ、あとクソ提督は今日は多分帰らないわよ。」
「え?そうなんですか?霞ちゃんはいたんですけど…」
「そうなのよ。霞を連れて行けない所に行ってるみたいなの。しかも、この時間になるまで帰らないし、連絡もよこさないからね。きっと明日でも帰ってくるんじゃないかしら。」
「珍しいこともあるのね…。」
少し眠くなっている自分がいる。もうすぐ食事なのに、なぜだか食欲がない。きっと彼がこの場にいないからだろう。三代欲求の一つが減った代わりに、他の部分が強まっているのだろう。ゆっくり深呼吸して、司令官用の机に預けていた頭を持ち上げる。枕代わりに腕を交差させて眠っていたから、痺れるし跡もつくしで散々だった。
「霞、ご飯できたわ。急いできてよね。」
「んぁ…?ああ、ありがと。」
少し重い身体を机に手をつきながらしっかりと持ち上げる。
「大丈夫?」
「ええ…。ところで、加賀は来てるの?」
「呼びましたか?」
扉の隙間からひょっこりと身体を覗かせ、存在をアピールする。
「いえ…別に、何もないわ。」