狂気恐館ミレニアムの迷宮~二泊三日の廃館脱出劇~ 作:強欲の道化師・1号支店
199X年 8月の夏の夜午後9時半
とある町にある工事を開始しようとしている廃館に近づく男が一人いた
男の名前は取田哲雄(とりた てつお)27歳、職業はカメラマンである
何故この男がこんな時間帯に工事中の廃館を訪れたのか?
男には目的があった、とある廃館で噂されている事を撮りたいからだ
この廃館には噂がいくつもある
曰く反社が隠した裏金を隠す場所として利用されているとか
曰く工事現場の職員以外で廃館内から何かしらの存在の気配がするとか
曰くその廃館には幽霊が出る
曰くその廃館は最近行方不明者が出てる
と噂が密やかに町の住人やゴシップ誌などで流れている
だが男の目的はそんなオカルト関連等ではない
目的は一つ、特ダネを撮る事、つまり反社の裏金関連を確定させる事である
「絶対激写してやる、激写して馬鹿にしてきたあの編集者をアッと言わせてやるんだ」
男はカメラマンとして5年もやっているが
如何にもうだつが上がらないまま成果を出せてない有様である
撮っても撮っても何度も没にされるか載せてもらっても小さい欄で載る成果しか出ない
その事に怒りを感じもう少し報酬や自分の扱いに関して交渉をした
その結果は
「なら確実な特ダネを撮ってきて欲しいですね、アンタの写真微妙なのしかないし、そんなのしか撮れない3流カメラマンに報酬上げるとか、馬鹿らしくて出来ませんよ」
御覧の有様、取り付く島もない程である
かくして男取田哲雄27歳の自分勝手なカメラマンとしての矜持を示すべく
この廃館にやってきたのである
廃館前の門に書かれている看板を見る
ほとんどかすれてしまっているが辛うじて読むと
英語でミレニアムの館と書かれいた
「ミレニアムねぇ、如何にも胡散臭い取り壊し予定のホテルだぜ」
一応調べた限りでは昔明治時代にとある富豪が建てた屋敷らしく
豪華絢爛であると町の人に噂される程だと資料には書かれていた
しかし時代の流れで元々の主人等が去り放置され数十年
とある者がホテルとして再利用しようとしたのが始まりだそうだ
名前に付けられたミレニアムも
1000年続く良きホテルとしての縁担ぎとして由来だそうだ
しかしそんな名前を付けたにも関わらず結局取り壊し決定されたと思うと
なかなかに皮肉が効いてるものだ
結局1000年も続けられなかったのだから
「まぁ結局大層な理由付けたとしても終わっちゃ意味ないわなぁ、だから俺の稼ぎと功績の為に貢献してくれよホテルちゃん」
そう言い男は慎重な足取りで周りに人がいないか確認し
未だ壊されていない正面扉のドアノブを掴んで引く
錆びついてるのか開きは悪く音を立ててしまうが如何にか開く
「・・・周り、いないよな?、いないな、うん」
今からする事はスクープ撮る為だがしっかりとした不法侵入である
見られたらそのままお縄も覚悟しなければならない
だがそこで止まれば良い写真など撮れはしない
取田はそう自分勝手に納得させドアノブを引き中へ入っていく
それが過ちだと知らずに
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中に入り早速腰に下げているポケットバックから懐中電灯を出し
スイッチをオンにする
すると瞬間足元が照らされる
「・・・案外そこまで内装は壊してないんだな」
周りを照らしながら観察すると分かる事がある
まだまだ回収してないのか壊してないのか
まだホテルを再営業出来そうな程内装もとい設備は残っていた
正面を照らすと受付コーナーを挟む様に左右に階段があり
上を見るとそこから2階へ進む様だ
右を向くとエレベーターもあるが多分使えないだろう
最低限電機は使えないし水道もガスも止められている
多分設備の電気を弄っても何も反応しないだろう
試しに近くの電源らしきスイッチを押してみたが反応はない
「まぁ当たり前だが反応は無いわな、って流石に壁や床は進めてたか、転ばねーようにしないとな」
しかし床や壁面を見ると一応なりとも工事は進んでおり
所々ボロくなってたり剥がされて埃も舞っているのが照らすと分かる
まだ工事開始して直ぐだっただろうか?
一応外に書かれている期間を考えれば工事現場の職員からしたら余裕なのだろう
しかし確かめるのはそこではない
この建物の何処かにある筈なのだ、回収されていない筈の裏金が
「さて、さっさと激写して帰りますか、・・・都合よく回収しに来た奴も撮れたら最高なんだけどなぁ」
男はライトを片手に首に下げているカメラを何時でも撮れる態勢にしながら
足を一歩、また一歩と進めて行く、受付先を超え奥へ奥へと
夜の遅い時間、誰もいない筈の廃館、やはり夏だとしても少し冷える感覚がする
気のせいだと思いたい、自分は怖がってなどいない
噂では知らない存在がいるや幽霊が出るなどのオカルトな噂も一応耳にはした
しかしそんなものいるわけない、ただのオカルト好きが流した噂でしかない
しかし背後から感じるこの違和感は何だろうか
背中を刺してくるこの冷たい違和感は一体何なのか気になって仕方ない
取田は気になり足を止め一旦入り口先の方に顔を向ける
「・・・扉は、閉まってるか」
後ろの方に灯りを照らす
如何やら扉は閉まっている様である
ならばこの背後から感じた冷たさは何だろうか?
純粋に自分が知らずのうちに恐怖した結果の冷や汗か
それとも何処かしら無意識から来る犯罪行為に罪の意識を感じたからだろうか?
しかしそのどれでもなかった
「・・・えっ?」
気付くのが遅かった
背後から来る存在に気づくのが遅かったのだ
音もなく現れた暗闇で見えざる存在に
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8月15日 午前10時
朝の時間も多少過ぎた今日この頃
とある家でテレビゲームで遊んでいる少年がいた
名前は鈴木次郎(すずき じろう)10歳小学4年生
現在学校は夏休みに入りもうそろそろ終わりそうな中
今を楽しむようにテレビゲームに熱中していた
夏休み始まってからは最速で宿題を進め残った時間をゲームに費やす
その快楽は少年にとっては最高だとしか言えない快感になっていた
クーラーと扇風機を効かせた部屋で冷えた麦茶とおやつを食べながらゲームをする
この日々が永遠に続けば良い、そう思える程楽しかった
しかしその日々が終わりを告げる様な電話の音が鳴る
「ジロー、電話だよ、暇なら出なさい」
ジロー、母親からもそうだが学校でも呼ばれているあだ名である
誰からも電話だろうか?
若しかして太郎君だったりするのだろうか、今確か遠い所にいた筈だけど
とそんな事を考えながら家の電話の受話器を手に取り耳に当てる
「もしもし、此方鈴木君の家でしょうか?」
・・・声の感じからして違う事が判明した
声の主は自分のクラスメイトのガキ大将大山大地(おおやま だいち)である
「んっ、あぁお前かジロー、なーんだ親切にして損したぜ」
コレだ、自分の事になった瞬間舐め切った口調になる
僕はコイツの事があまり好きではない、苦手だ
無駄に体力と行動力あって巻き込まれるし良い迷惑だ
多分この電話もどうせしょうもない事だろう
カブト虫捕まえるかツチノコ捕まえようとかそんな事だろう
そしてそんな事で時間を潰されたくない、何か言い訳を考えなければ
「オーイ聞いてるか、オーイ」
マズい、あまり反応しないと面倒な事になる
取りあえず当たり障りのない感じに返事しよう
「良し聞いてるな、今から言う事を聞いて来て欲しいんだ今すぐに」
さてどんな面倒な事に誘おうとしようとしてるんだろうか
内容次第では断ろう
「実はさ、今日さ」
この時電話に出なければ良かったと後悔する
そうすれば何事もなく夏休みを満喫出来ただろう
この言葉を聞かなければ僕の運命も変わったのだろう
「そろそろ工事で潰れそうなあのホテル行こうぜ、みれにあむ?、って名前のさ」
かくして劇がもう少しで開幕する
静かに少しずつ幕が上がっていく
続く
ようこそ観客の皆様いらっしゃいませ
此度の劇にようこそ
もう少しで開幕しますので心の準備をしといてください
私当館劇団長を務めさせてもらいます
気軽に団長とお呼びください
若しかしてお客様始めてでしょうか?
でしたら今回の劇の内容お知りではないのでしょうかな?
ではではご紹介しましょう今回の劇の内容を
次回次回
ダイチ君から呼ばれたジロー君含めたクラスメイト9人
工事中の廃館であるミレニアムの探検をしようとの提案で集まる
そこで中に入ると何者かに呼び止められてからの怒涛の連続
ジロー君含めたクラスメイト達はバラバラになってしまう
果たして彼らはこの死と隣り合わせの脱出劇を無事生きのび出れるのだろうか
次回 8月15日 AM10:30 ジロー
まもなく劇の開幕、心の弱い人は気を強く持ってください
1月28日追記、一部文章を修正&追加しました、ご迷惑おかけしますm(__)m