「すぐぅ!!」
「傑!!」
傑なのに傑じゃない。子供達はパニックに陥り、ワタワタした挙句縋り付いてきた。並行世界なんて概念、幼児にはわかんないよね。私から引き離すと不安定になるから、しばらくお仕事はお休みかな。
彼らは最強女神様を崇めているらしく、カルマシステムについて厳粛に従っているようだった。それに従うと、私はマイナスぶっちぎりだから、泣かれちゃうね。
「五条 悟の息子が封印術式なんて地味ねぇ」
「術式も目も別になくてもいいし」
「ないと困るだろう」
猿になってしまう。
「女神様に貰えばいいもん」
「女神様に?」
「神様に帰依すると力を貰えるんだよ。カルマシステムでプラスじゃないと駄目だけど」
「そんな事可能なのかい?」
随分無法な術式だね、それ。五条 悟が帰依するぐらいの宗教って考えると納得だけど。
「悟も傑も、白虎が一番好きだから、ナデナデしてもらえて嬉しい」
「すぐぅ! すぐぅ!!」
ちっちゃな子がすがってくるのが可愛い。猫都は私が離れるとパニックになってしまうほど。可愛い。
「白虎は術式あるのかい?」
「あるよ。六眼で光属性と闇属性が遺伝してて、術式は呪霊装術。呪霊を呪具に変えて収納できるの」
「それは私と悟の子って感じだね」
「六眼が二代続けて生まれたってもう大フィーバーだよ」
「だろうね」
しかしそうなると、五条家に返すのは問題かな。
本当の親じゃないわけだしね。そろそろ決着をつけたいと考えていたのだけれど、どうしようかな……。
「夏油様! 夏油様がいらっしゃってます」
「会おうか」
どうやらお迎えが来たらしい。迎えに来た私は、お腹が膨らんでいた。
そして腰が引けている。
「わかってたけど、カルマぶっちぎりでマイナス……!! 怖いよ、霊視切らないと死霊に囲まれすぎて姿すら見えないなんて初めてだよ。悟……!」
「お迎えかな? ご挨拶だね」
「そうだよ。息子達を預かってくれてありがとう 。お礼はさせてもらうよ。使える呪霊の情報ではどうかな。非術師を呪術師に変える術式をもつ呪霊がいてね」
「それも魅力的だけど……欲しいものがあるかな」
「欲しいもの?」
少しいいよどんだあと、教祖は意を決して話した。
「私も悟の子供が欲しいかな。同じ顔だし君に4回も勃ったなら私にも勃つよね?」
「ええ……。育てられるのかい? 君、百鬼夜行計画してたよね?」
「私には頼れる家族がいるからね」
「産んだら責任持ちなよ、殺しやめてちゃんと育てな。更生は手伝うから」
「やめろよ、後戻り出来ない事はとっくにわかってるんだ」
「でも悟に死んで欲しくないよね? このままだと悟、君のせいで宿儺に殺されるよ」
「は? どういうことかな」
「宿儺復活を目論んでいる一派がいて、悟の大事なもので使える術式の私は狙われてるんだ。非術師を術師にして、真面目に戦力増やして宿儺対策しないと詰むよ、宿儺は悟より強いから。子供を返して、自己防衛以外の殺しを止めるなら色々教えてもいいよ。散々悟を傷つけてきたんだから、最後に一回くらい、悟に力を貸してあげたら? 自殺ムーブは最低でも宿儺倒してからにしな。悟への種付けの依頼はしておくからさ」
「……! いや、君は私、誤魔化しは通じないか。いいよ。百鬼夜行は宿儺を倒して、子供を産んでからだ。それまでは無駄な殺しもしない」
「ちょっと待ってね。……悟の了解は取れた。でもすぐには出来ないよ? 呪霊使って、後ろ拡張して……最短で一週間後かな。よければ準備手伝うよ。それとも悟にしてもらう?」
「君にお願いしたいかな」
「わかった」
一方その頃、悟と直哉は両方とも呪専に来ていた。
一回離れたお子様2人だったが、それでも五条のカルマが他の術師に比べればマシだった為、全力で五条にひっついていた。なので直哉は監視で呪専に来ていた。
白虎はポップを引っ掴んで影に隠れている事が出来るので、五条の仕事の邪魔にもならない。
そして、そのあたりを賢者伊地知が調べ上げ、迎えにお父さんズが向かった形だ。
「迎えに来たよ、僕の小虎ちゃん」
「遅くなってすまんなぁ、ポップ」
「悟ぅぅぅぅぅ!!! すっごく怖かったぁ!!! なんで皆カルマ低いの!?」
「パパ、遅いわああああああああ!!」
「よしよし」
「あの! 俺、治療して欲しくて!!!」
メカ丸にお願いされる。迎えにくると踏んで、ずっと呪専で待機していたのだ。仕事? 増えたメカ丸と東堂がおるじゃろ?
「あー。治療したら白虎を返してくれる?」
「それはないかなー。白虎くん優秀だし、帰る方法見つかってないんでしょ? うちに来ない?」
「こっちでの生活基盤は整えたから心配しないで。そっちを邪魔するつもりはないよ」
「こっちは宿儺まだ未討伐なんだよ、手伝えって言ってんの」
「もっかい死ぬのは嫌かな。僕2人がかりでもきついよ宿儺は」
「せやせや、あれをもう一回しろって言われても無理や。しかも氷雨おらんし」
そこで、五条はふと顔を上げた。宙に目を彷徨わせ、何かを読んでいる。
「傑の方、僕の黒豹と猫ちゃん取り返せたって」
「良かったやん」
「しかもこっちの傑が種付けさせてくれるらしい」
「傑くんの交渉力高すぎん……? でも育てられるんか?」
「家族任せだって。って事は百鬼夜行止める気は無いんだね。でも宿儺祓うまでは殺ししないって約束してくれたらしいよ。あと、死体は悪用されないよう方法考えるって」
「派手な後夜祭になりそうやな……。巻き込まれんうちに早いとこ帰らな」
「帰る方法早めに見つけようね」
「は? どういう事だよ。傑が種付けって……」
「猫都のかわいさにやられちゃったんじゃない? 傑、子供好きだしたまにわけわかんない暴走するしさびしんぼだし。僕が五条悟であって傑の知る五条悟じゃないのと、傑にメロメロになってる実績あるのもいいんじゃないかな。あいつ捻くれてるし。1ヶ月傑ハーレム堪能するから白虎お願い」
「ええなぁ。自分も氷雨様子見しに行こうかな……」
「とっくに別の奴と結婚してんじゃない?」
「嫌なこと言うなや!」
「は? ちょっと待て、傑に何するつもりだよ」
「ハーレム」
「悟、浮気するの? 女神様怒るよ?」
白虎が半眼で訴える。
「小虎ちゃん、違うんだ。黒豹と猫ちゃん返してもらわないとだろ?」
「こっちの悟に行って貰えばいいじゃん。仕事交代して」
白虎は呪術師の悟を押し出す。
「自分は手合わせとか任務の手伝いとか情報とか欲しいな。禪院家来いや。こっちの氷雨ちゃんに手出しされるの嫌な気分になるやろ?」
「は? ざけんな燃やされたいんか?」
「わかった。ある程度の資金は渡すから、そっちの教団総出でしばらく仕事手伝ってよ。それで指名手配はしないであげる。あと、そっちの傑のところには僕が行く。宿儺討伐と傑の説得成功したら、秘匿死刑もなしにしてあげるよう説得する。直哉と憲紀は禪院家、加茂家にそれぞれ出向してもらう。それを説得に使う」
「……メカ丸。君、総監部直属だよね。君の治療してもいいけど、説得に協力出来る?」
「はい、頑張ります!」
「傑くんの助命と引き換えか……。そんなら、まあ我慢したっても……」
こうして、細部を詰めて契約は結ばれた。
マシュマロ
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