※この作品はR-18です。

スレンダー角っ娘はデカ尻ドスケベ雌山羊~クーデレ敬語ヒロインとイチャイチャする~   作:灰鉄蝸@機甲猟兵エルフリーデ発売中

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14話「背徳のよろこび」前編

 

 

 

「知ってますか、ハジメ。わたしの目に映るあなたは、宇宙一かっこいい男の子なんですよ?」

 

 

 

 

 ヤシェロからの言葉は、この上なくハジメに効いたようだった。

 かなり照れたようで、目をまん丸に見開いた後、少年は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

 初々しい。

 無論ヤシェロとて人のことは言えないが──

 

 ──可愛い。

 

 どきんどきんと胸の鼓動が高鳴る。

 慎ましい乳房の真ん中で、心臓が脈を打っていくのを感じる。

 それはつまり、身体改変構造体──ヤシェロの肉体に根付いた、淫らな情動と性行為を司るサブシステムを目覚めさせるということで。

 

 以前のような暴走をしなくなった分、より深く、少女のパーソナリティと融合したそれは、静かにその思考をセックスへと誘導する。

 

 ほんのりと汗に混じりだした甘いにおいは、改造された汗腺の放つ性フェロモン。

 あからさまではない程度の変化は、隣接している雄──ハジメの気持ちをそれとなく、性行為へと誘う導線の役割を果たしていく。

 

 

 ──今はダメ、です。

 

 

 恋情に条件付けされた性欲が入り交じるヤシェロのまなざしは、恐ろしく蠱惑的だった。

 まるで獲物を絡め取る蜘蛛の糸のように、しなやかな指が少年の手を包み込む。

 ハジメの指がおずおずとそれを握り返すと、満足そうに、ヤシェロの指もそれをぎゅっと握った。

 

「ハジメ……その、素敵なところ、ですね?」

 

「そう、だね」

 

 言葉少なに、二人は並んで歩いて。

 ホテルへ帰ったころには、ほとんど無言になっていた。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 ホテルの夕飯は、まさに舌鼓を打つに相応しいものだった。

 人工的な海洋を備えた区画だけあって、新鮮な海の幸──こことは別の「冬の海」を含む海洋牧場で養殖された良質な魚貝類──が並んだ料理は、どれも美味しかった。

 

 しっとり焼き上げられた白身魚はほろほろと舌の上で崩れるし、酒蒸しされたエビの身は旨味をたっぷり含んでぷりぷりと舌の上で弾ける。

 

 鮮魚を生で薄切りにしてソースをつけて食べる料理──刺身というのも、生臭さを薬味で抑えて、魚肉の甘さを味わうのが面白い。

 

 バターを効かせた大ぶりな二枚貝のソテーときたら濃厚な旨味の塊だし、魚介類を使った煮込み料理は、具材からしみ出したスープがとにかく美味である。

 ウニという棘皮生物の殻を割って、中身をスプーンですくって食べるのもいい。

 

 一品一品の量はさほどではないのだが、とにかく品数が多い。

 気づけば、動物性タンパク質たっぷりの美食でお腹がいっぱいになっていた。

 

「あっ、ハジメ。このデザートも美味しいですよ」

 

 スプーンでゼリー状の甘味をすくい、口に運ぶヤシェロは機嫌がよかった。

 美味しい食事に雰囲気のいい宿、そして傍らには大好きな恋人。

 日中のことを半ば忘却して、食事に没頭していた。

 

「んっ。本当だ」

 

 隣の席に座るハジメも、帰路の緊張はどこへやら、無邪気に食事を楽しんでいる。

 そのままゆったりと時間を過ごし──食後のお茶を楽しみつつ──和やかな雰囲気のまま部屋へ戻った。

 

 

 

 一揃いの部屋(スイートルーム)の名前の通り、二人が宿泊する部屋は、寝室に広々とした居間やバスルームが隣接した間取りだ。

 新婚の夫婦が住むような、とびきり上等な集合住宅を思わせる内装──まず寝室だけで広く、ダブルサイズのベッドが二つ並んでいる。

 

 ベッドから見える居間には、ソファーがいくつも並んでいて、二人で使うには贅沢すぎるぐらいだった。

 普段、二人が住んでいる丘の上の洋館がこれまた広い屋敷だから、つい感覚が麻痺しそうだが。

 

 黒のセミロングヘアをさらりと揺らして、ヤシェロは後ろ手に居間の扉を閉めた。

 スイートルームには玄関がついていて、廊下から部屋に入ってすぐ、靴を脱いで居間へと続くドアを閉める作りになっている。

 ゆったりと、外界から切り離された時間を過ごすための配慮。

 先に居間に入り最低限の照明をつけた少年──ハジメが、少女の方を振り返った。

 

「いいところだね、ここ」

 

「でしょう? 以前、来たときも素敵でした」

 

「楽しかった?」

 

 ええ、と頷いて。

 少しだけヤシェロは感傷に浸った。

 

「お父様とお母様が亡くなってからは、一度も訪れていませんでしたから。何も変わっていなくて安心しました」

 

「そっか」

 

 少女にとって、父母の死はとっくの昔に乗り越えた過去だった。

 それがわかっているから、ハジメはそっけない返事をしながらヤシェロの手を握る。

 

「俺も、君と一緒に来られてよかったよ」

 

「……ハジメ、口説き文句だけ上手くなってませんか。どこで覚えたんですか、そういうの」

 

 じっとりと据わった目で睨むと、ハジメは困ったように小首をかしげた。

 

「いや、アーカイヴの娯楽映像でやってたからさ。こういうの嫌いだった?」

 

「プレイボーイの真似するの、禁止です。わたし以外にそういうこと言ったら許しませんよ」

 

 ヤシェロとてこれが、みっともない独占欲の類なのは自覚している。

 だが、仕方ないと思う。

 今の彼はとっても格好良く見えてしまったから。

 

 頬が熱くなっているのが自分でもわかる。

 んー、と少し眉根を寄せた後、いたずらっぽく笑うハジメ。

 

「心配しなくても、俺はヤシェロ一筋のつもりだけど」

 

「エルギダのおっぱいは別腹ですか」

 

「俺……そんなにおっぱいばっかり見てる……?」

 

「知りません」

 

 地味に傷ついてるハジメは、とにかく可愛らしかった。

 ちょっと背筋がゾクゾクした。

 

「もし……違うというのなら……その、わたしを、いっぱい可愛がってくださいね」

 

 白い頬を朱色に染めて、ヤシェロは少年の身体にしなだれかかる。

 感覚器の鋭敏な角人だからわかるもの──衣服越しにも伝わるそれは、人の体温であり、心臓の鼓動であり、血の巡りであった。

 

 皮膚感覚で伝わる、生体組織の放つ熱と振動。

 続いて嗅覚に染みこむような、若い雄の体臭──昼の散歩ですっかり汗ばんだせいか、いつもより強めのにおいがした。

 

 そのすべてを、ヤシェロは愛おしく思う。

 肉体の交わりをうながすため、改変体によって増設された神経回路が、そういう風に条件付けしていると理解していても抗えない。

 押しつけられた少女の身体のやわらかさに、ハジメは少々困惑しているようだった。

 

「俺、こういうの抜きで二人きりになろうと思ってたんだけどなー」

 

「それ、本気で言ってますか?」

 

 じっとりと上目遣いにねめつけると、彼は真顔で言い放った。

 

「ヤシェロ。スイートルームはセックスするところじゃないんだよ?」

 

 からかわれている。

 そういうのどうかと思います、と無言の抗議──すぐに少年は白旗を揚げた。

 

「それじゃ、俺の一番がヤシェロだってわかってもらうか」

 

 言いながらも、少年の顔にはすでに獰猛な肉欲の色が覗いていて。

 有無を言わせず距離を詰めると、ぐいっとヤシェロを引き寄せる少年の腕。

 

「きゃっ」

 

 思わずもれたヤシェロの声には、隠しきれない媚びが含まれていた。

 角人の細腰──内臓の数やサイズに至るまで改造された結果、実現した芸術的くびれ──に回された少年の腕のせいで、身体と身体が密着する。

 

 ──男の子の……身体、なんですね。

 

 人類種(ヒューマノイド)としての容姿と戦闘用に最適化された身体構造の両立した肉体。

 彼をかつて設計した勢力の思想を反映するかのような、たくましく引き締まった肉体の弾力を感じるだけで、少女はうっとりしてしまう。

 

 雄をよろこばせるため日々最適化されているヤシェロとは、まったく異なる肉体──ある種グロテスクですらある、歪んだ男尊女卑的思想に基づいた性玩具としてのありよう。

 数万年前の地球時代であれば、社会悪として糾弾されたに違いないそれは、この宇宙時代にあってはファッションの一部に過ぎない。

 

 自分自身の肉体を、好いた相手に媚びるため作りかえる性的倒錯は、ヤシェロの本能に刻み込まれた生態であった。

 これから自分を組み伏せ、支配する男の存在に早くも下腹部が熱を帯びる──被虐嗜好者(マゾヒスト)の生理的反応。

 

 

「んむ!? ふちゅっ♥ れろ、じゅぷぷ♥ んちゅぅ♥♥」

 

 

 そんな少女の唇が、やや乱暴に奪われた──舌で唇を割り開くディープキス。

 唾液をたっぷり含んだハジメの舌が、ぬろぬろとうごめき、ヤシェロの口腔を舐め回していく。

 

 敏感な上顎や歯茎をブラッシングするように満遍なく撫で上げ、かと思えば舌と舌を絡めて愛撫。

 信じられないほど上達した少年の性技──その教材であるところのヤシェロの目は、酩酊したようにとろんと泳いでいた。

 

 

 ──これダメ♥ ダメです♥ 気持ちよすぎてぇ♥

 

 

 舌と舌が触れあうたびにぞくぞくと背筋を駆け上る快楽の信号。

 ヤシェロの舌に浮かび上がった模様は、人体改造の上限に達したことを示す改変体〈大淫婦の印〉である。

 

 生殖器の改造と再構築──芋虫がサナギの中で生まれ変わるように、子宮も卵巣も膣も溶かして作りかえている──最中の少女は、前穴での性交ができず、ここ最近は口淫奉仕ばかりしていた。

 幾度となくフェラチオで陰茎を頬張り舐めしゃぶり、喉奥で亀頭を受け入れ、精液を搾り取ってきた肉穴。

 

 そのように使われてきたヤシェロの口腔は、精液を美味に感じる味覚改造だけでは飽き足らず、男性器の挿入で快楽を感じる疑似性器として発達してしまった。

 差し込まれた恋人の舌がどこに触れても、口腔全体が性感帯だから逃げ場がない。

 

「ちゅぷあ♥ ふちゅっ♥ ちゅぷるるる♥♥ ちゅぴ♥」

 

 唇と唇の間で二人の唾液が混ざり合い、空気に触れるたびもれる卑猥な水音──まるで口腔を強姦されるような感触。

 足腰から力が抜けてきた角人の少女は、ハジメの背中に腕を回して抱きつく。

 

 ブラジャーの下で硬く尖りつつある乳首を感じながら、キスに没頭するヤシュロ──すらりと伸びた長い手足の美少女が、親に甘える子供のように身体を預ける姿はとびきり扇情的だ。

 身にまとったワンピースはウェストのあたりで布地を絞る構造のため、その細腰は服の上からでも否応なくわかった。

 ゆったりした布地越しにも、豊かな骨盤の広がりは一目瞭然──ワンピースを盛り上げる尻肉を、がっつりとハジメの指が掴む。

 

「んきゅううぅ!?」

 

 甘ったるい、悲鳴のような嬌声。

 口腔への陵辱で頭がぼやけていたヤシェロは、自身のコンプレックスでもある大きな臀部──雄へのセックスアピールが凝ったような巨尻をわしづかみにされ、ガクガクと腰を震えさせていた。

 ぎゅっと遠慮なく、ものを掴むような力加減でやわらかい尻たぶに圧力を加えられ、痛覚神経が刺激されたのは言うまでもない。

 

 しかし同時に少女の尻肉は、改変体によって快楽を感じるためだけの疑似神経が増設された性器でもある。

 その巨尻は、恋人の少年にとっても一番目につく場所であり、当然、二人が肉体関係を持ってからは一番愛撫されてきたから、口腔と同じかそれ以上の性感帯に改造済みだった。

 痛覚とセットになった快楽信号をどぱどぱと神経回路に流しこまれ、ディープキスでできあがっていたヤシェロはあっさりと絶頂。

 

 

「────♥♥♥」

 

 

 へこっと前に突き出されたせいで、ヤシェロの股間が少年に押しつけられる──ズボンの下で勃起した怒張に。

 ぷしぷしと尿道から潮を噴いているせいで、レース地の白いショーツはおもらしをしたように濡れて、ワンピースの股間の布地にまで下品なシミができていた。

 

 せっかくのお気に入りのワンピースが淫汁で汚れていくことなど気にもとめず、少女の腰はうごめき、ぐりぐりと恋人の股間に自身を押し当てていく。

 たまらず舌を引き抜くハジメ──ヤシェロの唇との間にかかった唾液の糸が、ぷつりと途切れた。

 

「ぷはぁ♥ んぅぅ♥ ハジメ……キスやめちゃうんですかぁ♥」

 

「せっかく可愛い服なのにいいの?」

 

「へ……ふあ!」

 

 言われてみて初めて気づいたらしく、ぼんやりと蕩けていた少女の瞳に理性の光が戻ってくる。

 赤らんでいた頬はさらに赤く色づき、かっと羞恥心で染まっているのがわかった。

 

「あ、あの……これは、ですね。生理的反応と言うか、その、えっと」

 

「あーうん、このぐらいなら消臭剤で大丈夫じゃないかな」

 

「そ、それ以上言わないでください……」

 

 今にも縮こまりそうなヤシェロだったが、どくどくと脈打つ心臓の鼓動も、火照った身体も静まってはいない。

 ううっ、とうめく少女の身体は今もなおセックスを求め、無意識にふりふりと尻を振っていたし、大きな二本の角は発光パターンで求愛を示していた。

 ノースリーブのワンピースから覗く腋の表面を、つうっと汗の雫がしたたり落ちる。

 

 

「……脱いじゃいますから。少し、待ってください」

 

 

 恥ずかしそうに目を伏せたヤシェロからは、汗のにおいが漂っていた。

 汗腺のすべてを改変体に改造された少女の汗臭さとは、甘ったるい性フェロモンのにおいと同義だ。

 

 愛液にもたっぷり含まれていたそれに慣れ親しんだハジメは、このにおいを嗅ぐだけで無条件に勃起させられてしまうから、彼女の誘いを断れない。

 ずるずると(ただ)れた性行為に引きずり込まれてしまうのだ。

 

 わかった、と頷きつつヤシェロの背を向けるハジメ──部屋に運び込ませていた手荷物から錠剤とボトルを取り出し、封を切って飲み始めた。

 食事を取ったばかりの胃に流し込まれる精力剤を知らぬまま、少女は衣擦れの音を立て、一糸まとわぬ姿になっていく。

 

 しゅる、と脱がれたワンピースを椅子の背もたれにひっかけ、股間の染みに部屋備え付けのスプレーを一吹き。汚れを分解するマイクロマシンの含まれるスプレーだから、三〇分もすれば綺麗になっているだろう。

 

 すぐクリーニングに出せばいいのに、一々こういうことをしてしまうのがヤシェロの几帳面さだった。

 潮吹きでべとべとになったショーツを脱ぎ、ブラジャーのホックを外して置き場所を探した瞬間。

 

 

「これで……ひゃう!?」

 

 

 不意打ち気味に、後ろから少女を抱きすくめたのはハジメだった。

 びっくりして手を離した拍子に、ブラジャーが床に落ちる。

 

 

「それじゃ続き、しようか」

 

 

 口調こそ穏やかだが、有無を言わせぬ強い言葉だった。

 少女の意向に関係なく、これから組み伏せて犯すという意思の表明──自分の意思が蔑ろにされている状況に、よろこびを覚える被虐嗜好者(マゾヒスト)のヤシェロにはたまらないご褒美だった。

 

 

「んぁあ♥ そ、そんな♥ 乱暴すぎますぅ♥♥」

 

 

 そう言いつつ、少女の声に混じる媚びは隠しようがない。

 ふりふりと揺れる尻肉は、そういう形の果実のように丸く大きい。色白で透き通るような肌と相まって、水まんじゅうのようにぷるぷるした巨尻だ。

 

 鴉の濡れ羽色の黒髪、切れ長の両目にはまった黄金色の瞳、すっと通った鼻梁、薄く赤い唇──まさに美少女と言っていい顔立ちに、雪のように白い肌、控えめながら美しい小ぶりな乳房、ほっそりとくびれた腰。

 

 すらりと伸びた長い手足と相まって、冬の妖精のような美貌のヤシェロの身体のなかで、強烈なセックスアピールに満ちた部位こそ、豊かな骨盤の広がりに支えられた巨尻だった。

 腰のくびれは鋭く、お腹は皮下脂肪の下の筋肉で引き締まっているというのに、臀部(でんぶ)になった途端、強烈な雌の色香が漂い始めるのだ。

 

 丸い曲線を描いて拡がった桃尻は、太ももから続く筋肉に支えられてむちっと盛り上がり、文字通り、瑞々しい桃の果肉を思わせたし、全体的に細い脚線美の中で、太ももだけがほどよくむっちりと肉がついている。

 全体的に細身のヤシェロの肢体を、とびきり官能的に彩る巨尻──今はハジメの指でもみしだかれている柔肉。

 

 地球時代の慣用句に従うなら、安産型の大きなお尻ということになるが、宇宙時代においてはナンセンスな表現である。

 人工子宮による胎児の育生が一般化しているご時世に、骨盤の大きさを出産のしやすさと結びつけるロジックそのものが時代遅れ──そして根本的に性差別的──だからだ。

 

 ゆえに、ヤシェロの大きなお尻は、どこまでいってもセックスアピールのためだけに発達した奉仕器官だった。

 吸い付くようなきめ細やかな肌も、男を迎え入れるときその腰を挟み込む太ももの肉も、視界に入るだけで雄を楽しませるデカ尻も──少女の人格や理性と関係なく、角人の本能によってそうなってしまったものだった。

 

 かつてであれば、その事実に嫌悪感と絶望を覚えたであろう潔癖な乙女はもういない。

 ハジメのもう一本の腕が、ヤシェロの股間をまさぐった。

 

 

「やぁ♥ ダメです♥ わたしのお〇んこ♥ まだ使えませんからぁ♥」

 

 

 先ほどの潮吹きで濡れた股間は、愛液で濡れてはいなかった。

 膣道から子宮へ至る生殖器への道は、ゼリー状の分泌物によって塞がれており、むっちりと肉がついた恥丘の盛り上がりが見えるだけだ。

 常であればサーモンピンクの粘膜をてらてらと蜜でてからせ、雄を誘うであろう穴はどこにもなかった。

 

「でもセックスはしたいんだ?」

 

「はい……♥ ハジメとえっち、したい……です♥」

 

 改変体による思考・認識の改変は、自覚できるものよりも無意識に書き換えられているものの方が多い。

 ヤシェロの語彙は、改変体によって無意識に切り替わるようになっている。

 下品な淫語などもそうして刻まれた言葉使いで、特に、ハジメとの倒錯的なセックスに耽るときなどはこちらの語彙(ごい)が選ばれやすい。

 

 その方がハジメが興奮してくれるし、ヤシェロ自身も倒錯的興奮を覚えるからだ。

 淫らに恋人を誘う自分自身の浅ましさに、ぞくぞくと背筋を震わせる少女──その口元は、淫らなよろこびへの期待に歪んでいた。

 

「す、好きな人とえっちしたいのは……当然じゃないですか。わたしだって、ハジメと……んぅっ♥♥」

 

 言い訳がましいヤシェロだったが、軽くキスされるだけで身体から力が抜けてしまう。

 唇を離してすぐ、ハジメは赤裸におのれの欲望を口にした。

 

 

「──じゃあ、お尻使ってもいいかな」

 

 

 思いがけない言葉、だったわけではない。

 むしろ膣道が使えない状況で、まだしていない性行為──口淫に関しては習慣化しつつある──を求めれば自然、排泄孔が候補に挙がる。

 ましてや角人にとっての肛門は、排泄のための器官ではないのだから。

 

「えっ、あっ……そ、それは」

「ダメかな?」

 

 気遣うような口調だが、少年はいたずらっぽい表情でヤシェロを見つめていて、彼女がどう答えるか確信している様子だった。

 

「仕方が、ないですね……ハジメが、どうしてもって言うなら……いい、です」

 

 そう言ってじっとりと彼をねめつける──変態的な恋人を責めるような口調だが、声音がうわずっているのは隠しようがなかった。

 何より雄弁なのは、エメラルドグリーンの山羊角に浮かぶ発光信号だ。

『受諾』『許可』『肛門性交』『推奨』などと無数のパターンで意思表示していては、どんなに上辺を取り繕おうと意味がない。

 

 

 ──ひどい♥♥♥

 

 

 身も心も恋人に屈服しているヤシェロは、今から始まる淫らな行為に高ぶりを覚えていた。

 

 

 

 

 

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