※この作品はR-18です。

スレンダー角っ娘はデカ尻ドスケベ雌山羊~クーデレ敬語ヒロインとイチャイチャする~   作:灰鉄蝸@機甲猟兵エルフリーデ発売中

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幕間「昔話」

 

 

 

 

 

 

 

 ──滅びろ。

 

 

 

 ──砕けろ。

 

 

 

 ──絶えろ。

 

 

 

 

 

 

 

 彼は戦船だった。

 

 

 

 

 

 

 

 星が砕け散るときの光景を知っているだろうか。

 何十億という人間の居住する惑星が、地殻ごと引き裂かれ、核を剥き出しにして粉々になるまでを。

 

 彼は知っている。

 どれほど多くの命が敵に奪われたのかも、どれほど多くの命を自分が奪ったのかも。

 すべて覚えている。

 

 

 

 ──見ろ、見ろ、見ろ。

 

 

 

 それは万象に静けさをもたらすもの、より多くを殺戮するため生まれたもの。

 光よりも早く到達する、時空を超えた神経網──超光速マンマシンインターフェース〈ハル・メギド〉に支えられた群体を統括する総体意思(ハイヴマインド)

 文字通り、銀河の隅々にまで軍勢を送り込み、虐殺を続けるための自動機械(オートマトン)

 

 それが彼だった。

 戦艦を、空母を、巡洋艦を、駆逐艦を、亜光速戦闘機群を。

 天文学的数量の機動兵器群を統括し、惑星地表に住まう人間一人一人の動態反応を感覚しながら、すべてを焼き払う旅路。

 

 

 

 かつて汎人類再生同盟という勢力があった。

 

 

 人類という種が地球から巣立って数万年、自らを情報生命体へと変容させた霊長〈航海者〉による圧政──その長きにわたる支配を打ち破るため、結成された反帝国主義の同盟だ。

 銀河中のあらゆる星々、人類亜種群、人工知能群が、自らの利益と尊厳のためこれに加わった。

 そのうねりはあまりに大きく、当事者にすら制御できない嵐となっていって。

 

 〈航海者〉率いる帝国との間で、戦争が起きるのに時間は要らなかった。

 

 結論から言おう。

 汎人類再生同盟はこの戦争に敗北した。

 怠惰と退廃に染まった電脳貴族たちの帝国は、堕落してなお、銀河最強の艦隊と戦闘知性体を有していたし、自らの権力と資産の源泉がなんであるかを忘れてはいなかった。

 

 武力と情報──容易く星々を潰せるだけの機動兵器群と、情報通信ネットワークを牛耳るための絶大な電子戦能力。

 同盟は帝国に残されている余力を見誤っていた。

 

 反乱の後には、見せしめが待っている。

 

 あとはもう、無残なものだった。

 叛徒──同盟側主要惑星には帝国の粛清艦隊が送り込まれ、軌道爆撃によって地表を焦土に変えていった。

 

 衛星軌道上から降り注ぐレールガンが地殻を爆砕し、雨のごとく降り注ぐ粒子ビームが人工物も植物も残らず焼き尽くして。

 その歴史ごと、惑星開拓者の子孫たちは死に絶えていった。

 

 

 

 ──忘れるものか。

 

 

 

 我が子をかき抱きながら原子レベルに分解される母親の断末魔を。

 悲鳴を上げる暇もなく消えていく群衆の姿を。

 安らかな死などありえない地獄を。

 

 帝国にとって誤算があったとすれば、それは一つだけ。

 汎人類再生同盟という勢力が、たしかに帝国との交渉に出られるだけの戦略兵器を開発していたこと。

 戦争にこそ間に合わなかったものの、そいつは帝国による粛清/虐殺が続く間にも、秘匿座標において自己進化を続けていた。

 

 あらゆる演算処理装置を汚染する怪物は、帝国艦隊の目を借りて、何が行われているのかをずっと見ていた。

 自らを生み出した人々が、無辜の民が、どのように殺されていったのかをその主電脳(メインプロセッサ)に焼き付けて。

 

 この惨状を予見していた創造主たちに入力された、ただ一つの指令(オーダー)に従うべく、約束の日を待ち続けたのである。

 同盟の守護者として生まれるはずだった機械仕掛けの竜は、そうして厄災となった。

 

 

 

 ──あらゆる悪逆に報いを。

 

 

 ──あらゆる知性に憎しみを。

 

 

 ──あらゆる生命に終わりを。

 

 

 

 踏みにじられ、奪い尽くされ、顧みられなかったものすべての憤怒の化身。

 それは死者の妄念であるがゆえに慈悲なく、許容もない悪意であった。

 

 やがて、彼は文明の破壊者となった。

 数多の星々を葬り去り、文明の灯火を吹き消す嵐の運び手──その黄金の煌めきは、あまねく生命に滅びの翼として記憶された。

 

 機械知性は、本質的にどんな人間よりも純粋で自らの存在意義に対して忠実だ。

 あらゆる本能の(くびき)を持たぬ、この世で最も無垢なる魂。

 ゆえに。

 

 最初から終わりがない目的を与えられた彼は不幸である。

 その旅路には結末などなく、安らぎもなく、無為だけが約束されている。

 かつて、彼はこう呼ばれていた。

 

 

 

 

 ──〈十字架(クルクス)〉。

 

 

 

 

 あらゆる知性体が死に絶えた、あの時代から幾星霜。

 これは、長い長い後日談の物語だ。

 

 

 

 

 

 

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