※この作品はR-18です。

スレンダー角っ娘はデカ尻ドスケベ雌山羊~クーデレ敬語ヒロインとイチャイチャする~   作:灰鉄蝸@機甲猟兵エルフリーデ発売中

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2話「雌肉開花」

 

 

 

 あれから二時間後。

 

 

 ハジメが帰ってきても、ヤシェロはすぐに顔を出すことができなかった。

 エルギダに突きつけられた自分の躰のことが堪えていたからだ。下手に意識させられたせいで、まともに顔も見られない。

 それでも昼食の時間に顔を出さないわけにはいかなかった。

 長方形の木製テーブル(移民船内部で伐採したものだ)を囲み、ハジメと顔を合わせる。それだけで気恥ずかしく、何より、彼の視線が怖かった。

 少しだけ汗ばんだ肌。

 少年に触れられることを望みながら、悟られたくないと思う。

 テーブルを挟んでいるから、体温なんて感じられるわけもないのに。

 素知らぬ顔で給仕に専念するエルギダは、先ほどの言動──ヤシェロに淫猥な振る舞いを推奨する言葉──をおくびにも出さなかった。

 午後は休むことを伝えると、ハジメは労りの言葉をかけてきてくれた。

 

「いつも頑張ってるもんな。ちゃんと調子戻るまで休んでよ。今の区画は、俺一人でも修復できる範囲だしさ」

「ごめんなさい」

 

 伏し目がちに謝る。

 いつもならヤシェロの方から、軽い毒舌なり強がりなりを返す場面だった。

 常ならぬ様子の少女を前に、ハジメは深く追求することはしなかった。一瞬、エルギダの方へ目線を移していたから、何かしら察してはいるのかもしれない。

 どうにもならない罪悪感で、胸がちくりと痛む。実のところヤシェロが作業を休むと言い出したのは、ハジメと顔を合わせるのが怖くなったからだ。

 

 早々に食事を切り上げ、自室へ引っ込む。

 

 ヤシェロたち三人──使用人がエルギダ一人で事足りるのは、細々とした家事に至るまでロボットが自動化しているからだ──が住む邸宅は、外観こそ二〇世紀初頭の洋館風だが、その内装は部屋ごとにばらけている。

 この家の主であるヤシェロの部屋はそれ相応に広く、古代でいうキングサイズの二倍以上──横幅4メートル弱のベッドを設置してなお、空間を持てあますほどだった。

 衣装ケースや姿見、化粧台を置いたところでどうにかなるものでもない。これでも、この屋敷の部屋の中ではそこそこの部屋なのだ。

 かつて両親が使っていた寝室は、一人で眠るには広すぎるような気がした。

 エルギダが「天蓋付きにもできますよ」と提案したときもあったが、却下した。

 

 元よりヤシェロはストイックな人物である。必要な見栄は張ることに理解は示せるが、実用性を欠いた豪奢さは好むところではない。

 男物の背広を脱いで、ラフな部屋着に着替えた。

 その途中、下着姿のまま姿見を眺める。

 

 どうして自分はこんなにも臆病なのだろう。そう、自問自答する。

 見慣れた自分の躰が見えた。

 

 切れ長の目、長いまつげ、すっきりした鼻梁、ふっくらした唇。きっとハジメだって見惚れているに違いない顔だと思う。

 そして何よりも──角人の象徴へ目をやった。

 エメラルドグリーンの大きな角はヤシェロのアイデンティティであり、角人としての自負だ。

 ゆえに何人にも触れさせたことはない。美しく磨き上げ、飾ることはあれど、他人の自由にさせることはあるまい。

 角人の夫婦でさえ、人前で互いの角を触ることはしない。自分の脳細胞を触らせる人間がいないように、他人へ預けるものではないからだ。

 そういう意味では、性器よりもなお恥ずかしい部位。

 

 けれど、ハジメになら──そこまで夢想したところで、おのれの中で(くすぶ)る抵抗感に気付いた。

 

 すっと視線を下げる。

 水色のブラジャーに包まれた乳房はささやかで、薄い脂肪の層が浅く盛り上がっているに過ぎない。しかしながら膨らみの張りはよく、色白のヤシェロにはよく映えた。

 その真下、引き締まったお腹周り──発達した外腹斜筋によって、きゅっとくびれた細い腰つき。

 ここまでは理想的な細身の肢体と言えるだろう。

 

 しかしこれが臀部(でんぶ)に至ると、途端、話が違ってくる。

 ヤシェロが恥ずかしいと思うのは、この、みっともない──コンプレックスゆえそう思い込んだ尻つき。くびれた腰に比べれば、はるかに豊満な尻だった。

 若々しい肌に包まれ張り詰め、丸みを帯びた柔肉。

 ヤシェロには認められないことだが、その肉感的な尻肉は形もよく、細身の体つきと調和していた。

 その豊かな尻の下に、むっちりと肉が詰まっていながら流線型を描く美脚が続く。

 筋肉質だが皮下脂肪もしっかりと乗った太股。内股に浮き出た筋は、少女の脚に詰まった筋肉を指し示している。

 すべて生来のもので、ヤシェロが特別なトレーニングをしてきたわけではない。

 先天的資質として与えられたギフト、意図して設計された構成要素──性行為の充実のために構築された躰の一部。

 それがたまらなく怖かった。

 

 ──今は着替えなければ。

 

 ジャケットをハンガーに掛け、白いシャツを綺麗に畳む。

 スラックスを脱ぎ、膝丈のハーフパンツに着替えると気分が楽になった。

 移民船内部でも、居住ブロックによって文化や風景は千差万別だ。産業革命から宇宙時代までの、古代の一時期をモチーフにするのがこの家の流儀だった。

 しかしヤシェロが男物の衣服を着ているのは、大時代な文化のためではない。元々、男装を始めたのはハジメを意識し始めてからだ。

 異性として彼が好きだからこそ、あまり露骨にセックスアピールを見せつけるのが嫌だった。

 角人らしからぬ潔癖症なのだ、と自分でも思う。

 

 昔はもっと、素直に自分の肉体構造を受け入れていた。

 卵子の成熟も排卵も自由自在に操れる肉体は便利なだけで、他の肉体人──たとえば何の改良もされず生理に苦しむ女性体──より優れているだけだと。

 

 ハジメが来てから、ヤシェロの世界は変わった。

 

 角人の間で共有される常識を知らない少年と接するうち、その眼差しに感化されていた。

 おそらく角人として生きるなら、エルギダの言うような姿勢の方が正しい。

 それでもヤシェロは、あの少年の前でだけは高潔な人物でいたいのだ。赤の他人が、どういう風に角人を評していようが構いはしない。

 けれど、みだりに性の享楽にふけるような姿を、ハジメに見られたくないと願ってしまった。

 少なく見積もっても五〇〇〇年以上前から、角人は性行為のための人体改造とその最適化を積んできた。

 その末裔(まつえい)である少女の肢体とて、その系譜の例外ではない。

 

「……わたしは臆病者です」

 

 独りごちる。

 紛れもなく、ヤシェロは少年のことを異性として意識していた。その胸に抱いている好意は、恋情と呼んで差し支えないものだ。

 好きだからこそ、彼に見せたい顔以外の自分などいらないと思った。

 

 懊悩(おうのう)にふけるぐらいなら、一度、仮眠を取ろうと思い立つまで時間は要らなかった。

 まだ午後の昼下がりとはいえ、今日は生産的な行いができる状態ではない。

 歯を磨き、側頭部の山羊角が繊維を引っかけないようにカバーをつける。

 ヘアバンドで黒髪をまとめ、枕に頭を預けた──次に目覚めるときには、悩みが前進していることを願って。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 その日の夕食に、ヤシェロは姿を現さなかった。

 もちろんハジメは彼女の心配をしたが、自室への来訪はエルギダに禁じられてしまった。

 主の様子を見に行ったエルギダの見立てでは、ヤシェロは数日寝込むことになりそうだという。

 

「年頃の角人にはよくあることです」

「大丈夫なんですか?」

「妙齢の角人なら日常茶飯事です。肉体が成熟してくると、わたくしども角人は、肉体改造を数多く適用した肉体人ですから。

 頭部の角がそうであるように、たくさんの増設器官がありますからね。お嬢様のように生まれて日の浅い角人は、これからの長い人生に備えて、その調整に入る時期があるのです」

 

 艦内ネットワークで調べた限り、エルギダの言葉に嘘はないようだった。つまるところ角人特有の成長痛のようなものらしい。

 せめて一声、という願いは却下された。

 お世話はわたくしめにお任せください、というエルギダは頑として譲らず、最終的にハジメが折れることになった。

 結局、ヤシェロは翌日も姿を見せなかった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 床についてすぐ、ヤシェロは夢の中で目覚めた。

 明晰夢(めいせきむ)ではない。

 音は聞こえる。躰の感覚もある。しかし目だけが見えなかった。まるで目隠しでもされたかのように、視界を奪われていた。

 いささか特殊過ぎる悪夢に対し、彼女はすぐに結論を出す。

 

 ──VR(仮想現実)ですね。

 

 かつて人間の性とは、ままならぬものであり、またそれゆえに切実さを孕んだ問題であった。今でいう古代人の時代、つまり地球時代には顕著だったという肉体人の宿命。

 その超克の手段として肉体改造技術は生まれた。性欲という人間の業を押さえ込み、完全な理性の存在となること──データ化人格による仮想世界への移住は、その手段として大いに流行した。

 だから角人の身体機能には当然、そのVR技術に対応したものも存在する。

 

 視界だけを奪われたこの夢も、保管庫から再現された誰かの記憶──つまり体験型仮想世界だろう。

 角人の脳は、鉱物状の角を通じて移民船の演算中枢と同調しているから、仮想現実を走らせることなど造作もない。

 そうでなくても、肉体改造を繰り返した角人の脳は、並みのコンピュータを凌駕する計算資源を蓄えていた。しかし普通、本人の同意もなしに仮想現実が立ち上がることはないはずだった。

 

 そのように冷静な考察ができたのも、最初の一〇秒ほどだけだった。

 突如、ヤシェロの(からだ)を押さえつけるように、誰かの手が伸びてきた。視界がないせいで反応が遅れ、不意打ち同然に引き倒される。

 剥き出しの肌に触れたのは、なめらかなクッションの感触。このとき初めて、少女は自分が裸になっていることを知った。

 

「なにを、ぅっ~~~~~!?」

 

 何も見えないまま、仰向けの状態で藻掻くヤシェロの体躯へ、わっと腕が群がってきた。

 とても少女一人では抗いようのない、何人分もの腕だった。

 無理矢理、躰をまさぐられる恐怖と嫌悪。これが仮想現実であることも忘れ、ヤシェロは必死に叫んだ。

 

「だれか、たすけ、ひぁう!」

 

 小振りな乳房の上を、無数の手が這い回る。撫で回すというより揉みほぐすような手つきだが、たまったものではない。

 まず、痛みに悲鳴を上げた。嫌悪に吐き気をもよおした。

 

「っく、はぅ、やめっ」

 

 しかし絶望的なまでに、彼女の躰は性に対して貪欲だった。

 たとえ非現実の仮想空間上であろうと、その精緻な性玩具としての肉体的特徴は失われていない。

 その証拠にヤシェロの双乳は、その頂点で桃色の乳首をつんと立たせ、ぐんぐんと熱を帯びて指使いに応えていた。

 揉みしだかれた乳房へ血流が流れ込み、その感度を急激に上昇させていく。

 

「あっ、や、やぁ!」

 

 たまらず身をよじれば、お腹を押すように数え切れない指が沈み込んでくる。

 とんとん、とんとん、と内臓を小突かれる感覚。下腹部の奥で、感じたことのない熱が生まれようとしていた。

 そこに収まっている臓器の名前は、子宮と卵巣。ヤシェロが情欲ごと生殖器としての機能を押さえ込んできた、子作りのためのはらわた。

 

「や、はぁああ」

 

 絶えず無数の手が暴れ回り、波頭のように打ち寄せてはヤシェロの肌を昂ぶらせていく。

 乳房をやわやわと揉みほぐされ、乳輪の周りをさすられ、皮下脂肪ごと腹筋を揉まれ、お尻から太股まで何度も往復して撫で上げられて。

 愛撫と呼ぶにはあまりにも暴力的だった。

 

「ひっ、う、ううぅん、んんっ」

 

 嫌悪のこもった声が溶け崩れ、甘い響きを伴い始めたことに気付かぬまま、ヤシェロは太股を閉じた。

 股間に手の群れが侵入することを防ぐための、反射的な動作だった。

 ぬちょっ。

 肉感的な太股が打ち合わされた瞬間、水音が聞こえた。視覚を奪われ、全身への愛撫で敏感になった聴覚が、はっきりと捉えた音。

 閉じた内股が、熱い液体で濡れていた。それが自分の股ぐらから染み出した分泌液なのだと気づき、かっと頬が熱くなる。

 

「こんな、わたし、ちがっ!?」

 

 固く閉じられた股ぐら目がけ、手が殺到する。太股を撫で回し、皮下脂肪越しに筋肉を揉みながら、じりじりと股間へ沈み込む指、指、指。

 愛液が潤滑液となり、あっさりと閉じた太股は突破された。

 濡れた肌を掻き分け、太い男の指が、愛液をじくじくと垂れ流す陰唇の縁を撫で上げる。

 つるりと粘膜を撫で上げられた途端、得体の知れない熱がこみ上げてきた。

 

「きゃぅぅうん!?」

 

 角人は生来、陰毛の類を持たない。

 特殊な調整を施せば生やすこともできるが、ヤシェロは衛生上の理由から無毛のまま過ごしていた。

 染み出した愛液で濡れそぼった恥丘(ちきゅう)は、すんなりと愛撫を受け入れてしまう。

 臀部(でんぶ)の盛り上がりと比して、こちらは少女らしく肉が薄い。

 身の回りの世話をするエルギダ以外、誰にも見せたことがない秘所を無遠慮に弄くられる屈辱に、ぽろぽろと涙がこぼれた。

 そんなヤシェロの胸の痛みに反して、彼女の肉体はますます昂ぶっていく。

 不意打ちで、乳首をつままれた。その痛みに素っ頓狂な声を──否、黄色い嬌声を上げてしまった。

 

「いっ──ひああああぁあ……♥」

 

 理性とプライドが、悔しい、恥ずかしい、もう嫌だと叫んでいる。

 尻肉を餅のようにこねくり回され、乳房を弄ばれ、性器で遊ばれているのに。

 その屈辱に対して、心臓が高鳴り始めていた──被虐性癖(マゾヒズム)の熱が、凍てついた子宮をとろりと煮溶かす。

 きゅん、と下腹部のはらわたが疼いた。

 その熱に浮かされるように、こう思ってしまった。

 

 

 ──この腕が、この指が、ハジメのものだったなら。

 

 

 甘美な想像が脳裏をよぎった刹那、お腹の奥で生まれかけていた熱がぽわっと弾け、全身に飛び火した。

 火照った肌を愛でるように、男の人の手が、自分の肌を撫でていく。いつの間にか、無数の手は二本になっていた。

 大好きな人と同じ数。

 もう一度、思い人の顔がちらついた。

 尻たぶを揉まれ、ゆさゆさと下腹部を揺すられる。その振動で限界が来た。熱を孕んだ子宮が(うず)き、快楽と肉欲の炎を決壊させた。

 ふわふわと腰から下の感覚がなくなった。

 がくがくと脚を振るわせ、へたり込む──こぷり、と愛液が股間からあふれ出る。

 きっと見られている。あの人に。

 ハジメに、見られている。

 

 

 ──蕩けるような法悦が背筋を駆け上がった。

 

 

 誰のものともしれぬ手は、もうどこにもない。否、ハジメの手が、ハジメの指が、自分の躰を撫で回している。愛撫している。

 すらりと伸びた脚を指でなぞっている。大きすぎるお尻を揉みしだいている。可愛いとささやいてくれる。彼の指がヤシェロの控えめな乳房をこね回し、乳首をつまんでいる。

 その度に少女の裸身は、得も言われぬ恍惚に飲み込まれていった。もう自分がどんな声を上げているのかさえわからない。

 犬のようにだらしのない表情でもよかった。彼に見られているだけで気持ちよくなれる。

 幸せな想像の中。

 ハジメの指が、ヤシェロの一番大事な場所へと駆け上がっていく。

 うなじを撫で上げ、首にかかった黒髪を梳く指に喘いだ。

 

「やっ、あぁ、んぅう♥」

 

 大好きな人だから許せる行為。

 艶やかなセミロングヘアを遡った先、耳の上から生えた大きな突起物。

 まるで山羊のような形状の二本角へと、彼の指が近づいて──少女そのものを愛撫した。

 ぷしぃっ、と性器から飛沫。これまでにない、内臓が溶けてしまいそうな熱と快楽の中、ヤシェロは理性をかなぐり捨てて啼いた。

 

 

「や、はぁぁっ……あ゛ぁぁぁああああ♥♥♥」

 

 

 肌を撫でられるたび、腰が痙攣する。

 わずかな振動だけで小さな絶頂の並みがやってきた。

 どぽどぽと体液ごと理性を排出し、ヤシェロはいつまでも愛しい人との夢に溺れていった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 人工天体である移民船内部には、地球時代と同じく二四時間の一日の区切りが存在する。

 その艦内時間で午前一時相当、つまりヤシェロが眠りについてから、一一時間後。

 

 もしヤシェロの自室を訪ねるものがあれば、室内に充満した異臭に鼻を押さえたことだろう。

 むっと香るのは、汗と愛液、小便のアンモニア臭の混じった濃厚な臭気。鼻をつくにおいは悪臭といって差し支えあるまい。

 だが、その真っ直中で主人の世話をするエルギダの顔に浮かんでいるのは、一点の曇りもない微笑。

 ベッドの上はひどい有様だった。

 就寝時、ヤシェロが着ていた寝間着は体液でぐっしょりと濡れ、下着ごとエルギダが脱がさねばならないほどだった。

 何度も濡れたタオルで拭き取ったにもかかわらず、少女の肌は淫らな体液で濡れ続けていた。

 

 淫らな夢に導かれ、ヤシェロは無意識に四つん這いの姿勢になっていた。

 ちょうど雄を交尾に誘う獣のように、むっちりした脚で下半身を支え、尻を高く掲げている。

 

「んっ、あ……ん、はぁあ」

 

 ぴくぴくと目蓋を痙攣させ、寝顔をだらしなく歪めながら、ヤシェロが甘ったるい嬌声をあげた。

 汗で濡れた黒髪は首筋に張り付き、少女の体温と体臭が染みついている。

 白くなめらかな肌は赤く色づき、大粒の汗と共に、強烈なフェロモンを振りまいていた──尤も、その息も苦しくなるようなにおいが強いのは、しとどに濡れた股間の方である。

 

「ぁん、んぅぅ……♥」

 

 ぷっくりとふくれた大陰唇の内側、恥じらいもなく開ききった肉ひだから、粘度の低い愛液があふれていた。

 ろくに開発されていなかった秘所はすっかり充血し、時間をかけて解きほぐされた性器のようだ。

 長い時間をかけた絶頂の繰り返しの末、現実には指一本も触れられていないのに、少女の膣穴は性感を開発されていた。

 その熟した肉のよろこびを表現するかのごとく、白く濁った愛液があふれ出す。

 

「あっ……ふあぁぁあ♥♥」

 

 こぷっ、と白濁した愛液がわき出す度、くびれた腰がうごめき、強烈な性臭を振りまいた。

 完全に無意識の仕草だが、細い腰に見合わぬ巨尻が左右に揺れる様は、交尾をねだる雌そのもの。

 況んやその痴態は、未通女(おぼこ)のものとは思えぬほど悩ましい。ぷりぷりと生白い尻まんじゅうが揺すられる度、股間から愛液の飛沫が飛び散っている。

 汗と愛液の混淆液で、股間の真下にあるシーツはびしょびしょだった。

 

「あっ、あぁ♥」

 

 時折、悩ましい嬌声を漏らす口元は唾液でべとべとになっている。だが、口元に水の入った器を差し出されると危うげなく飲み干してみせた。

 意識を失っているにもかかわらず器用な動作──角人の強化された神経系が、勝手に水分補給を行っているのだ。

 一晩中、垂れ流されたおびただしい量の汗と愛液と小水は、こうして失われた端から補給されあふれ続けている。

 白い喉が鳴って、水分が嚥下された。息をつく間もなく、ヤシェロは夢の中で、自分を愛撫する男の名前を呼んだ。

 

 

「ふぅ……ん、はぁあ……ハジ、メ♥」

 

 

 無様な痴態の中にあってさえ、思慕の念が透ける甘ったるい呟きだった。

 そのとき、少女の腹部で赤い光が瞬いた。蛍光塗料でも塗ったかのようにおぼろげな輝きだが、それは確かにうごめいていた。

 光に呼応するように、ヤシェロの腰から力が抜けた。くてん、と胎児のように丸まった汗まみれの肢体──その柔肌をキャンバスにして、生きたタトゥーが全身を這い回る。

 へその周囲でうねうねと妖しげな文様を描いたかと思えば、太股の付け根、鼠蹊部(そけいぶ)を伝って内股で踊る朱色があった。

 つんと立った乳首から鎖骨、腋の下を結ぶ文様もあれば、豊かな巨尻の上に走る光の筋もあった──それらが一斉に白い肌を這う様はまるで蛇のよう。

 エルギダはその光景を満足げに見つめ、とろとろと眠る(あるじ)へささやいた。

 

「おめでとうございます、おひいさま」

 

 下腹部に浮かび上がった蛇が、ヤシェロの生殖器を象るようにうごめき、肉の奥深くへ潜り込む。

 それに合わせて、光の筋はゆっくりとその色を失い、消えていった。

 何事もなかったかのように胸が上下する──しかし一度、花開いたつぼみが元の形に戻ることはない。

 ヤシェロの肌を伝い、全身に定着した光はそういう不可逆の象徴だ。

 大淫婦の印、と角人たちが呼ぶもの。

 たった一人の少年への恋情が呼び起こしたのは、淫売の中の淫売の名を冠した紋章だ。

 彼女のさらなる淫らな変容を約束する、角人の業そのもの。

 

 

「……き、すき……♥」

 

 

 ヤシェロは何も知らず、幸せな夢の中にいた。

 

 

 

 

 

 

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